整形外科クリニックの絶対に失敗しないスタッフマネジメントの考え方

2020年10月12日 (月)

科目:
整形外科
コラムテーマ:
スタッフマネジメント スタッフ定着率

全国の整形外科のクリニックの先生方と毎日お話させていただいている中で、
最近は特にマネジメントに関する話題が多いような印象を受けます。

整形外科の科目の性質上、医師・看護師・理学療法士・放射線技師など
様々な専門職の方が多く働かれており、
診察室以外の場所が、実態がわかりにくいブラックボックス化しているため、
正解が見えない手探り状態で、マネジメントを行わねばならないことが、
多くの整形外科の先生方の悩みであると思われます。

また、近年の新型コロナウイルスに対する感染対策を行うなどの取り組みを通して、
今までは見えてきていなかった
【人材のマネジメントの課題】が浮き彫りになり、

整形外科のクリニックの院長より、
「 マネジメントが上手くいかない 」というご相談の件数が、
昨年よりも、3倍以上に増えています。

そして、実際にご契約いただき、
いざ、現場のスタッフさんとお話させていただきますと
下記のようなお話をスタッフさまからお聞きすることがあります。

 

① 任されることが嫌になるパターン

上司(主任・院長)から依頼されたお仕事に関して報連相をしようとすると、
「 忙しい 」という理由で時間を取っていただけず
いざ時間が取れたと思ったら
「 報告が遅い 」とご指摘をうけるので、
指示を受けること自体が嫌になる。

 

② 頑張ることが嫌になるパターン

上司(主任・院長)から依頼されたお仕事に関して報連相をしようとすると、
「 任せているから自分で考えて実行してほしい 」と指示を受け
全て行った結果、上手くいかなかったら
「 報連相が全くできてない 」と怒られて
上手くいっても
「 当たり前だ 」ということを言われ、
何をしても認めてくれないので頑張ろうという気になれない。

 

③ 仕事自体が嫌になるパターン

上司(主任・院長)から依頼されたお仕事に関して
既に業務量が多く、残業が毎日2時間以上であるため、
物理的に業務を引き受ける余裕が無いと説明すると
「 やりたく無いから言い訳をしているだけ 」
「 あの人は非協力的だ 」というような誤解を受けてしまい、
それ以降、上司からの評価が下がってしまったので
もう、今の仕事以上の事をやりたいと思わなくなった。

 

などなど。。。

こちらは誇張などではなく
様々なクリニックのスタッフさんと面談をさせていただく際にお聞きする
いわゆる双方の「 誤解 」から生まれる
「 あるある 」のマネジメントの問題でございます。

これらのお互いの「 誤解 」による意思疎通が測れなくなってしまう要因として

◆仕事を依頼した側と依頼された側でのお互いの状況に認識のズレがある
◆全員がプレイヤーのため情報交換の時間が不足している
◆「 言わなくても分かる 」という思い込みによる説明不足

などが、ございます。

その結果として
お互いがストレスを感じ、
意思疎通がスムーズに出来なくなり、
評価を下げあってしまい、

これらが風通しのよい組織づくりをする上での壁となっております。

 

「 人材のマネジメントの方法が知りたい 」というご相談をいただいてから
上記のようなお話をスタッフさんからお聞きしたのちに
殆どのケースで我々は
「 スタッフミーティングを行いましょう 」と
ご提案をさせていただきます。

短期的に効果がでるマネジメントの施策ではございませんので
半信半疑の経営者様もいらっしゃいますが
半年から1年程行っていただくと
「 マネジメントが上手くできるようになってきたから、
従業員満足度(ES)を上げるために
スタッフの為に行えることは他にないか      」 
という嬉しいお言葉を聞くこともございます。

実際に、マネジメントがうまくいき
従業員満足度(ES)が非常に高いところでは
月に1回午後を休診にしてでも、時間を取って、
スタッフミーティングを行っているところもございます。

そこまでにするほど
情報共有するという時間は必要不可欠でございますので
マネジメントに困っているが
何から着手すれば良いのか分からないという場合には、
まずはスタッフミーティングから始めてみることをお勧めします。

 

また、整形外科の先生方には、
マネジメントに関して、起こりうる課題を想定して、
先回りして対処しておきましょうとお話しすることがございます。
下記によく起こる10個の課題をあげてみました。

 

ポジション(立ち位置・役割・機能)による課題

【よく起こるマネジメントの課題①】

  • 各役割やポジションの認識が統一されてないとお互いを批判しあう。

▷相手への期待値がそれぞれ異なり、何をされても相手に不快感をいだいてしまう。
▷仕事を全うしても「 でしゃばり/仕事をしない 」などのネガティブな評価を受けることがある。

【マネジメントの解決策】
組織図を作成して、指示系統を共通の認識とする。
そうすることにより、誰が誰に対して指示を行うべきなのか、
どこまで行うべきことなのかを理解ができ、
指示系統がスムーズになる。

【よく起こるマネジメントの課題②】

  • 仕事の責任の所在が不明確で、責任のなすりつけあいをしてしまう。

▷自分の仕事よりも、相手に対する愚痴ばかりになってしまう。
▷自分には関係ないことと思い、協力をしなくなることがある。

【マネジメントの解決策】
長所を見つけ、仕事に人をつけていき、属人性を排除しつつ、実行する。

【よく起こるマネジメントの問題③】

  • 業務のプロセスが不明確で、指示が機能しない。

▷実行者は各「 プロセス 」を体験するが、指示を出した側は「 結果 」しか見えていない。
▷「 構想 」と「 実行 」には大きな隔たりがあり、現場と幹部での溝がうまれる。

