医療法人が分院展開を成功させるための組織図の作り方は何ですか?

2026年03月04日 (水)

科目:
コンサル
コラムテーマ:
分院展開

まずはクリニックのコンセプトを確立し、本院と分院のそれぞれが目指すべき方向性を明確にします。そのうえで、分院長となる医師や現場のスタッフを充足させ、権限の整理を明確化しておくことが求められます。

1. クリニックコンセプトの確立:多角化の「羅針盤」を作る

分院展開において最も重要なのは、本院と分院それぞれが目指すべき方向性を明確にする「クリニックコンセプトの確立」です。

コンセプトが曖昧なまま規模だけを拡大すると、各分院がバラバラの方向を向き、法人のブランディングが崩壊します。多くの医療法人が2院、3院と拡大する過程で、スタッフの離職やサービスの質の低下といった「成長痛」に苦しむのは、組織の設計図が1院経営の延長線上のままだからです。

これを防ぐためには、まず「法人の理念(共通の価値観)」と「各クリニックの役割」を定義する必要があります。

本院は「かかりつけ内科」で分院は「内視鏡特化」のように、それぞれが相互に補完し合う関係性を明確にすることで、患者は「どの院に行けば、どのような医療を受けられるか」を直感的に理解できるようになります。また、スタッフにとっても「自分たちの存在意義」が明確になり、組織への帰属意識が高まります。コンセプトは、多角化しても医療の質を均一に保つための「羅針盤」となります。

2. 医師とスタッフの充足:採用から「選ばれる組織」への転換

コンセプトが固まった次に直面する課題は、それを実行する「医師と現場スタッフの充足」です。分院展開の成否は、事実上「良い分院長を確保できるか」に懸かっています。

現代の医療業界において、単に高い給与を提示するだけでは優秀な人材は集まりません。特に分院長候補となる医師は、自身のキャリア形成や働きやすさを重視します。以下の3つの視点で「選ばれる組織」を作る必要があります。

キャリアパスの提示

「一生雇われの院長」ではなく、将来的な分院の承継、あるいは法人の理事としての経営参画など、医師の野心やライフステージに応じた出口戦略を提示すること。

採用のミスマッチを防ぐ

確立したコンセプトを前面に出し、スキルだけでなく「理念に共感できるか」を基準に採用を行います。
これにより、分院展開時に起こりがちな「院長と法人のミスマッチ」を未然に防ぐことができます。

3. 権限の整理と明確化:ガバナンスと自律性の両立

最後にして最大の難所が、「権限の整理」です。理事長がすべての決定権を握り続けると、分院が増えるにつれて経営判断がボトルネックとなり、現場のスピード感が失われます。逆に、すべてを分院長に任せきりにすると、法人の統制が効かなくなるリスクもあります。これを解決するには、組織図において責任境界線を明確に引くことが不可欠です。

「何を決めてよくて、何を相談すべきか」を明文化した権限規定を作成し、それを組織図と連動させることで、理事長がいなくても円滑に回る「自律型組織」への転換が可能になります。

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