2022年4月に診療報酬改定がございます。
それに際して、2021年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2021」が閣議決定されておりますが、2022-24年度予算では、社会保障関係費の伸びは「高齢化相当分」に収めることが示唆されており、ドラスティックな変動はないかもしれません。
2020年の診療報酬改定情報をお伝えいたします。
今回のテーマは、『自己血糖測定器加算』に新たに新設された項目【間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの】についてです。
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【新設】
C150 血糖自己測定器加算
1~6 省略
7 間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの 1,250点
注)7については、入院中の患者以外の患者であって、強化インスリン療法を行っているもの又は強化インスリン療法を行った後に混合型インスリン製剤を1日2回以上使用しているものに対して、血糖自己測定値に基づく指導を行うため、間歇スキャン式持続血糖測定器を使用した場合に、3月に3回に限り、第1款の所定点数に加算する。
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2017年9月より『血糖自己測定器加算』のもとで保険承認をされていたFreeStyleリブレを用いた持続血糖測定ですが、あくまで補助的な役割として、SMBG(自己血糖測定)を併用することが前提でした。
しかし今回の改定により、自己血糖測定器加算に「間歇スキャン式持続血糖測定器によるもの」という項目が新設されたことで、FreeStyleリブレを主とした血糖管理が保険適応として認められることとなります。
また従来よりあった『C152-2 持続血糖測定器加算』とは異なる項目のため、「専門の知識及び5年以上の経験を有する常勤の医師」の配置や「持続皮下インスリン注入療法を行っている」といった施設基準もなく算定することが可能です。
当然のことですが血糖値を「点」で測定するSMBGでは血糖値のトレンド・変動傾向を正確に把握することは難しく、例えば夜間における無自覚の低血糖状態や血糖値スパイクを正確に確認できないことに課題がありました。
もちろん中長期の血糖値の推移についてはHbA1cでも把握ができるのですが、あくまでも平均値であり、その日内変動の「幅」までは把握できないことは意外と見逃されがちです。
その中で出てきた持続血糖測定というシステムは、24時間の血糖変動をトレンド(「点」ではなく「線」)として捉えることができます。これは単に血糖の推移が分かるという事実だけでなく、食事によって受ける血糖の影響(食事療法の効果)や運動による成果(運動療法の効果)、今まで気づかなかった低血糖のリスクを視覚化することができるということです。
患者さんにとっては治療目標である血糖が「見える化」されることで行動変容が促され、先生にとっても治療が進めやすくなるという効果があります。
「インスリン製剤を1日2回以上使用している」という縛りはありますが、「かかりつけ医」として糖尿病治療にしっかり取り組んでいきたいとお考えの先生は、この機会にぜひ導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
2022年4月に診療報酬改定がございます。
それに際して、2021年6月に「経済財政運営と改革の基本方針2021」が閣議決定されておりますが、2022-24年度予算では、社会保障関係費の伸びは「高齢化相当分」に収めることが示唆されており、ドラスティックな変動はないかもしれません。
この記事を書いたコンサルタント
川本 浩史
大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。