【マネジメントの解決策】
「 任せる 」という行為は「 作業の委託 」であり、責任は指示を出した側にあると認識をする。
また、指示を出した側は「 承認 」、指示を受けた側は「 結果 」を相手に伝える意識をもってコミュニケーションをとる。
さらに、現状と目的のすり合わせを行って、報連相のルール確定させる。

 

教育(スキルアップ)の課題

【よく起こるマネジメントの課題④】

  • 価値観やマインドが変わらない人は、スキルも変わらないという勘違いが起こる。

▷変化がないことで教育自体を放棄してしまう。
▷「 教えられてないから 」できないことと「 教えても 」できないことを混在して考えてしまう。

【マネジメントの解決策】
必要なスキルや知識の全容を見せ、通常業務の時間外に時間を設けて教育を行う。

【よく起こるマネジメントの課題⑤】
1度教えたことは必ずできると思い込み、できない人の評価を一方的に下げてしまう。
▷教える側のノウハウが体系化されておらず、
枝葉ばかりで全体像が把握できなくない教育となり、知識の定着率は低い状態が続く。
▷基本的なことは出来ると錯覚のもと、基礎を抜きで教えることで、クレームが多発してしまう

【マネジメントの解決策】
必要なノウハウはテキスト化(写真や動画があるとより好ましい)し、教育責任者を設けて、質問しやすい環境をつくる。
また、何事も基礎から確認して、教える。

【よく起こるマネジメントの課題⑥】

  • できない事ばかりにフォーカスして、相手を肯定できなくなってしまう。

▷知らないからできないこと、苦手なことは、誰にでもあるということを忘れてしまう。
▷自分にできることは、他人もできると錯覚してしまい、自分が出来なかった時のことを忘れてしまう。

【マネジメントの解決策】
得意なことや、今できることに目を向け、再配置・再教育をする。
しかしながら、本人がこの場所にいても幸せにならないであれば、輝ける場所に誘導するか、活躍できる場所を作り上げる。

 

労働環境の課題

【よく起こるマネジメントの課題⑦】

  • 余裕がなくなると、視野が狭くなり、不満が溜って、意味もなく八つ当たりをしてしまう。

▷業務過多(業務付加)により、労働時間内の作業が単調的に増加している。
▷業務時間と業務量の整合性が取れなくなってきている。

【マネジメントの解決策】
イライラしている要因は、業務量である可能性を考え、
一度業務の棚卸を行い、業務量をコントロールする。
さらに、作業・会議のために時間を別に設ける。

【よく起こるマネジメントの課題⑧】

  • 人間関係がよくない相手には、必要なことも伝えきれず、悪循環に陥ってしまう。

▷力関係の誤認により、自身の立ち位置よりも、上の発言権を持ってしまっている人がいる。
▷言われてないということは、良いことだ/問題がないからだ と勘違いをしてしまうことがある

【マネジメントの解決策】
指示や注意をする方の後ろ盾と設けるために
ミッションやビジョンから「 クレド 」「 行動指針 」「 方針 」を作成し、それらをもとに指導する。

 

感情のマネジメントの課題

【よく起こるマネジメントの課題⑨】

  • ずる賢い/立ち回りが上手い人が楽をして、真面目な出来る人が気持ちを押し殺して作業するということが起こってしまい、耐えきれずに良い人材から退職をしていく。

▷愚痴を言える相手がいないこと、それが当たり前としてしまうことで心理的な負担が増える。
▷負荷が最高潮に達することで視野が狭まり、他者のことを考えにくくなる。
▷得られる報酬が少ないと感じてから、水面下で動きだし、転職先が決まると退職をする。

【マネジメントの解決策】
上司やメンター(他部署の上司・同僚)などが感情の引き受けを行うか、
外部(カウンセリング・コンサル会社)に吐き出す機会を設ける。

【よく起こるマネジメントの課題⑩】

  • お互いの歩み寄りがないため、声の大きい方の価値観に合わせて進み、議論にならない。

▷他者の立場や視点を考えられず、共感・配慮・我慢ができなくなってしまう。
▷意見を否定されると、人格を否定されたと勘違いし、勝手に傷つき落ち込んでしまう。

【マネジメントの解決策】
事実と意見を分けて考え、解決策を考える前に「 検討すべき課題のすり合わせ 」を行う。
(課題は立体的であるので、視点が変わると見え方が変わると理解する)

 

以上が10個のよくある課題とマネジメントの解決策でございます。
その他にも様々な課題が起きることもございますが
紐解いていくと大なり小なり同じような課題に突き当たります。

是非、マネジメントを行っていくにあたっては
スタッフとの対話の時間を多く設けて相手を理解をしていくことから始めることをお勧めします。

上記のことを試していただければほどんどの課題は解決できると思いますが
もし、お手伝いが必要な際には下記のURLのお問合せ内容に
「 マネジメントのコラムを見て連絡した 」
とご記載いただけると幸いです。

▼お申込み・詳細はこちら▼
https://lp.funaisoken.co.jp/mt/form01/inquiry-S033.html?siteno=S033

 

 

最後に、ここまでお読みいただきました方に、経営に役立つ無料マニュアル・レポートをプレゼントいたします。

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すぐに実践可能な内容が盛りだくさんのレポートとなっているので、是非ご参考にしてください。

最後までご覧いただきありがとうございました。
次回のコラムをお楽しみに。

野中達裕

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この記事を書いたコンサルタント

野中 達裕

早稲田大学を卒業。船井総合研究所に入社。看護師、理学療法士、放射線技師、医療事務などの専門職採用に注力し、小規模から大規模の法人の採用まで規模に合わせた幅広く実績を持つ。また、現場での勤務経験を活かし、医療現場の生産性向上のための診療効率化に対する提案に定評がある。

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