医療法人社団　創造会

我孫子市は千葉県の北西部に位置し、利根川をはさんで茨城県に隣接した水と緑に囲まれた土地である。上野駅から我孫子駅まで常磐線快速で35分、ベッドタウンとして人気だが、近隣地域よりも突出して高齢化が進んでいる地域でもある。 地域医療計画・地域包括ケアシステムと連動し、医療複合施設、『メディカルプラザ』を展開している医療法人社団創造会理事長・前我孫子医師会長の土井紀弘先生にお話を伺った。

高齢化進む我孫子市で地域包括システム構築

二次救急の平和台病院（184床）は、一般 病床86床、地域包括ケア病棟40床、回復期リハビリテーション病床40床、緩和ケア病床18床を有し、我孫子市内で中核を担う病院である。医療法人社団創造会は、平和台病院の他、予防医療センター、病後児保育所、介護老人保健施設エスペーロ、クレオ、介護保険事業所として、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、デイサービス、小規模多機能型居宅介護施設ケアプラザ寿、さらに我孫子市の病後児保育所、サービス付高齢者住宅のアビーサ新木野を持つ。 千葉県地域医療構想を基に病床再編をし、地域包括ケアシステムの構築を行なっている。

平和台病院がある千葉県東葛北部医療圏では、大規模な高機能病院や専門病院が複数存在するため、地域に密着した病院として運営していく方向に舵をきった（2018年）。具体的には、回復期リハビリテーション病棟を2棟を1棟にし、一般病棟の一部を地域包括ケア病棟に転換。高機能病院や専門病院での治療が終わった患者様を平和台病院の回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟で診るという医療連携を始めている。

積極的な留学生受け入れ

　土井理事長は、2017（平成29）年7月より、ベトナム人介護留学生の受け入れを開始。毎年4人を目安に受け入れを行なっている。ベトナム人介護留学生は、本国の看護師の資格を持ち、病院の勤務経験も持っている人材であり、今年度で3期目となる。
留学生は、最初の1年は日本語学校に通い、その後2年間介護福祉士の専門学校に就学し、介護福祉士の国家資格を取得し、5年間は正規職員として創造会で勤務するというスキームである。

土井理事長は、日本の介護人材不足も懸念されているが、それ以上に、日越の国際交流を考えている。今後、留学生が帰国した時に、ベトナムでの介護事業の開設展開を考えている。

創造会は、海外介護人材の受け入れを推進・展開している一般社団法人アジア国際交流支援機構とベトナムを拠点とするシステム開発会社Southeast System Integrators Inc.と共同で『KAIGOグローバルプロジェクト』を結成した。

海外人材受け入れの教育現場から生まれた電子介護記録アプリ「みんなのKAIGO」は、多言語表示、自動翻訳、音声入力が出来るスマートフォンのアプリ。

実務で特に懸念される『介護日誌』や『介護記録』の日本語による記録は、外国人介護従事者はもちろんのこと、受入れ側の海外介護人材の円滑な介護現場への定着を図るためのプロジェクト『日本のKAIGOを世界標準に』をスローガンに掲げ、人材の発掘と教育、そしてKAIGO品質の向上に寄与している。

創造会メディカルプラザの更なる前進

千葉県我孫子市は、高齢化率が全国平均を上回り、人口が減少し始めている地域である。土井理事長は、医療と介護のシームレスなサービスの提供、更なるサービスの向上を目指している。地域包括ケアシステムによる医療介護、リハビリテーション、介護予防、生活支援等、積極的の取り組んでいる。また、出来るだけ病気にならないように「予防」という観点から、「予防医療センター」の健康診断業務にも力をいれており、一般健診、企業健診、市の健診に加え、人間ドック、脳ドックも注力している。質の高いサービス提供のために、人材育成にも力を入れており、前述のベトナム人留学生の受け入れの他、介護福祉士の実務者研修校の設立も行っている。今後はより一層在宅サービスに注力し、創造会の理念でもある、「地域の求められる組織、地域に臨まれる医療と福祉」の提供を行なっていくという理事長の熱い思いが伝わった。