クラーク(シュライバー)業務とは?導入のメリットから具体的な手順まで徹底解説

2019年10月24日配信

内科クリニックで診察を効率化するクラーク(シュライバー)とは?

内科クリニックの経営者様、日々の診療において、医師の先生方が「もっと患者様とじっくり向き合いたい」「診察後のカルテ入力作業に時間を奪われている」といったお悩みをお抱えではないでしょうか。
そうした課題を解決し、クリニックの診療体制を劇的に変革する可能性を秘めているのが、クラーク(シュライバー)の導入です。大学病院など大規模医療機関ではすでに浸透しつつあるこの役割は、今や地域のクリニックにとっても、質の高い医療提供と診療の効率化を実現するための鍵となりつつあります。

クラークとシュライバーの違い

クラークとシュライバーは、医療機関で医師の事務作業を補助する職種を指す言葉で、実質的な業務内容に大きな違いはないことが多いです。
「クラーク」は英語の「clerk(事務員)」に由来し、受付や病棟での事務作業全般を担当する広い意味で使われることがあります。一方、「シュライバー」はドイツ語の「Schreiber(書記官)」に由来し、主に診察室で医師の電子カルテ入力を補助する役割に特化した呼称として用いられることがあります。医療機関によっては、患者さんの情報入力はシュライバー、医師の所見や治療計画の入力はクラーク、というように役割を分けて呼ぶ場合もあります。

クラークの役割

クラークの主な役割は、医師の診察に同行し、その場でリアルタイムに電子カルテへの入力を代行することです。単なる「代筆係」ではありません。医師が患者様との対話に全神経を集中できるよう、問診内容、身体所見、診断、検査オーダー、処方内容といったあらゆる情報を迅速かつ正確にデータ化する専門職です。
多忙を極める現代のクリニックでは、電子カルテの普及が診療の効率化に貢献する一方で、医師が診察中に画面と患者様の間で視線を往復させ、入力作業に時間を取られるという新たな課題も生み出しています。特に患者数の多い時間帯や急患対応時などには、この入力負荷が診療時間の圧迫や、患者様をお待たせする原因となり、結果として患者満足度の低下にも繋がりかねません。また、入力作業に集中するあまり、医師と患者様との間の大切なコミュニケーションが疎かになるリスクも否めません。
このような状況において、クラークは医師の「手」となり「目」となって、入力の負担を肩代わりします。これにより、医師は診断や治療方針の決定といった、最も専門的で重要な業務に完全に注力できるようになります。
この革新的なサポート体制が、クリニックの診療現場にどのような変化をもたらし、経営にどのような具体的なメリットを享受できるのか。次章以降で詳しく解説していきます。

クリニック経営におけるクラーク導入のメリットとは?

クリニック経営において、クラークの導入は、診療効率の向上と患者満足度の両立を実現する強力な解決策です。

多くのクリニックが直面する
「診療時間内にカルテ入力が終わらない」
「医師が目の前の業務に追われ、患者対応に集中できない」
といった課題に対し、クラークは具体的な改善をもたらします。

医師が本来の業務である診断・治療に集中できる環境を整え、クリニック全体の生産性向上と質の高い医療提供に貢献します。

業務時間の短縮

クラーク導入は、カルテ記載や電子カルテ操作時間を大幅に削減し、医師を事務作業から解放します。
具体的には、
カルテ入力効率化
医師指示をクラークが即座に電子カルテ入力することで、診療後の「持ち越し業務」が減少します。
診察室サポートの多角化
クラークはカルテ入力に加え、オーダー入力、算定チェック、書類作成補助、待ち人数管理、患者情報要約・伝達、説明補助(予約取得など)といった多様な役割を担います。
一人あたりの入力時間はわずかに感じられても、内科クリニックでは一日に数十人、時期によっては100人以上の患者を診察するため、合計時間は膨大になります。例えば、1日平均診察人数70名のクリニックで、クラーク導入により一人あたり電子カルテ入力時間が45秒短縮できれば、1日で52.5分もの診療時間短縮に繋がります。

医師の負担削減

クラーク導入は、医師の身体的・精神的負担を大きく軽減し、本来の医療行為への集中を可能にします。事務作業に追われず、診断や治療計画、患者説明に専念できるため、診療の質が向上し、クリニックの生産性も高まります 。これは「もっと患者さんを診たい」という医師の意欲に応え、機会損失を防ぐ上で不可欠であり、
クラークは医療機関における医師の強力なサポート役となるためです 。

