「通所リハビリ立ち上げを検討の先生は必読!立ち上げについて、知っておきたい6つのこと」

2020年10月27日 (火)

科目:
整形外科
コラムテーマ:
経営計画/経営管理



こんにちは。
船井総合研究所の先森仁です。

最近、先生方からのご相談で、
「通所リハビリを立ち上げたいのですが、いかがでしょうか?」
というご相談が多く見られるようになりました。

通所リハビリ立ち上げの話が盛り上がったのは、2019年4月に、医療保険による要介護・要支援被保険者に対する維持期・生活期の疾患別リハビリの算定が認められなくなる、いわゆる「150日超え」(※運動器リハビリの場合)の対応が必要となった時期です。

今後も高齢化は避けられない上、また、後期高齢者の負担割合増など医療保険での診療に影響が出てくることが予想されるため、リハビリを提供されているクリニックの先生方は、介護保険サービスの導入を検討されると思われます。

特に、通所リハビリに関しましては、短時間(1~2時間)のタイプの導入がおススメとなります。
理由といたしましては、

  • 医療・介護のスペースが併用できるため、はこものの設備投資が不要
  • “人員的には”、既存のスタッフでの対応が可能(※最低4名のPTは必要)
  • 申請から立ち上げまでの期間が2~3ヶ月程度で完了する

といった、導入におけるストレスが少ないことが理由でした。

ただし、立ち上げて見たものの、「利用者が増えない」・「スタッフが通所の運営に乗り気でない」・「運営が回らない」などといったお話は、経営相談などで耳にしたり、実際に通所立ち上げをサポートしてきた中で経験することも少なくありませんでした。

そこで、こうした事例を通して、通所リハビリ導入の際に知っておいて頂きたいことをお伝えいたしますので、通所立ち上げの際のご参考にして頂き、該当する課題についてご不明な点については、お気軽にご相談頂ければと思います。

 

①報酬について

基本料金の構造が、要支援・要介護の方で異なります。
要支援は「1月あたり」・要介護は「1回あたり」となります。また、介護度によって単価も変わります。
利用者さんの介護度や利用頻度によって差はございますが、お一人あたり25,000~35,000円が相場になります。

今後はサービス提供の成果によって、報酬が左右されることが予想されるため、リハビリを強化できる体制が整うと、単価はアップしやすくなります。

 

②利用者さんの対象について

クリニックにおける短時間通所リハビリの場合、売上・業務負担を考慮すると、要支援の方をメインにして、要介護の場合は1または2までが良いと思われます。
また、基本動作は自立されていることは必ず確認をしていきましょう。

 

③サービス形態について

考え方は大きく分けて2種類ございます。

ひとつは、「医療保険でのリハビリの延長線上(施術あり)」、もうひとつは、「介護予防を目的とした運動中心のプログラム(施術なし、ありでも5分程度)」となります。
前者は、診療時間内にリハビリ室で、運動器リハビリと並行して行い、後者はお昼休みを活用して集団で行うケースが多いです。

 

④立ち上げの目安

介護保険サービスの展開の土台には、必ず運動器リハビリの強化が必須です。
そのため、通所リハビリの立ち上げにあたっては、レセプト1,000~1,400枚・運動器取得単位が月1,800~2,000単位・PT4~6人が目安となります。

 

⑤通所リハビリで生じるリハビリスタッフの業務について

通所リハビリの利用が決定した際、PT・OTさんは、居宅訪問をして家屋チェックをする必要があります。

また、可能であれば、そのタイミングで“サービス担当者会議”という介護サービスに関わる方々(ケアマネ・ヘルパーなど)と利用者本人・その家族で、サポートの方向性を検討する打合せを行います。
お一人あたり約2時間(移動も含む)程度、時間を費やすので、運動器リハビリの枠を閉じたりする必要があります。

 

⑥PTの特徴

整形外科クリニックを希望したPTは、「治すこと」への興味が大きく、介護サービスに対して興味がなかったり、必要性を理解していないケースが多いです。
これは、整形外科と介護のリハビリ両方経験した私の主観ではありますが、通所の利用者は身体機能の変化が乏しく、やりがいを感じられなくなることが理由にあるかもしれません。

介護サービスに興味を持たないPTの説得は、なかなか難しい所がございます。
クリニックのビジョン・介護サービスの重要性・運営イメージを固めていくことが必要になってきます。

 

介護保険をお持ちの患者さんの受け皿で良いかなとお考えの場合は、運動器リハビリの枠数・計画書の算定・手間を考慮すると、第一段階と致しましては、医療保険の最大化を目指す方が良いと考えます。
それにあたっては、集患や運動器リハビリ強化というテーマが生まれますが、まずはそこの対策を講じていきましょう。

しかし、最初にも申し上げましたが、高齢化や後期高齢者の負担割合の変化により、介護サービスのニーズはございます。
通所リハビリを始める前に一度、今回の内容をご確認頂き、通所リハビリの立ち上げの判断材料または開設の決断の後押しとなりましたら幸甚でございます。

今回は、「通所リハビリ立ち上げについて、知っておきたい6つのこと」についてお伝えしました。
ご不明な点がありましたら、お気軽に弊社までご相談くださいませ。

次回のメールマガジンもお楽しみに!

 

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この記事を書いたコンサルタント

先森 仁

プロフィール詳細

前職では、理学療法士として疾患・医療介護問わず幅広い臨床経験、修士課程でのフィールドワーク・研究活動経験を活かし、“現場の課題をしっかり把握・分析し、早期に業績・利用者満足度の向上をします。
特に、整形外科クリニックを中心に、リハビリテーション科の稼働率アップ、教育体制の構築、運動療法の充実および通所リハビリの立ち上げ→稼働率アップを行ってまいります。

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