『シュライバーの導入』それが電子カルテ本領発揮の鍵

2019年10月24日配信

内科クリニックでのスムーズな診療体制を確立する上でぜひ導入を検討したいのが、クラーク(シュライバー)です。クラーク(シュライバー)は大学病院などで導入されているケースが多いと思いますが、電子カルテ入力の補助を行ってくれるスタッフのことです。その導入メリットは後程具体的に説明しますが、スムーズな診療にはクラーク(シュライバー)は欠かせない存在です。

◆クラーク(シュライバー)導入のメリットは?

クラーク(シュライバー)を導入するメリットは大きく分けて次の3点です。

  • 電子カルテ入力時間の短縮

先生は1人の患者さんごとにどれくらいの時間、電子カルテ入力に時間を費やしているでしょうか?長い先生であれば数分、短い先生でも数十秒は診察が終わった患者さんのカルテ作成をしてから次の患者さんを呼ぶ、ということにいなると思います。

1人1人でみるとさほど時間がかかっているように感るかもしれません。しかし内科クリニックの場合、1日に数十人、時期によっては100人以上の患者さんの診察をすることになりますので、合計した時間は非常に長くなります。

仮に1日平均診察人数が70名の内科クリニックで、クラーク(シュライバー)導入によって1人当たりの電子カルテ入力時間が45秒短縮できたとすると、1日52.5分も診療時間を短縮できる計算になります。

 

  • カルテ入力による医師の負担は思ったより大きい

医師がカルテ入力をする負担は大きい2番目は少し定性的な話になりますが、私たちのクライアントの内科クリニックでクラーク(シュライバー)を導入されている先生は、皆さん口をそろえて「クラーク(シュライバー)を入れてから診察で疲れにくくなった」とおっしゃいます。また「一度クラーク(シュライバー)をつけると、もう補助なしでは診察できる気がしない」ともおっしゃいます。

単純にパソコンに向かっての入力作業が疲労感につながるという点があるかと思います。加えて、目の前の患者さんとカルテ作成の両方に気を配りながら診察を進めなくてはならないという点も大きな負担につながっていると考えられます。

 

  • クラーク(シュライバー)導入が患者満足度向上にもつながる!

3番目は診療効率とは直接関係ありませんが、クラーク(シュライバー)は患者満足度向上にもつながります。医師がすべてのカルテ入力を行っている内科クリニックでよくみられる患者さんの不満に次のようなものがあります。

「先生がパソコンばかり見ていて話を聞いてくれているのかわからない」「電子カルテの入力をしている時に話を続けていいのか迷う」

クラーク(シュライバー)を導入すると、先生は患者さんの方を診て診察を進めることができます。その結果患者さんも話を聞いてくれているという安心感が生まれ、結果的に患者満足度が向上します。

 

◆1日の外来患者数が何人ぐらいの段階からクラーク(シュライバー)を導入すればいいのか?

シュライバー導入はどのタイミング?

近年内科クリニックを開業される先生の中には、患者数が少ない開業初期の段階からクラーク(シュライバー)を導入される先生も多くいらっしゃいます。

導入の時期についての考え方は様々ですが、1時間当たりの診察人数が10人を超えているようであれば導入を検討されるべきでしょう。クラーク(シュライバー)は導入を開始してから本格的に効果が出始めるまで一定の期間が必要となります。もちろん人件費との兼ね合いもありますが、クラーク(シュライバー)を任せるスタッフは有資格者である必要はありません。効率的かつ患者満足度も高い診療体制を目指していきたいという先生はぜひ早い段階から導入をご検討いただければと思います。

 

◆クラーク(シュライバー)は具体的にどのようにして導入すればいいのか?

では、クラーク(シュライバー)を内科クリニックで導入しようとした際には、具体的にどのようにして進めていけばいいのかのポイントを説明します。

  • どのようなスタッフにクラーク(シュライバー)をお願いするか?

シュライバー業務は誰に任せるか

最終的には全医療事務スタッフがクラーク(シュライバー)ができる状態が理想ですが、いきなりすべてのスタッフができるようにはならないため、すこしずつクラーク(シュライバー)ができるスタッフを増やしていく必要があります。

クラーク(シュライバー)に向くのは、電子カルテ入力=パソコン入力がある程度できる人(タイピング速度が重要)、かつ基礎的なレセプト知識があるスタッフから優先的に教育を始めていくことが望ましいです。

 

  • 電子カルテのセットの作りこみを行う

これは医師が電子カルテ入力を行う際にも当てはまることですが、疾患ごとのカルテセットの作りこみが重要です。例えば高血圧や糖尿病などの患者数が多い疾患を中心に、処方などのセットの作りこみを行う事で、より効率的にカルテ作成を行う事ができます。

 

  • 医師とクラーク(シュライバー)の役割分担の明確化

まずは役割分担を明確に一言でカルテ作成といっても実際に行う事は、

・該当患者のカルテを開く

・問診内容を入力する

・病名付けをする

・処方を入力する

・点数付けをする

など、さらに細分化することができます。それぞれの手順のどの部分を医師が行って、どの部分をクラーク(シュライバー)が行うかをあらかじめスタッフと相談しながら決める必要があります。

また、最初からすべてをクラーク(シュライバー)スタッフが行うというのは現実的ではありません。スタッフが慣れるまでの間は、簡単な部分から任せて、その習熟度に合わせてお願いする範囲を広げていくことが望ましいでしょう。

そしてその教育内容をもとに、同時にマニュアルを作っていくことをお勧めします。

一度マニュアルを作ってしまえば、新しいスタッフが入職した際にもクラーク(シュライバー)業務を覚えてもらいやすくなります。

 

  • OJTによる教育

クラーク(シュライバー)スタッフの教育にはOJT(On the Job Training)での教育が欠かせません。例えば問診内容を入力する際の医療用語の教育、処方薬の教育など、実際の診療場面でしか学べないことはたくさんあります。

クラーク(シュライバー)はスタッフが業務になれるまでに最低でも3か月程度はかかることが多いですので、繁忙期に機能することを目指して5月~7月ごろに導入を開始することが望ましいと言えます。

 

ここまでクラーク(シュライバー)のメリットや導入のポイントについて解説してきました。クラーク(シュライバー)は内科クリニックが診療効率と患者満足度を両立するためには欠かすことができない施策です。

 

その反面、一朝一夕で導入することが難しい施策でもありますので、しっかりと導入準備をしたうえで実施していただければと思います。

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