社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院

救急応需率99%『相澤ER』

 相澤病院の救命救急センター(ER)は、長野県で6番目(民間病院としては初)の日本救急医学会認定医指定施設認定、長野県初の中信地区新型救命救急センターに指定されている。24時間365日、救急医が初期対応を行い、その後は状況に応じて院内の専門医と連携をとった対応をしている。夜間はどうしても専門外の患者さんは対応できないといった病院が多い中で、相澤病院のERは応需率99%、救急総受診者数38,000人という驚異的な対応をされている。また、救急対応範囲は3次の重症者を診るのみでなく、1次から3次までの対応を行なっている。この理由について、社会医療法人財団慈泉会理事長の相澤先生は、「人口動態が変化していく中で、75歳以上の患者が増えてきている。この75歳以上の後期高齢者が増加した中では、当然ケアニーズも変化し、患者さんを支える枠組みは、『身体機能、生活機能、暮らし方』の3点で捉えていく必要がある。つまり、救急医療は、以前のように3次救急の患者の治療だけをすればいいということではなく、今、その患者さんがどのような社会的背景の中で生活をされているかということまでをアセスメントし、その結果を踏まえて一番必要な治療を提供しなくてはならない。」と、現在求められている救急医療体制について話された。

地域に密着した病院を目指して

 75歳以上の高齢者は、「身体機能や生活機能」が低下しやすく、老年症候群・虚弱者・認知症が増加し、医療機関の受診や要介護の認定割合が高くなる。また、すでに身体機能が低下している中で、新たな傷病を発症するということが多く、一旦入院すると、入院期間が長くなりやすい。さらに昨今では「老々介護や認認介護」といった形で、「生活環境面(暮らし方)」からも退院するまでに時間がかかることが多い。このように疾病の治療や改善を目指すとともに、①生活復帰・生活機能向上を図ること、②個人の個別性、多様性に合わせた価値観の尊重を図るためには、施設収容型の医療では限界があり、生活圏まで入り込んだ包括的医療とケアが必要となり、これから医療と介護と福祉の連携・協働がますます重要となる。  相澤先生は、こういった背景を踏まえ、患者を中心に据えた法人経営を展開されている。直近では、救急医療を核とした急性期治療を中心に診療圏を拡大して、急速に生じる松本圏域の人口減に対応できる急性期型医療機能を有する相澤病院から、超高齢社会に対応して、地域包括ケアの中核となる地域密着型医療機能を有する相澤東病院(54床)に分けて病院を運営されている。

相澤東病院は在宅療養支援病院として開設されたが、 同年には全床を地域包括ケア病棟へ転換して いる。 相澤病院の急性期治療後の患者の受け入れだけではなく、在宅で生活・療養されている患者の 受け入れを行っている。同院は、単に地域包括ケア病棟として、ポストアキュート・サブアキュート 機能を担うといったところに留まらず、医療・介護・福祉の連携強化や在宅医療を通じて、在宅サービスを担う地域在宅医療支援センターと協働して、周辺地域における地域包括ケアの中心的医療機関の役割を担っている。  地域在宅医療支援センターでは、居宅介護支援事業所・訪問看護ステーション・ヘルパーステーション・通所リハビリテーションセンターが一堂に会している利点を活かし、同院を中心とする生活圏において、地域密着型サービス事業所(定期巡回、随時対応型訪問介護看護を提供)として地域の生活を支えている。更に、近接する場所に開設したサービス付き高齢者向け住宅「結」本庄と「結」つかまの 2棟を、安心して生活できる場所がない高齢者の住居として活用し、同院の医療と同支援センターの医療介護サービスなどを受けて、安心して生活できる環境を構築している。

 また、相澤先生はこういった患者の病期・身体機能や生活機能といった軸とは別に、各世帯の経済力という軸までも含めたシームレスなサポート体制を法人経営に落とし込んでいる。例えば、こういった居住系施設を活用したサービスは一定の収入がある層の利用者しか受けることのできないサービスである。そのため、金銭的負担が少なくて済む特別養護老人ホームとの連携も大切にされ、居住系施設の金銭的負担が難しいが入所を必要としている人も、地域包括ケアシステムの中から零れ落ちることがないような体制を築かれている。

 最後に、大きな転換期を迎えている病院経営についてお伺いしたところ、相澤先生は以下のように述べられた。 「病院経営は、患者さんありきです。当然のことですが、利益重視では治療の質が変わってしまいます。ですから当法人では、3~5年スパンで様子を見ながら『益』の部分を考えています。結局のところ、患者さんに合った良い治療ができるかどうかということが重要ですから。医療の『質』にこだわり続けることが病院経営の根幹です。」  今回、相澤先生には大変ご多忙の中、取材の時間を頂戴いたしました。 診療報酬や介護報酬の改定に合わせた病院経営だけでなく、改めて「患者さんをど真ん中に置いた病院経営の重要性」について事例を通してお話いただいた先生には、心より感謝申し上げます。

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