※令和 6 年 1 月 29 日更新

2024 年診療報酬改定情報をお伝えいたします。
今回のテーマは血糖自己測定指導加算について解説いたします。

《2024年新設》血糖自己測定指導加算

以前から進められている「外来医療の機能分化」ならびに「かかりつけ医機能の適正な評価の推進」の一環として、特定疾患療養管理料を算定できる疾患の見直し、また生活習慣病管理料がⅠとⅡに分化しました。
そしてその生活習慣病管理料(Ⅱ)に組み合わせて算定できる項目として今回新設されたのが、『血糖自己測定指導加算』です。

(新設)血糖自己測定指導加算[算定要件]

糖尿病を主病とする患者(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行った場合は、血糖自己測定指導加算として、年●回に限り所定点数に●●点を加算する。

【血糖自己測定器加算】との違いは?

似た言葉の項目として『血糖自己測定器加算』がありますが、こちらはインスリン製剤の自己注射を行っている患者、12歳未満の小児低血糖症の患者、妊娠糖尿病の患者等に対し、血糖自己測定の回数に応じて算定できる点数です。
しかし今回の『血糖自己測定指導加算』は、
・2型糖尿病であること
・インスリン製剤を使用していないこと
が要件となりますので、明確に使い分けがされます。

【血糖自己測定指導加算】は以前からもあった?

さて『血糖自己測定指導加算』が生活習慣病管理料(Ⅱ)との組み合わせで新設されたとご案内いたしましたが、実は以下の通り、同じ名前、同じ内容の項目は以前からありました。

■(2022年度診療報酬点数)B001-3 生活習慣病管理料
注3 血糖自己測定指導加算
[算定要件]

糖尿病を主病とする患者(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行った場合は、血糖自己測定指導加算として、年1回に限り所定点数に500点を加算する。

このように従来の『生活習慣病管理料』に組み合わせる形で存在した加算項目だったのですが、今まで糖尿病の診療は『生活習慣病管理料』で管理される医療機関は少数だったことから、意識されたことのある先生はほとんどいらっしゃらなかったのではないでしょうか。

しかし2024年の診療報酬改定により、
・特定疾患療養管理料の対象疾患から糖尿病が除外されたこと
・生活習慣病管理料(Ⅱ)が新設され、従来の特定疾患療養管理料と似た算定ができること
・特定疾患療養管理料では算定できなかった『血糖自己測定指導加算』が、生活習慣病管理料(Ⅱ)では算定できること
から、より身近な算定項目になるのではないかと推測します。

【血糖自己測定指導加算】はどのように算定する?

今までは生活習慣病管理料の算定に一定のハードルがあったことから、インスリン製剤の自己注射を行っている、などの場合を除くと、血糖自己測定を保険医療で行うことは難しかったのが実情です。
しかし今回の改定により生活習慣病管理料(Ⅱ)とともに算定できる項目となったことから、より糖尿病の初期の段階から血糖自己測定を組み合わせた治療管理を行っていくことが可能になるのではないでしょうか。

生活習慣病管理料(Ⅱ)では、治療計画書を策定し、その治療計画に基づく総合的な治療管理を行うことが求められます。当然、糖尿病を主病とする生活習慣管理の中では、通院時に測定する血糖値、HbA1c値だけでなく、日常生活の中で変動する日々の血糖値のコントロールも重要な管理指標となってくるでしょう。
糖尿病の初期段階でインスリン注射を行う前の患者さんには、『血糖自己測定指導加算』もうまく組み合わせながら、より踏み込んだ“かかりつけ医”としての療養指導を検討されてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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