荻窪病院
東京都杉並区にある歴史ある病院
1936(昭和11)年に病院開設され、大病院不在地帯の杉並区で地域の中核病院として地域医療に貢献し、80年以上の歴史を誇る荻窪病院。
2008(平成20)年に心臓血管センターを、2013(平成25年)には別館建設に伴い35床の増床と救急科を設置、2016(平成28)年には病院設立以来初めてとなる脳神経外科の開設と、常に地域における救急医療・急性期医療の需要に応えるべく、変化を続けている。救急科を設置したことにより、救急受け入れ件数も増加、近隣開業医からの紹介も順調に伸び、2017(平成29)年には、東京都地域医療支援病院の指定を受ける。病床数は252床、常勤医78名を有しており、医師事務作業補助者の導入、産科病床の増設等、常に進化を遂げており、年間救急件数は2010年度3,600件弱であったが、2018年は4,400件と増加。手術件数も同様に、2010年は2,775件、2018年は4,029件とこちらも増加。年間紹介数は、2010年は7,956件、 2018年は16,725件と倍増。「252床で400床の貢献を」を掲げ、平均在院日数は10.2から9.1まで短縮されている。
医師事務作業補助者(MA)の活用による医師の業務改善
2019(平成31)年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行され、医師の負担軽減、勤務時間の短縮の取り組みが論じられるようになった。
今後、医師の働き方改革を着実に進めていくためには、業務効率化や他職種も含めた勤務環境改善に取り組むことが不可欠である。医師の業務負担軽減策として、医師事務作業補助者(医療クラーク、メディカルアシスタント)の活用が提言されている。
2008(平成20)年の診療報酬改定により、医師の負担軽減や役割分担を進める目的から、医師の指示の下に、医療文書作成代行などの事務的作業を行う要員として、『医師事務作業補助者』という職種が新たに誕生した。
荻窪病院では、医師事務作業補助者の診療報酬が新設される前から、医師事務作業補助者の導入を検討。その有用性をいち早く認めた院長、副院長の号令の下、診療報酬改定と同時に導入された。
村井院長は、「医師の勤務環境を改善するためには、新しい職種である医師事務作業補助者(以下MA、 medical assistant)へのタスクシフティングが必要と考えた」とのこと。
まず、初期の導入時期(1年目~3年目)は、外科、循環器内科、心臓血管外科、整形外科から開始し、MAの教育は院長、副院長が実際の臨床現場で行なった。医師と共通言語で話が出来るように、外来~病棟回診~内視鏡や心臓カテーテル検査~手術~カンファレンス参加と研修医と同じように教育した。当初は派遣職員もいたが、現在は35~40名、全て常勤職員である。
MA導入のメリットとしては、「患者様の目を見ながら診察を行なえるようになった」「医師は医師にしか出来ない業務を行うことにより、業務効率化を図れた」。そしてなにより、患者様の満足度向上につながったとのこと。
医師の指示の元、カルテ入力、検査予約、診断書作成等の事務作業のサポートや代行を行うことによって、医師しか出来ない診察や治療に専念できる環境を作ることが出来る。村井院長は、MAの働きは医師の力を最大限に発揮することにつながり、手術件数、紹介率、救急患者の増加、診断書等の書類作成までの待機期間の短縮等、導入するメリットは大きいという。
多岐にわたる外科医の業務とタスクシフティング(荻窪病院)
上記の表は、外来患者様に対する外科医の業務であり、 MA導入前は医師が行っていた業務の多くをMAにタスクシフティングしている。コスト面では、MAの加算収入(荻窪病院では、医師事務作業補助体制加算1の15:1)だけでは、当然ながら人件費を賄うことは難しい。しかし、MAが診断書業務を担うことにより、医師の負担が減り、手術件数や外来数の増加につながっていることはMA導入の効果であろう(MAによる書類作成は、2010(平成22)年は2,031件であったが、2018(平成30)年では7,241件となっている)。
カルテや診断書の作成に手間が少なくなったことは、トータルで見れば働く時間の削減にもつながっている。
また、外来で従来は同じ時間で5名しか診られなかったところ、8名診られるようになった。診断書作成まで2週間以上かかっていたが数日で提供できるようになり、患者様のサービス向上につながった。医師も外来や手術、回診の後に書類作成をすることもなくなり、時間外勤務も減少、自身の研究等に時間を使えるようになったという。
村井院長は、当院のMAはチーム医療の一員として、地域医療の一翼を担っていると笑顔で話されていた。
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