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診療圏が縮小する場合の戦略

 2023年の出生数は75万8,631人(速報値)で、8年連続減少でしたが、国立社会保障・人口問題研究所が推計した23年の出生数は76.2万人でした。

 推計では76万人を切るのは35年と予想していたため、予想より10年以上早くそれも課題ではありますが、最も実感されているのは施設側だと思います。

 早々にお産をやめる施設も増えてきている中で、なんとか地域の医療のために維持・拡大しようとする施設もあります。

 人口減や出生数の減少などがあると、診療圏内におけるニーズが減ることになり、実際には診療圏が縮小してきます。

 その場合、対策として大きく2つの方向があります。
①診療圏内でのシェアを上げる
②診療圏を拡大する

 まず、診療圏内でのシェアアップですが、お産をやめた施設の分を引き受けることが考えられます。純粋に人数を増やすことで、少なくとも維持ができ、縮小している診療圏内ではシェアアップとなります。他にもシェアアップ手法は様々ありますが、まずは地域で不足したニーズを現状の医療の中でサポートできるならそれに越したことはありません。

 次に診療圏を拡大する場合ですが、新たに有床施設を建設するのはなかなか大変で、昨今の建築費高騰を考えるとなかなか大きな投資はしにくい状況です。その場合は、無床診療所の設立、継承などによってサテライト的に増やしていくことが考えられます。

 初期は通院しやすいサテライトで診て、入院となれば有床の施設に入っていただくようなパターンです。おやめになる先生方も増えてきていますので、友好的に引き受けるパターンも増えてきているように感じます。

 また、無痛分娩を開始したり、NIPTを導入するなど、今やっていないことにチャレンジしていくことで診療圏は拡大することが多いです。より難易度が上がればあがるほど診療圏は拡大します。

 国としては大きな施設に集約していく方向ですし、体制の確保という意味では重要ですが、なかなか急には変えられず、お困りの妊婦さんも増えてきている実感があります。

 より近いところで診るニーズは年配の方が多い科目のほか、産科・産婦人科でも多いと感じています。

 地域の中で、自院だけでなく。他施設と連携できるならなおさら良いことですが、診療圏内シェアアップと診療圏の拡大、どちらを優先していくのか考えていくと良いと思います。

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この記事を書いたコンサルタント

野田 陽一郎

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