服部胃腸科様
医療法人社団 魁正会
服部胃腸科
院長 櫻井宏一様
今回は熊本県にある服部胃腸科の櫻井様に取材をさせていただきました。
Q.開業ヒストリーを教えてください。
当院は、初代理事長の服部先生が昭和62年に設立されました。開業当初は年間で4000~5000件の内視鏡検査を実施していたようです。そこから、口コミによる反響と開業医の先生からの紹介により、規模をどんどん拡大していきました。そのようにして、「熊本で内視鏡検査をするなら服部胃腸科」というブランドを築き上げたという歴史があります。
現在は年間22,000件の内視鏡検査を実施していますが、10,000件に到達したのは開業から10年ほど経過したころです。15,000件程の段階で一旦ブレーキが掛かりましたが、二代目院長尾田先生、三代目院長後藤先生のご活躍により件数が増加し今に至りました。
Q.服部胃腸科様の経営状況や人員体制ついて教えてください。
まず経営状況について簡単にお伝えすると、1日平均外来患者数が180件、内視鏡検査数が平均80件(月間2000件)ほどです。人員体制については、常勤医師が9名(うち外来担当医師3名、内視鏡検査担当医師5名、ドック担当医師1名)、非常勤医師6名、医療事務が15名、看護師が21名、検査技師が5名、栄養士4名です。
Q.クリニック経営で重要だと思うことは何でしょうか?
前述の尾田先生が合流されたタイミングで検査数がぐんと飛躍したことからも分かるように、クリニック経営においては「医師のブランド力」や「病院への信頼感」が重要だと考えます。
これらにコミットするため、具体的にはホームページの作り込みや、ドクターごとのスケジュール管理(予約管理・診療日など)は徹底するようにしています。
Q.一日の外来患者数が180人とのことですが、外来患者数を伸ばすうえでどのようなことを大事にしているのでしょうか?
とにかく患者さんの「待ち時間をなくす」ことが重要だと考えております。そこで当院では、医師採用に特に力を入れています。医師を採用することで医師一人ひとりの負担を減らすことができ、医師のパフォーマンスが向上します。結果的に患者さんの待ち時間削減に繋げることができるため、医師の増員は大事にしているポイントです。
また「口コミ」も重要視しています。患者様に「自分の知り合いに紹介したい!」と思ってもらえるような満足度を提供し、良い口コミを広めていただけることが患者数の伸びに直結すると考えています。患者様に満足いただけるような医療を提供できるよう目指しています。
Q.ドクターマネジメントのポイントを教えてください。
ズバリ「医師の余裕をつくる」ことだと考えます。
そのために①医師の疲弊を防ぐこと②モチベーションを保つことの2点を心掛けています。一つずつ説明しますね。
①については、積極的な医師採用に限ると考えます。
現在当院の常勤医師は、いわゆる紹介採用で、全員私の知り合いから採用しています。余談にはなりますが、私自身臨床研究や学会活動などを精力的に行っておりますので、そういった外部活動も紹介採用を行ううえでは大きなポイントになるのではないかと考えています。
②に関して、採用した医師のモチベーションを保つために実施していることを紹介します。
一つは面談の実施です。面談を通じて、医師ごとの特性や性格などを見極めたマネジメントを心掛けています。面談では、本人の目標ややりたいことなどのすり合わせを行うようにし、本人のモチベーションを保つような工夫をしています。また本人の能力に応じた給与設定も意識しています。
さらに、医師以外のマネジメントで気を付けていることとしては、各部門長任せにせず、自分自身もスタッフ一人ひとりをしっかり見るように心掛けています。組織体制が大きくなっても、そこは大事にしているポイントです。
Q.患者満足度を高めるために意識していることを教えてください。
先にも述べていますが、当院は常勤医師9名体制で運営をしています。この「医師の人数に余裕を持たせる」ということが、患者さんの満足を高めることに繋がると考えています。
時間・労力共に医師の負担を軽減することで、丁寧な検査と診察を実現し、患者満足度を向上させることに努めています。
Q.服部胃腸科様が取り組まれている他院との差別化要素を教えてください。
当院が力を入れて取り組んでいる差別化要素として、「女性患者さんへの配慮」が挙げられます。
若い女性からすると、内視鏡検査に対する抵抗というものは非常に強くあります。だからこそ、同性の女性医師による内視鏡検査は価値があり、この環境を整備することはとても大切です。当院は常に外来医師3名、検査医師5名の体制で運営していますが、外来・検査それぞれに必ず1人は女性医師を配置しています。
また、この「女性に対する配慮」をHPでしっかりと訴求することにより、安心感を持って来院して頂けるようにしています。
次に挙げるのであれば、「治療力」ですね。
当院は有床診療所であるため、食道、胃、大腸の内視鏡治療(ポリープ切除、粘膜下層剥離術(ESD))も実施しています。「内視鏡検査は自分で異常を見つけて自分で治療を行うもの」というのが初代院長である服部先生のお考えであり、ポリープの切除まで自院で完了することができてこそ、患者様のためになると思っています。
Q.内視鏡業界に対する展望・課題視していることはありますでしょうか。
内視鏡業界について考えると、「検診の拡大」によって更に内視鏡検査は普及していくのではないでしょうか。特に熊本県においては、70歳以上の方は無料で検診を受けることができるので、内視鏡検査の需要は増えていくでしょうね。
その中で、診断、治療力を高めていくことはとても重要だと思っています。現在私が注目しているもので言えば、「内視鏡AI」ですね。患者さんにより良い内視検査を届けていくためにも技術の進歩は必ず必要で、またそれを積極的に導入していくということが需要だと考えています。
Q.最後にクリニックの今後の展望について教えてください。
現在の23,000件から意識的に増やしていくことはしないつもりですね。手一杯になってしまっている現状があるので、ここから更に増やすというのは少し現実的ではないかなと。
「増やす」というよりは「維持をする」というイメージです。患者さんの声を大切にしながら、適切な対処を取って、この「服部胃腸科」を守っていきたいですね。患者さんを大切にすることがその先に繋がると思っています。
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