仙台消化器・内視鏡内科クリニック泉中央院

山岡 肇 氏

【仙台消化器・内視鏡内科クリニック:医師がチームで医療を提供するクリニック】

船井:

本日は仙台消化器・内視鏡内科クリニックの山岡肇先生にお話を伺います。宜しくお願い致します。

山岡先生:

宜しくお願い致します。仙台消化器・内視鏡内科クリニック泉中央院、院長の山岡肇です。当院では「胃がん・大腸がんで亡くなる人を0にする」のスローガンを本気で掲げています。消化管のがんは予防すら可能な時代ですよね。私たちは「安心・安全で楽な内視鏡」を「働く世代」と「女性」に届けることを目指して、日々の診療を行っています。また、開院時から「医師複数体制」としていることも当院の大きな特徴だと思います。

船井:

確かに珍しいですね。医師1人体制のクリニックが多い中、医師複数体制をとられている理由はなんですか?

山岡先生:

そもそも現代において「1人の医師」は本当に万能でしょうか?専門領域であっても全てのことを、Drひとりで判断することができるのでしょうか?それはキャリアでカバーできるのでしょうか?神の手をもつDrはみなさんの身近に存在するのでしょうか?僕が出した結論は「否」です。今の時代、医師は協力して、知恵を出し合って医療を提供する必要があるのです。

船井:

なるほど。複数の医師で協力することで初めて、より適切な診察や治療を提供することができるということですか?

山岡先生:

はい、そうです。今の医療は「医師複数人のチーム医療」で成り立っています。これが前提なのです。例えば総合病院です。ここでは必ず複数人の医師がチームになります。毎日のようにカンファレンス(症例検討会)をおこないます。また、小さな疑問は検討会まではしなくても、すぐに相談できる体制にはなっています。更にいえば、治療や検査においても複数人であることは大切です。自分が上手くできない手技も「手を変われば」上手くいく。医師ならば誰でも経験があるはずです。

今の医療現場では、医師が複数人で知恵と技術を出し合い、助け合って治療や検査を行っています。それが当たり前なのです。医師は専門領域であっても、それぞれに得意分野がありますし、経験してきたことも、吸収した知識も、医師として育った環境に依存します。だから総合病院の医師も助け合うのです。なのに、いざクリニックを開業すると、それまでのチーム医療から一転、医師1人で診療する...知識においても、手技においてもバックアップがないということです。それが「クリニックだから」許される、はずはありません。それはクリニックにおいても変わらないはずです。ここに大きな違和感を感じていました。

船井:

山岡先生は開業当初から、複数の医師で診察を行っていたそうですね。

山岡先生:

僕には開業する際、絶対に譲れない点がありました。「開業するのなら、絶対に一人ではしない」「それでは良質な医療は提供できないはず」その思いは今も変わっていません。当院は副院長の川端先生と2人体制でスタートし2020年4月からは常勤医4名体制で診療を行っています。また、非常勤の医師も7名在籍します。

船井:

他のクリニックと比較するとかなり大人数ですね。

山岡先生:

はい。そうですね。当院では在籍する多数の医師が、ひとりの患者さんに入れ替わりで診察や検査を行います。あえて「主治医制」では無い体制にしています。

船井:

主治医制ではないのですね。しかし「主治医の先生に診てもらいたい」という患者さんが多いのではないですか?毎回のように担当医師が変わることに、不安を抱く患者さんはいないのでしょうか?

山岡先生:

はい、おっしゃるとおりです。不安を感じる患者さんがいらっしゃることは事実です。一般的に多くの患者さんは、こういいますよね。「主治医って大事ですよね、主治医の先生に全て任せていれば安心です」「だって私のことを全部知っているから」やはり主治医の先生に診察してもらったほうが「安心」という患者さんは多いのですね。そうなると、主治医制ではないクリニックでは患者さんは「安心」できない。

それなのになぜ、このような体制(主治医制の廃止)をとっているのでしょうか?

