2026年の改定で機能強化加算はどうなる!?

2025年12月09日 (火)

機能強化加算の導入目的と現状の課題
なぜ見直しが避けられないのか?

2016年度の診療報酬改定で登場した「機能強化加算」は、初診時に80点が算定できる点数として、地域で質の高いかかりつけ医機能を提供している医療機関を評価するために作られました。この機能強化加算の算定要件には、患者の継続的な管理、24時間対応体制、連携先の確保、医療情報提供などが含まれていました。しかし、この機能強化加算は、新設された当初から問題点も指摘をされていました。

・評価の形骸化
多くの医療機関が、看板や掲示物、書面上の体制を整えることで算定することができていましたが、患者に対して質の高い機能(例えば、重症化予防への積極的な介入や、多職種連携など)が提供されているかの側面は計測することが困難でありました。

・初診時算定の限界
継続的なケアを本質とするかかりつけ医機能の評価が、単発的な初診時の加算に留まること自体が、制度の目的とズレているのではという指摘が長年されてきました。

こういった課題を背景に、国は2025年4月より「かかりつけ医機能報告制度」を施行することになりました。これは、単なる体制ではなく、医療機関が実際に提供している詳細な機能の実態を報告させるための、今後の診療報酬改定に向けた土台作りとなります。

2026年度の診療報酬改定で予想される
「機能強化加算」の抜本的転換とは?

2026年度の診療報酬改定では、この機能報告制度の結果を反映させ、外来医療の評価を「体制評価」から「実態・アウトカム評価」へと転換することが確実視されており、機能強化加算の見直しが検討されています。

・既存の「継続管理」点数への統合と名称変更?
機能強化加算が、患者の継続的な管理を評価する「地域包括診療料・加算」や「特定疾患療養管理料」などの既存の点数に統合され、またこの統合を機に、「かかりつけ医機能総合評価料(仮称)」などのような新たな名称として再編される可能性があります。

・多機能・多職種連携の度合いに応じた「段階的評価」への進化?
仮に機能強化加算の名称として残るとしても、その評価内容は「報告された機能レベル」に応じて明確に階層化されることになるかと思います。初診時に80点といった単一の点数ではなくなり、管理や他職種連携を担う医療機関には、手厚い評価が適用される可能性があります。

医療機関に今すぐ求められる対策とは?

2026年度の診療報酬改定で「選ばれるかかりつけ医」となるためには、もはや体制整備だけでは不十分です。求められるのは、「機能の見える化」と「質の向上」となります。

①機能報告データと自己評価の連動
2026年1月〜3月に行われる機能報告では、自院が持つすべての機能を報告していく必要があります。そして、報告した情報と、自院の診療実績(例:かかりつけ患者数、紹介先病院との連携実績など)を照らし合わせ、「報告はしているが実態と伴っていない機能」がないようにしてください。

②多職種連携の「頻度」と「質」の向上
今後の評価は、連携の「有無」から「頻度と質」に切り替わっていきます。地域のケアマネジャーや訪問看護ステーションなどとの情報共有の体制整備、薬局薬剤師による服薬状況の共有などが求められますので、横の連携体制を整えていくようにしてください。

③データ提出加算との相乗効果を
外来データ提出加算を算定している医療機関は、そのデータを使って自院の生活習慣病管理のアウトカム(血圧、血糖値、HbA1c値のコントロール状況など)を分析し、提供する医療の質の改善を行っていくことが、かかりつけ医としての信頼性を高めることになります。2026年度の診療報酬改定では、データ提出とアウトカム評価が、機能強化加算の上位評価の要件として組み込まれる可能性が高く、両制度への対応は不可分となります。

今後、評価されるのは「看板」ではなく「質」と「地域への貢献度」?

2026年度の診療報酬改定における機能強化加算の見直しは、「かかりつけ医としての質と、地域への貢献度」が、そのまま診療報酬での評価に繋がっていきます。

医療機関は、旧来の加算要件に囚われることなく、客観的なデータ(報告制度)を駆使して自院の機能を強化させ、地域住民と多職種の方々から「選ばれる」存在へとなるための経営戦略を、今すぐに実行に移していく必要があります。この改革こそが、持続可能な医療経営を実現していくための鍵となるでしょう。

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この記事を書いたコンサルタント

和田 大樹

プロフィール詳細

webマーケティング、人材採用・マネジメントと幅広くコンサルティングを行っている。webマーケティングでは、クリニックの強みを最大限に生かした集患対策を行い、医院の経営数値を改善してきた。また、人材採用・マネジメントでは現在の時流に乗った採用方法を行い、数多くのクリニックの人材不足を救った。ただ人材採用をするだけでなく、その後の医院への定着も考えた、マネジメントコンサルティングには社内外からも定評がある。今後も経営者に寄り添い、1件でも多くのクリニック様に貢献していきたく思っている。

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