【診療報酬改定】売上落ちます~短期滞在について~

2025年11月27日 (木)

科目:
内視鏡
コラムテーマ:
経営計画/経営管理 業界動向 診療報酬改定 内科 特定疾患療養管理料

内視鏡クリニック専門の経営コンサルタントとして、先生方のクリニック経営を揺るがしかねない、診療報酬改定の動向について警鐘を鳴らし、具体的な解決策を提示させていただきます。

内視鏡クリニックの医療収入において、特に大腸カメラ(ポリペクトミー等)を実施する無床診療所にとって、大きな収益の柱となってきた短期滞在手術等基本料1(短期滞在1)は、今、岐路に立たされています。

2022年に多くの内視鏡クリニックで適用されるようになったこの短期滞在1ですが、2024年の改定で点数が約半減し、そして2026年の診療報酬改定においては、減算されるか、または対象そのものから外されることが強く予想されています。

この予想される事態は、「内視鏡クリニックの検査数は変わらないのに、医療収入が減る」という、極めてシンプルですが深刻な経営課題を直ちに引き起こします。言い換えれば、検査という行為にかかる人的・物的コストは変わらないにもかかわらず、リターンだけが減少する、利益率の圧迫が避けられない状況です。

私たちは、この「短期滞在1が外される前提」で、今すぐ経営戦略を構築し直さなければなりません。

対策の基本方針は、以下の2点に集約されます。
・落ちる単価をいかに上げるか(レセプト単価の維持)
・売上減に対し、いかに他の経費を圧縮するか(コストの圧縮)

この2大目標を達成するための、実現可能性の高い3つの具体的施策を、全国150件の内視鏡クリニックの経営差コンサルティングをリアルタイムで今行っている私たちの知見から解説いたします。

実現可能性の高い3つの具体的施策

施策1:患者層を変える—人間ドック(自費領域)への本格参入によるレセプト単価の劇的向上

短期滞在1の減少により保険診療におけるレセプト単価が落ちていく中、売上を維持・向上させるには、根本的に「層を変える」という発想が不可欠です。
すなわち、人間ドックや自費診療領域での内視鏡検査に本格的に挑戦することです。現在、この「内視鏡クリニックが人間ドックを展開する」という戦略は、全国的にチャレンジするクリニックが増加しており、すでに再現性のある収益領域として確立されつつあります。

これは、保険診療の点数変動リスクから経営を切り離し、単価を伸ばすことで医療収入を増やしていくための最も直接的な方法です。

人間ドック集患成功のための「3つの公式」と投資の焦点
人間ドック領域で成果を出すクリニックの共通項は、以下の3つの要素の質の高さにあります。
メニューの質: 患者様のニーズに応える、付加価値の高い検査メニュー設定。
広報・認知能力の質: 自費検査を必要とする層に対し、適切な情報と信頼を届ける能力。
ホームページの表現能力: クリニックの専門性、安心感、そして利便性を伝え、予約につなげるWeb戦略の実行。

短期滞在1の減少によって失われる単価を補填するため、これらの要素への投資を惜しまず、保険診療主体の経営から脱却し、安定した自費収入の柱を確立することが、未来の内視鏡クリニック経営の鍵となります。

施策2:検査獲得コストの劇的な圧縮—「リピート中心主義」への大転換

売上が落ちる局面において、利益率を維持・向上させるためのもう一つの柱は、検査患者獲得にかかるコストを徹底的に圧縮することです。
従来の内視鏡クリニック経営は、Webマーケティングや広告出稿に注力し、いかに新規患者(新患)を獲得するかという「新患中心主義」が主流でした。しかし、今後、我々が目指すべきは、この広告費を必要としない「リピート中心主義」へのコンセプトの転換です。