それは「安全」のためです。患者さんがおっしゃることも、感覚的にはわかりますよ。「主治医って大事ですよね、主治医の先生に全て任せていれば安心です」これって確かに「安心」な気がしますよね。確かに「安心」かもしれせんが、それは本当に「安全」ですか?1人の主治医に自分の体=人生を全てゆだねて本当にいいのでしょうか??僕はそうは思わない。1人の医師に全てを任せるのはリスクが高いと思います。やはり僕の前提にあるのは「万能な医師はいない」という想いです。いっそ主治医制では無いほうが、より良き医療の提供ができると考えています。「Dr1人の開業で主治医制」は、30年前までは通用したと思います。30年前は医療の進歩のスピードは、今よりもずっと緩やかでした。しかし現在のように、まさに「日進月歩」で積み重なる最新の医療情報に1人の医師でついて行けるのでしょうか?さらに現代の開業クリニック院長は、診療以外の業務も膨大に抱え込みます。スタッフのマネジメント、労務管理、広告の戦略立案、企業としての事業計画の作成等、院長の業務は多岐に渡ります。

院長は「医師」という「クリニック唯一無二のプレイヤー」をしながら、「中小企業の社長業」もしないといけない時代です。今は社長業だって結構大変ですよ。中小企業の社長業もしながら、プレイヤーとしても一流の知識と技術を保つ。そんなことが出来るスーパードクターばかりなのでしょうか?そんなことは無いはずです。やはり僕は「クリニックだからこそ医師は複数人」が正解だと考えています。プレイヤーに集中できる医師が、院長以外にもいることになりますからね。まずは「安心」な医療を提供する体制にすることが大切なはずです。本来は「安全」があるから「安心」となるはずです。

船井:

「クリニックだからこそ」というのは興味深いですね。そうお考えになる具体的な理由は何なのでしょうか?

山岡先生:

例えば、以下の6つが挙げられます。
①常に複数人の医師がクリニックにいることで、常に助け合いが可能です。確実に診断や治療の精度が上がります。迷えばすぐに他の医師に助言や助力をお願いできるのです。まさに「三人寄れば文殊の知恵」ですよ。
②主治医制にしないことで、患者さんには常に複数人の医師の目が入ります。それは常に「セカンドオピニオン」を受けているのと同様の安全・安心を常に担保できます。また相互に医療の質を確認することになりますよね。医師が「独りよがり」の「裸の王様」にはなりえないわけです。他医師の目が抑止力として働くので、よりスタンダートな医療を提供する姿勢に繋がります。
③医師も人間です。体調不良で納得いく医療が提供できない時は、休むことができます。体調不良の医師が最大のパフォーマンスで患者さんに対応できるでしょうか?
④医師複数人であることは、クリニック全体に入ってくる最新医療情報の「量」も「質」も飛躍的に上がります。特に若手の医師は「アンテナ」の感度も高い。また、医師が多いということは「アンテナも多い」ということです。
⑤実は一般のひとが思っている以上に、医師の技術的ピークは年齢的に早く訪れます。当院の非常勤医師は総じて中堅クラスです。しかも腕に覚えのある「内視鏡の猛者」です。脂がのってきた、勢いのある若手医師の手技に、医師も職員も常に触れておくことで大きな刺激を得ることになります。

⑥医師1人あたりが診察する患者さんの人数を減らすことが可能です。スタッフの人件費や家賃などの固定費を複数人の医師で負担することになりますので。経営のために無理をしてまで多数の患者さんを診察する必要がなくなります。いわゆる「流行っているクリニック」では医師1人で100人以上診る、なんてことがザラですよね。しかし僕らには考えられません。医師が複数人ならばもっとゆっくり丁寧に診察をすることが出来ます。患者さんひとりひとりに向き合う時間が確保しやすい。便利な駅前立地で、スタッフも多く、最新の機材を揃えても、です。医療資源に限界があるクリニックだからこそ「医師は複数人」で助け合う必要があるはずです。

僕は医師の家系に生まれました。祖父も父も開業医で、弟も既に開業しています。開業医はどういったものなのか?は非開業医家庭出身のDrよりも知っていると思います。子供のころから、そういう環境にいたわけですから。もちろん、これまでのクリニックのあり方を全て否定するつもりはありません。しかし「専門性の高い医療」を提供したいのならば「医師複数人で運営するクリニック」が間違いなく理想ですし、今後はそれがスタンダードになるべきだと思います。当院では「新しい専門開業医の形」も提案して行きたいと考えています。それが患者さんにとっての「安全」、ひいては「安心」に繋がるはずだと確信しています。

船井:

なるほど。医師が複数人のチームで医療を提供することの重要性がとてもよく分かりました。
山岡先生、本日は貴重なお話をありがとうございました。

山岡先生:

ありがとうございました。

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