オンライン診療導入のポイントとサービスを徹底比較

内科クリニック向け 外来患者数回復対策セミナー内科クリニック時流予測レポート

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、オンライン診療が大きな注目を浴びています。
感染拡大防止の観点から一時的にではありますが初診にも保険が適応されるようになり、導入を検討されている院長先生も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、オンライン診療導入のポイントと各社が提供しているオンライン診療システムのサービス内容について、比較内容をお届けします。

 
  1.オンライン資料導入のポイント
  2.オンライン診療のメリットとデメリット
 3.主なオンライン診療システムの比較一覧・・・
  3-1.CLINICS – 株式会社メドレー
  3-2.curon – 株式会社MICIN
  3-3.YaDoc – 株式会社インテグリティ・ヘルスケア

  3-4.ポケットドクター – MRT株式会社/株式会社オプティム

  3-5.LiveCallヘルスケア – スピンシェル株式会社

  3-6.リモートドクター – 株式会社アイソル

  3-7.CARADAオンライン診療 – 株式会社カラダメディカ

■オンライン診療導入のポイント

オンライン診療のシステムを導入するにあたって、考えていただきたいポイントとして以下の3つがあります。

①費用

一点目が、システムの利用にかかる費用です。費用は大きく分けて「導入費用」「維持費用(月額費用)」「利用ごとにかかる費用」の3つがありますが、これらはサービス提供業者によって大きく異なります。
オンライン診療を今後、保険診療だけに限らずクリニックの強みとして運用していくのではなく「コロナウイルスの影響により、オンライン診療を試してみたい」とお考えの先生は、特にイニシャルコストが大きくかかるシステムを避けることが無難でしょう。

②使いやすさ

二点目はシステムの使いやすさです。特に気を遣うべきは、予約→問診(保険証の確認)→診察→処方→会計(決済)までのフローでしょう。
一部のオンライン診療システムは電子カルテとの連携も可能であるため、自院で導入している電子カルテシステムとの連動性も確認されると良いかと思います。

またシステムによっては、通常の診療録に加えて、オンライン診療システムに別途診療情報を入力する必要があるものもあります。
診療件数が多くなるとこれが手間となることも考えられますので、自院の通常の診療フローと比較し、最も効率的に運用が行えるシステムを検討すると良いでしょう。

③導入速度

三点目は導入までのスピードです。今、オンライン診療が大きく注目を浴びていることから、特に大手のシステム業者には新規の問合せが殺到しており、導入までに実質2ヶ月~3ヶ月程度かかってしまうケースもあります。
今後のコロナウイルス感染拡大状況にもよりますが、2~3ヶ月後には状況が大きく変わっている可能性もありますので、実際にいつから運用できるのか?ということを確認することも大切なポイントです。

■オンライン診療のメリットとデメリット

次に、オンライン診療のメリットとデメリットについてまとめておきたいと思います。

【メリット】

・患者さんにとって通院の手間、感染のリスクがないため、受診のハードルが低い

・立地条件に影響されず、今までターゲットとできていなかった患者さんに自院のことを知ってもらえる

・あらかじめ時間を確定して診療を行うため、患者さんをお待たせすることがない

・オンライン診療専用のシステムを用いなくても、電話やLINE、Zoomといった無料のシステムを用いて診察することも可能である

【デメリット】

・システムの導入、運用費用が発生する

・患者さんの本人確認の手段、手間が煩雑である

・通常診療とオンライン診療の2つの診療フローが発生する

・外来管理加算などが算定できず、診療報酬点数が低い(※別途「通信にかかる実費相当額」は徴収可能)

・(オンライン診療専用システムを用いない場合)診療代金の未収リスクがある

以上のメリット、デメリットを踏まえて、自院でオンライン診療を導入すべきか?を考えていきましょう。

まずコロナウイルス感染拡大の影響により通常の来院患者さんが激減しているクリニックの場合、早急に導入を検討すべきでしょう。
算定できる点数が低いというデメリットはありますが、しっかりとオンライン診療で集患することができれば患者数減少に伴う収入減少をある程度補うことが可能です。

逆に、エリアによってはまだ通常診療にそこまで影響がないクリニックもあるかも知れません。
そのような場合でも、オンライン診療をいつでも開始できる準備だけは進めておきましょう。
感染の収束までの期間は誰にも予測できません。数ヶ月かも知れませんし、1~2年かかる可能性も否定できません。この先、事態がさらに悪化する可能性もあるのです。
その時に慌てて準備するのではなく、今の段階から準備をしておくことで、将来のリスクに備えることができます。

■主なオンライン診療システムの比較一覧

現在、様々な会社がオンライン診療システムのサービスを提供していますが、基本的にオンライン診療として求められる機能は全て備えられていると考えていただいて問題ないでしょう。
そういった中でも、各社それぞれが自社サービスについて特徴を持たせています。
全ての医療機関にとって最適なシステムというものは存在しません。
下記をご参照いただき、気になるシステムについては資料請求、デモを積極的に行うことで「どのシステムが自院のスタイルに合っているか」を比較検討していただければと思います。

 

※料金については原則として、平常時の料金を記載しています。会社によってはコロナウイルスの影響を鑑み、割引や無料化を行っているところもあるので、詳しくは各オンライン診療システムのホームページをご確認ください。

 

CLINICS(外部サイトが開きます)

