内科クリニックにおける上手な広告の実施方法
集患のための広告の時流
先生は、集患のための広告費に年間どれくらいの費用をかけておられるでしょうか。
また、そのかけている費用に対する効果の測定はできているでしょうか。
中には開業当初に設定した看板広告や電話帳の広告などを、
そのままにされている先生もいらっしゃるかと思います。
内科クリニックにおける集患のための広告戦略は、ここ数年で大きな変動を見せています。
それはインターネットの発展とスマートフォンの急速な普及に伴い、
誰もが様々な情報へ気軽にアクセスできるようになったことです。
内科クリニックでは高齢の患者様が多いため、
インターネットにはあまり力を入れなくていいのではないか、
とお考えの先生もいらっしゃるかも知れません。
しかしNTTドコモの調査によると、
60歳代のスマートフォンの保有率は2018年に50%を超えていわゆるガラケーを上回り、
70歳代でも31%の保有率となっているなど、私たちが思っている以上に
高齢者にとってもインターネットは身近なものになっています。
また実際に医療機関にかかる際、その医療機関のホームページを参照するか、
といった一般の方へのアンケート結果では、実に半数以上の方がホームページを参照する、
と答えられたデータもあります。
このことからも、高齢者比率の大きい内科クリニックにおいても、
集患を目的とした広告戦略としての時流はインターネットを活用したものである、
ということがお分かりいただけるかと思います。
とはいえ、広告媒体にはそれぞれに得意分野があります。
今回の記事では、内科クリニックにとって有効な広告媒体について、
上手な実施方法を解説いたします。
看板広告の効果
看板広告は内科クリニックにとって主要な広告媒体の一つです。
また他の診療科目に比べて診療圏が比較的狭い内科クリニックにとって
自院が存在する地域に看板を出すことは、足元の診療圏での認知度を
高めるためには有効な手段であると言えます。
特に開業してからの年数が浅く、まだ周辺地域での認知度が
それほど高くない場合には積極的に活用していきたい媒体です。
ただし看板広告は比較的高額になるケースが多く、また設置場所によって
期待できる効果が大きく変わるため、慎重な判断が必要です。
駅に出すのであれば、
・一日の乗降客数はどのくらいなのか
・路線の上りと下りで使用されている客層はどう違うのか
・乗り換えなどで人はどう流れているのか
など、しっかりと現地に足を運び、有効だと思える場所に広告を出しましょう。
また費用が高額になりがちなため、特に費用対効果の検証は重要です。
問診票などを用い、月間どれだけの新患が看板広告を見て来院してくれたのか、
必ず把握するようにしましょう。
開業初期は積極的に活用し、足元の診療圏での知名度が
ある程度向上してきたと感じたら、その広告費用を別の媒体へ移行させることも
検討していくと良いかと思います。
ホームページ広告の効果
先ほども申し上げた通り、内科クリニックにとって
集患を目的とした広告戦略の時流はインターネットを活用した広告です。
一言でインターネットを活用と言っても様々な手法がありますが、
やはり中心となるのはホームページを基軸とした広告です。
今ではホームページをお持ちでないクリニックは少ないかと思いますが、
もし現段階でホームページを作っていない先生がおられましたら、
必ず作成するようにしましょう。
またホームページは、ただ作るだけではその効果を充分に発揮することはできません。
ホームページの具体的な活用方法については別の記事にて詳しくご説明していますが、
基本的な考え方として、
・いかにホームページへの流入数を増やすか
・ホームページに流入した見込み患者様を、いかに来院につなげるか
の二つの要素を分けて考える必要があります。
ホームページの流入数を増やすための施策としては、
GoogleやYahoo!において検索された際に狙ったキーワードで
いかに上位に表示させるか、というSEO対策や、
検索されたキーワードと連動して表示させることのできる
キーワード連動型広告などがあります。
また来院率を向上させるための施策は、ホームページの内容を充実させることによる専門性の打ち出し、
院長の顔写真や診療方針を明記することによる安心感の醸成、
WEB予約システムの導入による来院へのハードルを下げる取り組みなどが挙げられます。
弊社のクライアント様では、開業後の新患数拡大を目的とした
ホームページの運用を徹底して行ったところ、開業3ヶ月目で
ホームページ経由の新患が月間160名来られたクリニック様もいらっしゃいます。
このようにホームページを基軸とした広告戦略は、今の時代においては
内科クリニックであっても大きな成果が期待できる集患手法です。
もしホームページをまだ充分に活かしきることができていないな、
と感じられた先生がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社の他の記事もご覧いただき、
ホームページの効果を最大化していただければと思います。
その他の広告媒体の効果
上記に挙げた媒体以外での広告としては、
電話帳(タウンページなど)の広告、電柱広告、電車やバスの車内放送、
電車内の広告などが挙げられます。
この中で電話帳の広告については、昨今では効果はどんどん薄くなっていると感じられます。
また電柱広告や車内放送、電車内の広告についても物理的な宣伝範囲が狭いことから、
非常に限定したターゲットに絞り込んだアピールは可能としても、
これらを主体とした広告戦略は難しいでしょう。
これらの広告媒体については、全体の広告費用と相談しながら
補足的に使っていくことが望ましいと思われます。
いずれの広告媒体を使うにしても必ずおさえていただきたいのは、
その費用対効果を検証することです。
一般的に、内科クリニックの平均診療単価は5,800円程度となります。
この内、原価率を10%程度とすると、利益額は5,220円となります。
また風邪などの急性症状の患者様だと一度きりの来院の可能性がありますが、
慢性疾患の患者様だと継続した来院が期待できるので、平均して年に4回来院されると考えると、
1名の新患獲得は年間に5,220円×4回=20,880円の利益増加に寄与できる計算となります。
例えば何らかの媒体で50万円の広告投資をした場合、
その広告媒体を通して年間で約24名の新患(月間で2名の新患)獲得ができると、
広告投資の回収ができる、ということです。
しかし、ここで「何が来院のきっかけとなったのか」が分からないと、
それぞれの広告媒体に対する費用対効果を検証することはできません。
この効果を検証する方法として、先ほども挙げましたが「問診票」を活用し、
アンケートを取ることをお勧めします。
これを月単位、年単位で集計して把握することでそれぞれの広告の効果を検討・分析ができます。
開業してからのステージによっても最適な広告媒体は変わっていきますので、
今のステージに応じた、より精度の高い広告運用をしていただければと思います。
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この記事を書いたコンサルタント
川本 浩史
大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。