患者満足度の向上

クラーク導入は、患者満足度向上に直結します。

待ち時間短縮
クラークによるカルテ入力の迅速化は診療プロセス全体のスピードアップにつながり、患者さんの待合室での待ち時間を効果的に短縮します。これは患者さんのストレス軽減に貢献します。
質の高いコミュニケーション
医師がカルテ入力から解放されることで、患者さんと向き合う時間が増え、より密なコミュニケーションが可能になります。患者さんは、医師が自分の話に耳を傾け、丁寧に確認し、説明してくれていると感じ、安心感と信頼感を抱きます。

きめ細やかなサポート
クラークが診療情報を整理し、受付や会計、次回の予約取得などの後続業務にスムーズに連携することで、患者さんの来院から帰宅までの一連の流れが円滑になります。これにより、患者さんはストレスなく質の高いサービスを受けられると感じ、クリニックの評判向上にも寄与します。

◆クラークはいつ導入すべきか?

診療の効率化と患者満足度向上を目指す転換点

クラークの導入は、クリニックの診療効率化と患者満足度向上を目指す上で重要な転換点となります。近年、内科クリニックを開業される先生の中には、患者数が少ない開業初期の段階からクラークを導入する例も多く見られます。

クラーク導入検討の判断基準

弊社の内科クリニッククライアント事例から、クラーク導入の明確な基準が見えてきます。
内科診療の平均診察時間約6分という前提では、医師が一人で対応できる1時間あたりの診察人数は概ね10人が上限です。そのため、貴院の1時間あたりの診察人数が継続的に10人を超えている場合は、導入を積極的にご検討ください。

クラークは導入を開始してから本格的に効果が出始めるまで一定の期間が必要となります 。クラークが業務に慣れるまでに最低3ヶ月程度かかることが多いので、繁忙期を見越して導入スケジュールを組むことが望ましいです 。

◆クラーク導入の戦略と具体的なポイント

クラーク導入を成功させるには、戦略的なアプローチが不可欠です。単に人員を配置するだけでなく、クリニックの現状と目標に合わせた具体的な手順を踏むことで、その効果を最大限に引き出すことができます。

適性のあるスタッフ確保と求人戦略

クラーク導入の第一歩は、適性のあるスタッフを見つけることです。最終的には全医療事務スタッフがクラーク業務をこなせるのが理想ですが、段階的な育成が必要です。

これまで、多くのクリニック様とご相談させていただく中で、クラークの求人時に重視された人物像やスキルとして、以下のような点が挙げられます。

● パソコン入力(タイピング速度)がある程度できる方
● 基礎的なレセプト知識がある方(優先的に教育開始)
● 患者様に近いところでしっかり寄り添って仕事をしたい方
● 素直で明るくポジティブな方
● チームワークを重んじる方
● 資格不要、業界・職種未経験でも歓迎

疾患ごとにカルテセットの作成

電子カルテのセットを作り込むことは、クラークの効率的な入力作業に不可欠です。これは医師の電子カルテ入力にも当てはまります。高血圧や糖尿病など患者数の多い疾患を中心に、処方などのセットを作り込むことで、より効率的にカルテ作成ができます。数値入力や選択のみで済む内容を増やすことで、文字入力を減らし、クラークの入力負担を軽減します。パソコンの予測変換や単語帳登録、カルテのショートカット機能の活用も効果的です。

診療室内の役割分担

医師とクラークの役割分担を明確にすることは、導入成功の鍵です。カルテ作成業務は、問診内容入力、病名付け、処方入力、点数付けなど細分化できます。これらのどの部分を医師が行い、どの部分をクラークが行うかをスタッフと相談して決める必要があります。最初から全てを任せるのは現実的ではないため、簡単な部分から任せ、習熟度に合わせて徐々にお願いする範囲を広げることが望ましいです。

看護師を含む全体最適で診察室内の業務を調整し、効率的な体制を築くことが大切です。

教育体制の構築

クラークスタッフの教育にはOJT(On the Job Training)が欠かせません。医療用語の習得や処方薬の知識など、実際の診療場面でしか学べないことは多岐にわたります。医師や看護師による医療知識の勉強会を開催し、代表的な疾患の検査・処置の流れや、症状に紐づく診断を行うことがおすすめです。
医師や看護師が入力のサポートを行い、カルテ添削や専門用語の伝達、医師が見やすい入力形式を伝えることも重要です。最終的には医師・看護師のチェックが不要になる状態を目指します。教育チェックリスト作成や、伝達内容を動画に残し、今後の育成に活用すると良いでしょう。

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ここまで、クラーク導入のメリットや具体的なポイントについて解説してきました。クラークは、内科クリニックが診療効率と患者満足度を両立させる上で欠かせない施策です。しかし、その導入は一朝一夕でできるものではありません。しっかりと準備を進める必要があります。

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