『キャッシュレス決済』導入すべき?
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目次
いつもめでぃまがをお読みいただきましてありがとうございます。また新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま、および関係者の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
ますます広がる、キャッシュレス決済の需要
現在、様々な業種でキャッシュレス決済の導入が進んでいます。先生方の中にも、「普段は現金を持ち歩かない」という方も少なくないのではないでしょうか。
クレジットカードのみならずQRコード決済、交通系ICなどキャッシュレス決済の手段もますます増えており、世の中では「現金しか取り扱えない」というお店がどんどん減ってきています。
しかしながら、医療機関においては現金決済がまだまだ一般的であり、キャッシュレス決済の導入は進んでいないのが実情です。
少し昔のデータにはなりますが、2018年時点において、医療機関でのキャッシュレス決済の導入率は7.5%と報告(キャッシュレス推進協議会)されており、医療機関側、また患者側にとっても、現金主体であることが見て取れます。
しかしコロナ禍を経て、『非接触』の需要が高まったことから、少し様相が変わってきています。患者さん側、また現金を受け取るスタッフさん側からも、手渡しのリスクを避けるためのキャッシュレス決済、というニーズが増えてきました。
なぜ医療機関におけるキャッシュレス決済導入は進まなかったのか?
キャッシュレス決済が医療機関で進まない理由には、大きく以下の3点がありました。
①手数料がかかる
→決済額の2~3%が純粋にコストとして利益から減る
②患者さんからの要望が少ない
→高齢者が多く、現金中心の方が大半を占めている
③手間が増える
→決済の種類ごとに端末を準備したり、決済手法を覚える負担がある
しかしながら、見落とされがちな視点もあります。
見落とされがちな、『現金決済』のコスト
①手数料がかかる
確かに2~3%と、決して安くはない手数料がかかるのは事実です。ただし、その率はあくまでも「窓口での支払い」金額に対してかかってくるものであり、保険診療の場合だと診療金額=売上の1割~3割に対して、2~3%の手数料がかかる計算となります。
そうすると実質的なコスト負担としては1%を切っているため、思っているより負担額が少ないのではないでしょうか。
また最近では日本医師会ORCA管理機構から出されている決済サービスなど、手数料が1%台のサービスも出てきているため、そういったものを選ぶことで更に負担を減らすことができるでしょう。
②患者さんからの要望が少ない
先述の通り、コロナ禍を経て『非接触』の需要が高まっていることからキャッシュレス決済を希望される患者さんは、徐々に高まってきているのが事実です。
わざわざ窓口で声を掛けられる方は少ないかもしれませんが、例えば門前薬局でキャッシュレス決済を導入されている場合、半数くらいの方がキャッシュレスで支払いをしていた、というケースもお聞きします。
一度、実際の需要について確認をされてみてはいかがでしょうか。
③手間が増える
端末を揃えていかなければならない、という事実はありますが、最近では一つの端末で複数の決済ができるサービスも出てきています。
また見落とされがちなのが、比較対象として「現金で決済する」際に発生する手間です。今まで当たり前のように行われてきましたが、
・現金の移動、管理(銀行の入金やお釣りの準備等)
・レジ締の負担(金額が異なった際の残業やクレーム発生等)
等に対し、コストがかかっていると言えます。
こうしたコストは今まで当たり前に行われていたことでもあり、一見すると『見えない』コストですが、実際には大きく負担が生じていることも事実です。
今までは「キャッシュレス決済を導入している」というのは医療機関にとって差別化とまでは言えませんでしたが、今後の社会においては「キャッシュレス決済を導入していない」ことが、そもそも患者さんから「選択外」となるリスクもあると考えています。
もし、まだキャッシュレス決済を導入されていない先生がいらっしゃいましたら、この機会に一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたコンサルタント
川本 浩史
大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。