さかえクリニック様　クリニック経営レポート

先生・クリニックのご紹介

平素よりお世話になっております。株式会社船井総合研究所の村越でございます。

今回は、全国でも屈指の激戦区である愛知県名古屋市の栄にて、25年間美容外科クリニック経営されていらっしゃる「さかえクリニック」院長　末武信宏先生にインタビューをさせていただきました。

末武先生は第88回美容外科学会会長を務められ、美容外科医として30年以上のご経験をお持ちでいらっしゃいます。今回は「美容外科業界の現状と課題」というテーマで貴重なお話をお伺い致しました。

美容外科業界の現状についてどのようにお考えでしょうか？

昔は美容外科医が手術・レーザーと美容皮膚科領域を手掛けていましたが、近年は美容医療に参入される他科の先生がとても増えた様に感じています。業界の発展は喜ばしく思いますが、患者様とトラブルになるケースも散見されており、実際当院でもセカンドオピニオンを求めてご来院される患者様もおられます。

通常美容外科医になるためには膨大な時間が必要ですが、最近では経験豊富な医師を雇用するコストを抑えるため、或いは教育した医師が開業されることを危惧してからか、雇用した医師に満足な研修を行わず、看護師が行う施術を主とするクリニックが主流になりつつあることが原因の一つと思われます。

経営上、このような診療体制が主流になることは十分理解できますが、私としてはこのまま医療のビジネス化が進行すると、業界全体のイメージが悪化する恐れがあると考えております。

ありがとうございます。末武先生は全国でも屈指の激戦区の栄で、長年医院経営されていらっしゃいますが、どのような患者様が何を求めてご来院されていらっしゃるのでしょうか？

当院は著名人・富裕層の患者様に多くご来院いただいております。メインの患者様層の特性上、患者様同士の院内で鉢合わせない様に、１時間に１～２人程度に制限して診察を行っております。

これは経営上、医師が診察できる人数を下げる行為ですが、治療代金はある程度高額に設定させていただいており、患者様お一人ひとりが満足されるように丁寧な施術を提供することを心がけております。

最近は治療価格の下落が著しい傾向にありますが、安価な治療価格を設定し、大量に・短時間に患者様を“さばく”安い医療を提供すると、患者様も不幸ですが、医院にとってもクレームばかり増える結果になると考えております。

その為長期的に観て、経験・技術に応じた適切な治療費用を設定すること、その為の技術研鑽およびブランディング戦略が重要と考えております。

大変勉強になりました。差し支えなければこれから開業される美容外科の先生方へのアドバイスを頂戴できますと幸いです。

残念ながら現在は外科手術だけでクリニック経営が成り立たせることは難しいと考えております。これから開業される先生は、美容外科だけではなく美容皮膚科外来を取り入れていただくことを推奨致します。

また先生がターゲット（年齢・性別・収入層）としたい患者層を開業前からしっかりと明確にしていただき、ターゲット層が抵抗なくご来院いただける立地を意識いただけると良いと思われます。

医療広告ガイドラインの影響で、広告で医院の独自性を訴求することが難しい為、大手のクリニックが有利な保有機器数や価格勝負に陥りがちな傾向があると考えております。その為、先生が可能であれば、所謂なんでも診るというスタイルではなく、競合医院が行っていないニッチな治療領域に専門特化する道を模索していただくことをご検討いただければと思います。

ありがとうございます。最後に末武先生の今後の御展望をご教授いただけますと幸いです。

当院の展望としては、これからも患者様が満足される最先端で丁寧な治療を提供し続けていくということに尽きます。美容外科医としては、1クリニックで満足な医療設備の用意できない都合上、今後も大がかりな手術を行う予定はありません。

ただ実は昔からレーザーメーカーや美容機器輸入業などの企業に対して学術的なコンサルティングを行っておりますし、数年前は新型コロナウイルスの影響で頓挫してしまいましたが、日本の美容医療を中国・韓国に広めるための活動も行っておりました。

私が非常勤講師を務める順天堂大学医学部でのネットワークを生かし企業と協力して次世代のPRPの開発・研究を行い、今後は美容外科医師としての経験を生かした学術活動・コンサルティング活動・専門医教育にも注力していきたいと考えております。医師として患者様に満足される治療に努めつつ、美容外科業界の発展に何らかの形で寄与できればと考えております。

末武先生、本日はお時間いただき誠にありがとうございました。

文責：船井総合研究所　村越健太

本日ご訪問させていただいたクリニックのご紹介