2023年の整形外科クリニックを取り巻く外部環境
目次
いつもめでぃまが!をお読みいただきありがとうございます。
船井総合研究所の先森仁です。
先日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけについて、現在の「2類」から季節性インフルエンザと同じ「5類」への変更を視野に入れた見直しを始めることが表明されました。
厚生労働省「最近の医療費の動向-MEDIAS- 令和4年度4月~6月」によれば、2022年4月~6月の医療費において、2021年の同時期と比較して、まん延防止等重点措置の解除の影響からか、5月~6月の増加が目立ちました。このことからも、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの変更は、クリニックの患者の流れが大きく変わるタイミングとなり得ます。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけだけでなく、2023年以降、整形外科クリニックを取り巻く外部環境は大きく変わろうとしています。
そこで、今回は「2023年の整形外科クリニックを取り巻く外部環境」についてをお伝えしたいと思います。
整形外科クリニックの施設基準の推移
この10年間で、整形外科クリニックにおいては、運動器リハビリはもはや当たり前
というお話は、このメルマガでも何回が申し上げてきたところですが、施設基準の増加には変化が見られつつあります。
医療機関届出情報による有床・無床診療所における運動器リハビリの施設基準別による診療所数について、運動器リハビリの施設基準を持つ診療所は年々増加しております。しかし、この数年間で急増した運動器(Ⅰ)の件数は横ばいとなり、横ばいであった運動器(Ⅱ)・(Ⅲ)が増加しております。
運動器リハビリの施設基準を持つ診療所数(左からⅠ/Ⅱ/Ⅲ)
2021年8月1日:1,886件/3,286件/800件
2022年10月1日:1,889件/3,378件/865件
【参考】
2016年:1,053件/3,389件/822件
2020年:1,606件/3,408件/885件
この状況の理由としては、
・初めから運動器リハビリに力を入れた新規開業が増えている
・運動器(Ⅲ)から(Ⅱ)への移行
・ひと、ものの側面で運動器(Ⅰ)以上のレベルへ拡張できるクリニックが限られてきている
ということが考えられます。
整形外科クリニックにおいて、運動器(Ⅰ)レベルのクリニックの増加が鈍化していることから、運動器(Ⅰ)を維持できるクリニックは地域でもトップレベルの位置を保てることは示唆されます。
整形外科クリニックを取り巻く外部環境
整形外科クリニックの施設基準の推移より、「競合」の傾向が見えてきたと思いますが、外部環境の分析は競合だけでなく、様々な側面からかんがえていかなくてはなりません。
外部環境を分析によく用いられるPEST分析(「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「技術(Technology)」)の視点で、外部要因を箇条書きすると…
「政治(Politics)」
・参議院選挙で、療法士の候補者が全員落選
・2024年の診療報酬・介護報酬W改定
・2023年4月より、オンライン資格確認等システムが原則義務化
・新型コロナ「5類」引き下げ?
「経済(Economy)」
・コロナ禍の一般会計歳出の増大
・円安やインフレによる生活費の増大
・後期高齢者の医療費負担割合の増大
「社会(Society)」
・まん延防止の全面解除後の人流増加
・働き方改革の浸透
・2025年問題(団塊の世代がすべて75歳以上に)
・理学療法士の供給過多、転職市場は停滞?
「技術(Technology)」
・省人化、業務効率化を目的としたデジタルツール自体は進歩
・オンライン診療(診断技術)・ウェアラブルデバイスは普及しづらい?
・治療技術においては、再生医療などに大きな変化はなし
・診療データが全国的に共有?
といったことがあげられます。
こうした外部環境の中で、取り組むべきテーマにつきましては、
過去のメルマガ「今後3年間を左右する、整形外科クリニックの6大経営テーマ」
でお伝えしておりますので、こちらも是非お読みください!
今回は、「2023年の整形外科クリニックを取り巻く外部環境」についてお伝えしました。
今後のクリニック経営にお悩みの先生は、お気軽に弊社の窓口よりお問合せくださいませ。
1回限りではございますが、30~60分の無料経営相談を実施しております。
今後、ますます競争が激しくなる整形外科業界において、より良い診療・治療を患者さんに提供でき、地域に頼られるクリニックづくりの一助となれば幸甚でございます。
次回のメールマガジンもお楽しみに!
交通事故診療の”大変さ”を解消するノウハウを大公開!
地域に根差す整形外科クリニックにとって、交通事故診療の強化はクリニックの持続的な成長に欠かせないものだと思います。
一方で、医療保険とは違った交通事故診療特有の対応や業務の大変さから、取り組みづらいという印象が業界全体に根強くあったかのように思います。
そこで、今回は、交通事故診療を強化し、診療の柱の一つとして確立されているうえだ整形外科クリニックの院長 上田 英範 氏をゲストとしてお招きし、交通事故診療の大変さを解消しながら無理なく強化するノウハウを大公開するセミナーを企画させていただきました。
下記に当てはまる先生方はぜひご参加ください!
☑患者さんの訴えや保険会社からの治療費の打ち切りに挟まれ、対応に困っている方
☑特有の症状や制度の相談などが大変なのにも関わらず、スタッフからの協力が得られにくく困っている方
☑交通事故に遭ってから1ヵ月以上経過して書類だけ書いてほしいという方が増え、その対応に困っている方
☑交通事故患者が増えても大変さが増すことが無く、無理なく成長している成功事例を知りたい方
☑地域に根差した整形外科クリニックにおける交通事故患者の最新の対応方法を知りたい方
<開催日時>
2024/06/30 (日) 14:30~17:30 船井総研グループ 東京本社 サステナグローススクエア TOKYO【八重洲】
2024/07/07 (日) 13:00~16:00 株式会社船井総合研究所 大阪本社
>>詳細はこちらをクリック
2024年の診療報酬改定の全様が少しずつ見えてきており、改めて整形外科クリニックの経営において必要な取り組みとその手順が明確になってきました。
将来的に推進されるであろう、医療費削減、報酬単価の引き下げに対する必要な取り組みがわかります。今後の整形外科クリニック経営の参考にしていただける内容となっておりますので、ぜひともレポートをご覧ください。
・2024年以降の取り組みのヒントが分かる
・今後、整形外科クリニック経営で注力すべきポイントが分かる
・具体的な取り組みとその成果の一部を知ることができる
・地域一番店化を実現するためのヒントが分かる
この記事を書いたコンサルタント
先森 仁
前職では、理学療法士として疾患・医療介護問わず幅広い臨床経験、修士課程でのフィールドワーク・研究活動経験を活かし、“現場の課題をしっかり把握・分析し、早期に業績・利用者満足度の向上をします。
特に、整形外科クリニックを中心に、リハビリテーション科の稼働率アップ、教育体制の構築、運動療法の充実および通所リハビリの立ち上げ→稼働率アップを行ってまいります。