内科クリニック(医療機関)で継続的な経営コンサルティングは必要か

2019年05月09日 (木)

科目:
内科

■医療機関(クリニック)にとって、経営コンサルティングは身近ではない

内科クリニッを開業している先生にとって、継続的な経営コンサルティングはあまり身近なものではないかも知れません。それこそ開業をされる際に様々な手続きを代行してもらったり、開業すべき場所の立地調査を依頼したり、などを一時的に開業コンサルティング会社や医薬品卸企業に委託されたという以外には、特に経営について意識をされる機会が少ない、という先生も多くいらっしゃるのではないかと思います。

実際、疾患や診療については医学部や卒後研修で学ばれていても、経営について学ばれる機会というのはほとんどなかったのではないでしょうか。

特に「医療」という分野においては、良し悪しは別として「保険」という制度で強く規制されていることから、何か特別なことをしなくてもクリニックを維持していく、普通に過ごしていく上では問題がないケースも多くあります。

しかし少し周りを見てみますと、歯科業界など非常に近い業界では、経営コンサルティングはかなり一般的な存在です。

それでは、なぜ私たちのような、医療機関、特に内科クリニックに特化した経営コンサルタントが存在しており、日々「コンサルティング」として何をしているのでしょうか。

 

 

■医療機関(クリニック)においての経営コンサルティングとは

内科クリニックにおいて、私たち経営コンサルタント、コンサルティング会社の役割を一言で言うと「院長先生の夢の実現」のお手伝いです。

当たり前のことですが、開業された先生方が100人おられれば、そこには100通りの「成し遂げたいこと」「実現したいこと」が存在します。それはある一定額の医業収入の達成であったり、複数院展開であったり、特定の疾患をその地域で特に注力して診療することであったり、と様々です。しかし多くの先生が目の前の診療に日々忙しく過ごされており、先生個人の「成し遂げたいこと」「実現したいこと」が後回しにされてしまっているのが現実です。もちろん、目の前の患者さんと向き合うことは非常に大切なことですが、それが先生の夢につながっているのか?ということを、今一度振り返ってみていただきたいと思います。

そしてもう一点外部環境としておさえておいていただきたいのが、これからの人口減少に伴い確実に今後患者さんの数は減っていく、ということです。もちろんこれは先生の開業されている地域、また先生が何歳まで診療を続けられるのか、にもよりますが、早い地域では今後5年~10年という短期間であっても目に見えて外来患者さんの数は減少していきます。

そういう意味では、今、経営が上手くいっているクリニックであっても、数年先を見越して現時点で何をしておくべきか?ということは考えておいていただきたいポイントです。

 

 

■内科クリニックでのコンサルティングでは何をしているのか

では実際に、私たちが日々どのようなコンサルティングを実施しているのかを一部ご紹介いたします。

まず最も多いコンサルティングのテーマは「集患・増患」です。これは単純に新患数を増やして医業収入を安定させるということもありますが、特に多いのはWEBなどを用いた集患により「院長先生が専門としている疾患」を特に注力して、新患数を底上げしていきます。内科クリニックにおいては季節による変動が多い風邪などの急性疾患とは異なり、こういった専門的な治療が必要となる疾患は毎月定期的に通院していただけることから繁忙期・閑散期の格差を埋め、安定的な経営に繋がるというメリットもあります。

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そして患者さんの数が増えてくる、または元々多くて既に手一杯の場合には、いかに患者さんの満足度を下げず(医療の質を落とさず)に診療を効率化していくか、という「組織体制づくり」も、コンサルティングのテーマとしては多くあります。

ここでは病態・検査・療養指導などの説明をツール化して院長先生の口頭での説明時間を短縮したり、スタッフさんと上手く役割分担ができるシステムを構築して問診やカルテ入力などを分業したり、といったことを行います。必要に応じて、スタッフさんの採用や教育といったマネジメント面でのサポートもさせていただくケースがあります。

 

こう聞くと、「わざわざコンサルティングを頼まなくても、自分でもできるのでは?」と思われる先生もいらっしゃるかも知れません。実際、私たちのご提案に対し「まずは自分でやってみます」とお答えになられる先生も一部いらっしゃいます。ところが数ヶ月、半年、1年後に、その先生に以後どうかお伺いしてみると、ほとんどの場合何も変わっていないことが多いです。

実は先生は、ご自身で思っている以上に大変な役割を担っておられます。まずは医師として、診療をされる役割です。医療機関である以上、先生が診療をしないと何も始まりません。そして勤務医時代と大きく異なるのは、経営者としての役割です。先生が思い描く理想を実現するには、それに則った経営方針を考え、戦略を練り、マーケティング施策を実行していく必要があります。そして更に、スタッフさんを統括するマネージャーとしての役割があります。クリニックは組織ですので、先生一人が孤軍奮闘していても、一緒に働いているスタッフさんが同じ方向を向いて頑張ってくれなければ組織として思った方向に動いてくれません。

このように三足の草鞋を履かれている先生にとって24時間365日という普通の時間の枠内では、考えなければならないこと、しなければならないことが多すぎるため、冒頭の通り「院長先生の夢」はどうしても後回しにならざるを得ない、ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

私たちがコンサルティングを通してお手伝いをさせていただくのは正にこの部分で、院長先生に「先生にしかできないこと」に対して集中的に時間を使っていただく環境を整える、という風にご理解をいただければと思います。

 

 

■コンサルティングで大切なことは、担当コンサルタント個人と“相性が合う”か

このように、内科クリニックにおいての経営コンサルティングは「儲かるから〇〇しましょう」や、「多少医療の質を犠牲にしても、ひたすら患者さんを増やしましょう」といった類のものではない、ということがお分かりいただけたかと思います。

あくまで前提として「院長先生の夢」があり、コンサルタントはそれを実現するために外部環境を考慮した様々なご提案と内容の実行により、「先生が成し遂げたいこと」「先生が実現したいこと」を達成できる道筋を一緒に作り上げていく“経営パートナー”的存在であるということが言えます。

そう考えると、一般的な内科クリニックで経営コンサルティングが必要か?という視点よりも、院長先生の夢の実現のために経営コンサルティングが必要か?という視点の方がしっくりくるのではないかと思います。

そして経営コンサルタントを選ぶ基準というのも、同じように見えてくるのではないでしょうか。経験や実績といったものも大切ですが、何よりも先生の夢を一緒に語ることができるか、その夢を達成するために本気で先生と向き合ってくれるか、といった、ある意味数字では測れない、先生との“相性”といった部分がとても大切であると言えます。

少しでも経営コンサルティングに興味を持った先生は、一度どのようなものか話だけでも聞かれてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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