【診療報酬改定解説】生活習慣病管理料Ⅱはどのように算定する?

2024年02月02日 (金)

コラムテーマ:
診療報酬改定

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2024年診療報酬改定の解説情報をお送りさせていただきます。 ※本記事は1/31に交付された短冊情報までを基に作成しています

特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料Ⅱへ!

2024年の診療報酬改定で、高血圧症、脂質異常症(遺伝性疾患を除く)、糖尿病の3疾患において、特定疾患療養管理料の対象疾患から除外されることが決定しました。 また合わせて、処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算についても同様に対象疾患から除外されることとなります。 本記事をお読みいただいている先生方は「特定疾患療養管理料」を軸に医院経営をされている先生が多いかと思いますので、今後どのように変わっていくか、どのように対応していくべきなのか、を悩まれているのではないでしょうか。 最もシンプルな対応策としては、新設された「生活習慣病管理料Ⅱ」の算定へ移行する、という方法になるでしょう。 この度の改定により従来の「生活習慣病管理料」は新たに「生活習慣病管理料Ⅰ」として引き継がれ、新たに検査等が包括算定ではない「生活習慣病管理料Ⅱ」という項目が作られました。この項目の新設により、特定疾患療養管理料から除外される高血圧症、脂質異常症、糖尿病においては、特定疾患療養管理料と同じように検査等も出来高で診療ができることになります。 しかし生活習慣病管理料Ⅱの算定では、特定疾患療養管理料と異なる要件があります。

生活習慣病管理料Ⅱを算定するための要件とは

いわゆる生活習慣病管理料である高血圧症、脂質異常症、糖尿病が、特定疾患療養管理料ではなく生活習慣病管理料での算定を強制されるようになった背景としては、「生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進」したい、という国の意向があります。 よってこの目的を達成できるよう、生活習慣病管理料の算定の際には以下の要件を満たす必要があります。 (一部抜粋) ・患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行うこと ・生活習慣病管理を行うにつき必要な体制が整備されていること ・患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること ・治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等の多職種と連携することが望ましいこと ・糖尿病患者に対して歯科受診を推奨すること この中で最もポイントとなるのは、「治療計画の策定(患者の同意)」と「治療計画に基づく総合的な治療管理を行う」という部分です。 従来の特定疾患療養管理料では実質、病名が付けば管理料が算定できていましたが、生活習慣病管理料では「治療計画を策定し患者の同意を得る」というプロセスが求められるため、いわゆる「無診療処方」であったり、「他の診療のついでに薬だけ処方」のような「生活習慣病のなんちゃって診療」が通用しなくなります。 その点は喜ばしいことですが、この計画書の策定がハードルと感じられる先生も多くいらっしゃるでしょう。 ただしこの点においては、 ・2022年の診療報酬改定時に、「総合的な治療管理は、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施しても差し支えない」という一文が追加されていることから、医師の負担は軽減されている ・2024年の改定時には「生活習慣病管理料における療養計画書を簡素化する」ことが明文化されている ・令和7年から運用開始される予定の電子カルテ情報共有サービスを活用することで「血液検査項目の掲載が不要」となり、患者サマリーに必要項目を入力すれば「療養計画書の作成及び交付をしている」ものとみなされる となっていることから、今までも適切に生活習慣病を診療されてきた先生方にとっては、実際にはそれほど多くの負担増とはならないことが想定されます。 2024年診療報酬改定の施行は6月からとなりますので、今の内から看護師、管理栄養士等のスタッフが中心となって計画書の策定、療養管理を進めていけるよう、今の内からスタッフ教育やタスクシフトを進めていくと良いでしょう。

生活習慣病管理料Ⅱの新設が医院経営に与える影響は?

高血圧症、脂質異常症、糖尿病の3つの疾患において特定疾患療養管理料から生活習慣病管理料Ⅱへ算定項目を移行することで、以下の2点も変わることになります。 ・冒頭にも記載した通り、「特定疾患処方管理加算(28日以上の場合は66点)」が算定できなくなる ・外来管理加算(52点)の併算定ができなくなる また従来よりも厳格に治療管理が求められることからも、点数としては特定疾患療養管理料の225点を大きく上回る点数が設定されるのではないかと予想します(※1/31時点の予想です)。 さらに生活習慣病管理料Ⅱは、今まで生活習慣病の診療に対して適切な管理を行ってこなかったクリニックにとっては算定がしづらい項目となります。 ここから考えると以前より適切に生活習慣病の診療を行われていた先生におかれましては、少々手間が増えることは事実ですが、うまく対応していくことで収益の向上を目指していけるのではないかと考えています。 ぜひ、今回の改定を「ピンチ」ではなく近隣他院と比べて差別化ができる「チャンス」と捉え、準備を進めていただければと思います。

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この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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