【生活習慣病管理料Ⅱの対策】処方間隔を伸ばし、診療単価を高めましょう
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生活習慣病管理料Ⅱは、月に1回のみの算定に!
本年度の診療報酬改定により、生活習慣病の3疾患(糖尿病、高血圧、脂質異常症)が特定疾患療養管理料の算定項目から除外され、生活習慣病管理料(ⅠまたはⅡ)で算定していくことが決定しました。
中でも生活習慣病管理料Ⅱにおいては検査や他の管理料(一部を除く)が出来高算定となることから、従来の特定疾患療養管理料と同じような算定が可能です。
しかし特定疾患療養管理料と明確に異なる点として、「月に1回に限り」算定できる、という点が挙げられます。
一般的に、今までは患者一人当たりの診療単価を上げようとすると(特に開業直後など)、通院(処方)間隔を短くし、再診料や管理料などを多く算定する手法が多く取られてきました。
しかし今回の改定において生活習慣病関連の疾患では管理料が月に一度しか算定できなくなったことから同様の手法は取ることができず、「患者単価を高める」という方法に別の工夫が必要となります。
通院(処方)間隔を伸ばすと、単価が向上する?
先ほど診療単価を高める手法として「通院頻度を高める」ことをお伝えしましたが、実はある程度以上クリニックが成長すると、(従来の特定疾患療養管理料の算定であったとしても)むしろ「通院(処方)間隔を伸ばす」方が単価が上がりやすくなっていたのです。
ただし通院間隔を伸ばすことで単価を高くするには、いくつかの条件があります。
それは、
①患者数が多いこと
おおむね、1日の保険診療の患者数が70名~80名以上いることが目安です。また通院間隔を伸ばす分、生活習慣病関連の新患を獲得する仕組みを持っていることも必要です。
②検査体制が整っていること
採血だけでなく、特にエコー検査などがいつでも行えるように検査技師などの人員的な余裕があること、またホルター心電図や簡易PSGなど貸し出しを行う機器を、十分な数所有している必要があります。
③検査の「プロトコール」を決めていること
例えば”高血圧”ならば1年に1回の頻度で採血、頸動脈エコー、レントゲン、心電図、2年に1回の頻度で心エコー、などといった「検査頻度」の”約束”を疾患毎に決めておくことで、必要な時に忘れないよう必要な検査をオーダーすることができます。
また②のように、いつでも検査をオーダーできる体制を整えておくことで、本来検査をすべきタイミングを逃すことなくオーダーすることができます。
以上の条件が揃った場合に、通院間隔を伸ばすことが診療単価を向上させることにつながります。
例えば慢性疾患の患者さんで、年に1回検査を行う場合を考えてみましょう。
<パターン1>2週間に1回の通院
検査は24回の通院(言い換えると、先生の診察”24枠”)の間に1度、検査を行うことになる
<パターン2>2ヶ月に1回の通院
検査は6回の通院(言い換えると、先生の診察”6枠”)の間に1度、検査を行うことになる
となります。
一般的に管理料の算定点数よりも検査の算定点数の方が高いため、先生の診察”1枠”あたりに占める検査のオーダー比率が高まることで、結果として先生の診察”1枠”あたりの平均単価が上がってきます。
そして通院間隔を伸ばした分、新しい患者さんが増えることで、より多くの患者さんに適切な治療と検査を提供できるようになります。
これが、通院間隔を伸ばすことで平均単価が上がる理由です。
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この記事を書いたコンサルタント
川本 浩史
大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。