いつもめでぃまがをお読みいただきましてありがとうございます。船井総合研究所の川本です。
本日は「待ち時間」の対策についてお届けいたします。

『待ち時間』は最大の不満要素

厚生労働省が発表している「令和2年(2020年)受療行動調査(確定数)の概況」を見ると、外来診療に対する満足度において『診察までの待ち時間』が他の項目に比べ非常に高い不満要因として挙げられています。
※「不満」の回答が26%以上を占めている

一昔前までは「医療機関は待つことが当たり前」という概念もありましたが、現在は様々な工夫をこらす医療機関が増えてきたことから、(特別な検査がなければ)院内の滞在時間は30分以内、待ち時間は10分程度、というクリニックも増えてきました。

こうなると、『待ち時間』というのは
・短いことが優位性となる
のではなく、
・長いことが選ばれない理由となる
というように環境が変わってきていると言えます。

つまり医療機関において『待ち時間対策』は、”患者満足度向上のための施策”ではなく、”対策して当然の最低限の環境整備”であると言えます。

待ち時間対策の2つの考え方

一言で『待ち時間対策』と言っても、考え方は大きく2つに分かれます。

①院内での待ち時間を「短く」する
こちらはイメージがしやすい待ち時間対策です。例えば
・予約制を導入する(時間帯予約、順番予約)
・診療の効率化を行い、一人当たりの診療時間を短くする
・受付、会計の業務効率化を行い、患者行動毎の”待ち”時間を減らす
などが挙げられます。

予約制には主に時間帯予約、順番予約という2つのパターンがありますが、どちらが向いているか、は科目や主に診療している疾患によって異なります。
本メルマガをお読みいただいている先生は生活習慣病など慢性疾患を中心に診療されているクリニックが多いかと思いますので、その場合は一般的には時間帯予約制をお勧めしております。

時間帯予約を導入し時間当たりの予約枠を制限することで、時間当たりに来院される患者数を平準化させることが期待できます。そうすると院内での待ち時間、滞在時間を減らすことにつながるでしょう。

ただし飛び込み患者が多い場合や予約時間を守らない患者が多い場合には予定通りに診察が進まず、「予約したのにその時間通りに診てもらえない」ということで、かえってこの予約制がデメリットに働くことがあります。
飛び込み患者を見越した枠設定にしたり、予約外による受診や時間を守らず来院される患者さんへの対応については院内で統一のルールを作り、徹底することが大切です。

また当然、患者さんが予定通り来院されても先生の診察が常に長引いていては後ろの時間になればなるほど待ち時間が長くなってしまいますので、診療の効率化対策も同時に行うことは必須です。

続いて考えたいのは、

②待ち時間を「不快」と思わせない工夫
いくら待ち時間を短くする対策を行ったとしても、現実問題として10分程度の待ち時間が発生することは多くあるでしょう。
また急患や紹介状など緊急の対応に追われ、一時的に待ち時間が長くなることも珍しくないと思います。

この時には、発生する待ち時間を「不快」と思わせないことが大切です。
例えば、
・診察までの待ち時間で、あらかじめ予定の検査を行う
・事前問診の深堀りをスタッフが行い、カルテに反映させておく
・主訴から実施が想定される検査の説明を事前に行っておく
・待合室のモニターで有益な情報を流し、情報収集の場としていただく
などが挙げられます。

またスペースが許せば「中待合」を設けることで段階的に呼び出しを行い、”いつ呼ばれるか分からず、ただ待っている”という状態を避けることができます。行動を挟むことで患者さんにとっても体感的に不快感が減ることに加え、高齢者など呼ばれてから入室までに時間がかかる方に対しては「次に呼ばれる」準備をしておいていただけるため、診察室の患者さんの入れ替わり時間の短縮にもつながる施策として、ご検討いただくのも良いでしょう。

令和のクリニックでは、『待ち時間対策』は最低限!

冒頭お伝えした通り、現代の医療機関において”待ち時間”は、もはや「短いと良い」という話ではなく「長いとNG」という環境に変わっています。待ち時間が短いことは大前提であり、そのうえでの医療の質、サービスの質を求められる時代になっているのです。

もし自院の待ち時間が長くなってしまっている、という先生がいらっしゃいましたら、ぜひ上記の2つの考え方に沿って対策をご検討いただければと思います。

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この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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