<運営会社>株式会社メドレー

<導入費用>非公開

<月額固定費用>非公開

<特徴>
CLINICSはオンライン診療の草分け的存在です。
導入・維持に比較的高額な費用がかかるものの、フォローやサービス体制が充実していると言われます。
またオンライン診療だけでなく、予約システム(通常診療)や電子カルテのサービスも提供しており、それらとの互換性が高いことが特徴です。
また予約から問診、スケジュール管理、クレジットカード決済、院内処方の場合の配送用の宛名ラベル印刷まで、一貫してメドレーで完結させることができます。
コロナウイルスの影響による緩和措置の間だけでなく、今後自費分野なども含めてオンライン診療を自院の強みとして展開していきたいとお考えの先生に向いているサービスでしょう。

 

curon(外部サイトが開きます)

<運営会社>株式会社MICIN

<導入費用>無料

<月額固定費用>無料

※決済金額の4%(カード決済手数料を含む)の費用が発生

※利用の度に、患者が330円の費用を負担

<特徴>
オンライン診療システムとしては後発ながら、導入施設数は2,500件(2020年4月現在)と日本一の導入数となっています。
最大の特徴は導入・月額の費用が無料であることでしょう。もちろん価格は抑えながらも機能面は十分担保されています。
問診の作りこみも先生が行うことができ、予約から決済、また処方せん・処方薬の集荷依頼までもクロン上で完結することができます。
導入に際して医療機関側にコストがかからないため、まずはオンライン診療がどのようなものか試してみたい、という先生に向いているでしょう。

 

YaDoc(外部サイトが開きます)

<運営会社>株式会社インテグリティ・ヘルスケア

<導入費用>無料

<月額固定費用>3万円

<特徴>
YaDocの大きな特徴は2つです。
①患者ごとの体重、血圧、脈拍、血糖値、食事記録などのデータを遠隔モニタリング管理
② PHC株式会社、日立ヘルスケアシステムズ株式会社、株式会社ビー・エム・エル、富士通株式会社、株式会社湯山製作所といった大手電子カルテメーカーと連携

またオンライン問診も、COPDや逆流性食道炎、喘息等あらかじめ準備されたものがあり、オンライン診療ながら診療サポートの機能が非常に高いことが特徴と言えるでしょう。
オンラインという制約の中でもできる限り質の高い診療を行いたい、とお考えの先生に向いていると言えます。

 

ポケットドクター(外部サイトが開きます)

<運営会社>MRT株式会社/株式会社オプティム

<導入費用>非公開

<月額固定費用>非公開

<特徴>
ポケットドクターの最大の特徴は、オンライン診療の最中に「どの部分に着目すべきか」を、赤ペン、指さし機能を用いて指示できる機能を備えていることです。特に患部の確認が重要となる診療科では重宝する機能でしょう。
またYadocと同じく、血圧や血糖値、心拍数、体重などのヘルスデータをモニタリング管理できることも特徴です。
ポケットドクター上で予約から診察、診察、決済、処方箋・処方薬の配送まで対応できることも嬉しいポイントです。

 

以上、オンライン診療システムとして、いわゆる大手と呼ばれる4社をご紹介いたしました。
またその他にも様々な会社もオンライン診療システムのサービスを展開していますので、ご紹介します。

 

LiveCallヘルスケア(外部サイトが開きます)

<運営会社>スピンシェル株式会社

<導入費用>非公開(コロナウイルス感染症の相談のみ無料)

<月額固定費用>非公開(コロナウイルス感染症の相談のみ無料)

<特徴>
LiveCallは元々、様々な業界に対してビデオ通話システムを提供していましたが、医療機関向けにも展開したサービスがLiveCallヘルスケアです。
SONYやNTTdocomoなど、大手企業もLiveCallのシステムを活用しています。
アプリではなくブラウザを介したシステムのため受診する患者さんのデバイスを選ばないことが特徴です。
予約から診察、決済、処方箋・薬の配送までを一貫で対応できることはもちろん、医療機関に合わせたカスタマイズ性の高さを売りにしています。

 

リモートドクター(外部サイトが開きます)

<運営会社>株式会社アイソル

<導入費用>非公開:期間限定無料(2020年8月31日まで予定)

<月額固定費用>非公開:期間限定無料(2020年8月31日まで予定)

<特徴>
電子カルテシステム、オンライン予約システムなどを手掛けている株式会社アイソルが提供するオンライン診療システムです。
元々、当企業の電子カルテや予約システムを導入している場合、今後連携機能に期待ができるでしょう。
また現時点で問診機能は準備中ということですが、アプリ上で予約、診察、決済、電子カルテシステム連動時は配送まで一貫対応できるというポイントは抑えられています。

 

CARADAオンライン診療(外部サイトが開きます)

<運営会社>株式会社カラダメディカ

<導入費用>非公開:期間限定無料(2020年9月末日まで予定)

<月額固定費用>非公開:期間限定無料(2020年9月末日まで予定)

<特徴>
医薬品卸の株式会社メディセオのグループ会社が手掛けるオンライン診療システムです。
元々は産婦人科に特化したシステムを提供していましたが、昨今の状況を受け、診療科目を限らずに運用できるシステムとなりました。
シンプルなインターフェースながらも、予約(アラート)、診察、決済、配送(医療機関への集荷)までを網羅していることが特徴です。
また専用のアプリではなく「Google Chrome」や「Safari」ブラウザを用いるため、患者さんはスマホだけでなくPC、タブレットでも受診することができます。

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この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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