広告費0円経営を実現する患者満足度の追求

リピート率を高めることは、すなわち、内視鏡検査の獲得コストを落としに行く行為そのものです。

全国の先行事例の中には、徹底的なリピート戦略によって、広告費0円で月間1,000件の検査数を維持している内視鏡クリニックが存在します。一般的に、内視鏡クリニックが売上の3%から5%もの広告費を投下する
中で、リピート中心主義は圧倒的な利益率を経営にもたらします。
このリピート率を高める鍵は、「患者満足度の徹底的な追求」にコミットすることです。

鎮静剤依存からの脱却と真の付加価値
患者様の検査満足度を高めるポイントとして、多くのクリニックが鎮静剤の使用を重視しがちです。しかし、今や鎮静剤による痛みの軽減は、もはや競合と差がつかなくなった領域になりつつあります。

これからは、鎮静剤以外の部分で、いかに付加価値を提供できるかが、リピートにつながる大きな要因となります。具体的には、例えば、検査結果の説明を患者様の家族にまで丁寧に広げていく、といった、患者様一人一人に深く寄り添う対策が、高いリピート率に結びついています。

獲得コストを下げるリピート対策には、非常に豊富な事例とノウハウがあります。短期滞在1の収入減を乗り越えるには、新規集患への「支出」から、既存患者への「投資」へと、経営資源の配分を大転換することが急務です。

施策3:AI活用による「見えない人件費」の圧縮と生産性向上

内視鏡検査数は変わらないのに売上が落ちる状況では、利益率が圧迫されることを防ぐため、人件費の圧縮が不可欠な対策の2つ目の柱となります。

重要なのは、検査一件あたりに必要な人件費コスト(必要人件費)を落とすことです。この課題に対する現代的な解決策こそが、AIの活用を通じて、人間が担っている業務をAIに代替させることです。

「医療機関でのAI導入は難しい」という認識が一般的ですが、現場レベルでは、すぐに具体的な対策が可能です。AIは、スタッフの「拘束時間」を代行し、労働生産性を飛躍的に高めることができます。

AIによる具体的な業務代行事例
AIは、診療や検査の核となる部分ではなく、ルーティンワークや事務作業の効率化において、即効性のある効果を発揮します。
例えば、以下の業務をAIが代行することで、スタッフの負担を減らし、人件費を圧縮します。

シフト表の作成: 複雑なスタッフの勤務希望や条件をAIが処理し、迅速かつ公平なシフト表を自動作成します。
スタッフの教育マニュアル作成: 教育資料や業務マニュアルの作成・更新をAIが行うことで、管理者や教育担当者の時間を大幅に節約します。
患者様への内視鏡検査の説明: 検査前後の一般的な情報提供や、患者様からのQ&A対応の一部をAIが担当することで、スタッフの対面時間をコア業務に集中させます。

短期滞在による収入が減る中で、検査一件あたりのコストをいかに下げて利益を守るか。AIを活用した人件費の構造的圧縮は、まさにそのために今すぐ取り組むべき、最も先進的かつ効果的な防御策と言えます。

【結論】短期滞在に左右されない「強い内視鏡クリニック」へ

短期滞在手術等基本料1は、2026年以降、経営の計算から外れる可能性を前提に動くべきです。

内視鏡クリニックの先生方におかれましては、この差し迫った医療収入減という課題に対し、「レセプト単価の向上」「コストの極限圧縮」という2大方針のもと、以下の3つの施策を早め早めに実行に移す必要があります。

①人間ドックへの本格参入による患者層の転換と単価向上。
②リピート中心主義への転換による検査獲得コストの圧縮。
③AI活用による人件費の構造的圧縮。

診療報酬改定の動向は、今後も全く目が離せない状況ですが、これらの経営改革を行うことで、外部環境の変化に左右されない、盤石な「強い内視鏡クリニック」を作り上げることが可能です。

これらの施策の詳細、または先生方のクリニックに特化した具体的な対策にご興味がございましたら、ぜひ一度、無料経営相談にお問い合わせください。共に2026年問題に打ち勝ち、安定的な短期滞在に頼らない経営基盤を築きましょう。

この記事を書いたコンサルタント

船井総合研究所

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