Table of Contents
眼科医の先生方へ
船井総合研究所の渡邊です。
本コラムでは、眼科クリニック経営に役立つトピックスやヒントをお届けしていま
す。
今回は、2026 年度(令和 8 年度)の診療報酬改定に向けた議論が本格化する中で公開された「短冊(改定項目案)」の内容をもとに、眼科クリニックに影響を与える項目について列挙させていただきます。
眼科クリニック経営において特に影響が大きいと考えられるのは、以下の 5 点です。
(1) 短期滞在手術等基本料 1・3 の見直し
(2) 近視抑制治療の選定療養化に伴う検査制限
(3) 糖尿病患者さんにおける眼科医療機関連携強化加算の新設
(4) ベースアップ・初再診料に関する改定
(5) 医療 DX・ICT 活用に関する改定
それぞれの項目についてお伝えさせていただきます。
(1)短期滞在手術等基本料 1・3 の見直し【マイナス改定】
短期滞在手術等基本料 1・3 において下記改定が予定されています。
• 基本料 1(日帰り)の点数:
o 麻酔を伴う手術:●●点(現行 2,947 点から改定)
o それ以外:●●点(現行 2,718 点から改定)
• 基本料 3(4 泊 5 日)の対象手術・点数の見直し
o K202 涙管チューブ挿入術
o K217 眼瞼内反症手術
o K219 眼瞼下垂症手術
o K224 翼状片手術
o K242 斜視手術
o K254 治療的角膜切除術(エキシマレーザー)
o K268 緑内障手術(水晶体再建術併用眼内ドレーン)
o K282 水晶体再建術(白内障手術)
短期滞在手術等基本料 1 の点数変更による特に白内障手術における減収の可能性と、短期滞在手術等基本料 3 の要件見直しによる、入院設備をお持ちのクリニック様での運用見直しの可能性が予想されます。
(2) 近視抑制治療の選定療養化に伴う検査制限【新設】
近年ニーズが高まっている小児の近視抑制治療(低濃度アトロピン点眼等)に関して、選定療養になるとともに検査に制限が設けられる方向です。
• 回数制限: 近視の進行抑制を目的として、当該効能効果を有する医薬品を投与している患者に対し、眼科学的検査を行った場合は、**「年 2 回に限り」**算定可能となります。
• 検査項目数制限: 1 回の受診で複数の検査を行った場合、**「2 種類を限度」**として算定することとされました。
選定療養となることでこれまで以上に近視抑制治療へのニーズが高まり、小児の患者増が見込まれます。同時に夕方以降、土曜日の検査が混雑していくことが予想されます。
(3) 糖尿病患者さんにおける眼科医療機関連携強化加算【新設・プラス改定】
内科等の「生活習慣病管理料(I)・(II)」において、眼科との連携を評価する加算が新設されます。眼科にとって、内科からの紹介受診が増え、糖尿病網膜症の患者さんが増えていくことも予想されます。
レーザーや硝子体注射の治療による収益増の機会となることが見込まれます。
• 新設: 眼科医療機関連携強化加算
• 内容: 糖尿病を主病とする患者に対し、内科医が眼科受診が必要と認め、眼科を標榜する他院への受診に当たり必要な連携を行った場合、内科側で患者 1 人につき年 1 回算定できます。
(4) ベースアップ(賃上げ)・初再診料に関する改定
① 初診料・再診料の引き上げ【プラス改定】
物価高騰・賃金上昇対応として、基本診療料が引き上げられます。
• 初診料: 現行 291 点から ●●点 へ引き上げ
• 再診料: 現行 75 点から ●●点 へ引き上げ
• 外来・在宅物価対応料(新設): 物価高騰対応として、初診時・再診時に算定できる点数が新設される予定です。
② 医療従事者の賃上げ対応(ベースアップ評価料)
看護師、視能訓練士、事務職員等の賃上げを実施するクリニックを評価する仕組みが新設・拡充されます。
• 外来・在宅ベースアップ評価料(I): 初診時・再診時等に加算
• 外来・在宅ベースアップ評価料(II): (I)だけで賃上げ目標に届かない場合、救済的に算定可能な段階的な評価スタッフ様の賃上げに苦慮されている先生方が多い中でのメリットのある改定となります。一方周辺施設との賃金差が生じないかの確認も必要となってまいります。
(5) 医療 DX・ICT 活用に関する改定
① 医療 DX 推進体制整備加算等の再編【見直し】
現在の「医療情報取得加算」「医療 DX 推進体制整備加算」が廃止され、新たな加算に組み替えられます。
• 新設: 電子的診療情報連携体制整備加算
マイナ保険証の利用、電子処方箋の発行体制、電子カルテ情報共有サービスの活用などを包括的に評価するものになると予想されます。初診時・再診時それぞれに点数が設定されます。
② 電子処方箋・リフィル処方箋の推進
• 遠隔電子処方箋活用加算(新設): オンライン診療時に電子処方箋を発行した場合の評価が新設されます。
• リフィル処方箋: 処方箋様式の見直し等により、さらなる活用促進が図られます。
③ サイバーセキュリティ対策
• 診療録管理体制加算: サイバーセキュリティ対策が要件として強化される見込みです。
(6)その他 運営・管理に関わる重要項目
① 長期収載品の選定療養
患者さんの希望により長期収載品を使用する場合、長期収載品と後発医薬品の価格差の4分の1相当を患者負担としているが、これを価格差の2分の1相当に引き上げられます。
患者さん負担が増える可能性があり、窓口での説明が必要になることが予想されます。
② ウェブサイトへの掲示義務化
施設基準等の掲示事項について、院内掲示だけでなく「原則としてウェブサイトに掲載していること」という要件が多くの加算(医療 DX 関連、感染対策関連など)で追加されています。自院ホームページを持たないクリニックへの経過措置はありますが、ホームページの更新・整備が必要となります。
同じテーマで記事を探す
この記事を書いたコンサルタント

渡邊 栄
大学卒業後、企業信用調査会社にて5年勤務。その後製薬企業のMR・サプライチェーン部門にて10年以上眼科領域を担当、経営学修士(MBA)修了。
中途で船井総合研究所に入社し、眼科クリニックを専門としたコンサルティング活動に従事。
緑内障・硝子体注射・アレルギー・感染症などの分野に強く、安定したクリニック成長のお手伝いをしている。
クリニックの業績UPと無理のない診療体制構築の両面からクリニックの発展に尽力している。


