2026年診療報酬改定で生活習慣病管理料はどう変わる?内科クリニックの減収を乗り越える経営戦略を専門コンサルタントが徹底解説。
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皆様
いつもお世話になっております。
株式会社船井総合研究所、医療支援部 内科グループ チーフコンサルタントの
中村 遥でございます。
お忙しいところ、こちらのコラムをご開封いただき、
誠にありがとうございます。
2026年度の次期診療報酬改定に向け、中医協での議論が本格化しつつあります。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001551149.pdf
特に内科クリニック経営の根幹をなす「生活習慣病管理料」の動向は、最大の注目点と言えるでしょう。
生活習慣病診療の転換点 ― 2024年度改定が残した課題
2024年度の「生活習慣病管理料」一本化は国が求める診療の役割を変える転換点でしたが、現場には2つの大きな課題を残しました。
1.療養計画書に伴う業務負担の増大
療養計画書の策定と同意取得プロセスが業務を圧迫し、多忙な現場では算定自体が困難となるケースが発生しました。
2.算定要件の厳格化による減収リスク
要件の厳格化は、点数の低い「生活習慣病管理料(Ⅱ)」への移行、あるいは算定断念を招き、クリニックの収益を直撃しました。
この「国の理想」と「現場の運用実態」との乖離こそが、次期改定の方向性を読み解く最大の鍵となります。
2026年度改定の核心 ー 生活習慣病管理料(Ⅱ)「月1回算定」は終わる?
そこで財務省が2025年4月23日に出した「持続可能な社会保障制度の構築」では、
血圧等がコントロールされている安定期の患者に対する「生活習慣病管理料」の算定間隔が焦点になっています。現行の「月1回」を「2ヶ月に1回」などに長期化するべき、という提言がなされており、前回改定で再編されたばかりの管理料に、再びメスが入ることは確実な情勢です。
これは、多くのクリニックが算定している「生活習慣病管理料(Ⅱ)」の月1回算定が、実質的に不可能になる未来を示唆しています。
もし実現すれば、現在、安定期の患者に毎月処方を行っている内科クリニックにとって、経営の根幹を揺るがす大幅な減収は避けられないでしょう。
内科クリニックが次期改定を乗り越えるための3つの具体的戦略
しかし、視点を変えれば、旧来の「毎月処方ありき」の経営モデルから脱却し、より質の高い医療を提供することで収益を上げる絶好の機会でもあります。
この変化を乗り越え、むしろ追い風とするために、内科の専門コンサルタントの視点から、今すぐ着手すべき3つの経営戦略を提示します。
戦略1:算定間隔長期化を前提とした新・診療モデルの構築
「毎月来院」を前提としない、新たな診療フローを構築します。例えば「2ヶ月に1回」の来院とし、その分一回あたりの診療の付加価値を高めるのです。
付加価値の高め方としては、合併症のスクリーニングのための定期的な検査クリニカルパスの導入が挙げられます。心臓・頸動脈エコー検査やABI、心電図検査、胸部レントゲン検査などを年に一回など定期的に行うことで、患者満足度を維持しつつ単価の向上を行うことが可能です。
またオンライン診療や、自宅での血圧・血糖値を管理するIoTツールなどを組み合わせることで、来院頻度が低くても患者満足度を維持・向上させることができます。
戦略2:「生活習慣病管理料(Ⅰ)」への積極的移行と体制構築
質の高い医学管理を評価する「管理料(Ⅰ)」が、国が想定する今後の評価の中心となるのは間違いないでしょう。看護師や管理栄養士等と連携した多職種での指導体制を構築し、検査の実施や詳細な療養計画の策定といった算定要件をクリアすることで、より高く評価される診療体制へと転換します。これは、減収を補うだけでなく、クリニックの専門性を高める本質的な一手です。
戦略3:保険診療に依存しない、収益構造の多角化
診療報酬改定の影響を最小化するため、保険診療以外の収益の柱を育てる戦略です。肥満外来、栄養指導、禁煙外来、AGAといった自由診療メニューの導入や、患者の健康意識に応えるサプリメントや健康食品の院内販売などが有効です。これにより、安定的で強固な経営基盤を確立します。
これらの戦略は、どれか一つだけが正解というわけではありません。自院の患者層、地域性、スタッフ体制といった経営状況を多角的に分析し、どの戦略を、どの順番で実行するのか。
その「選択」こそが、改定を乗り越える上で最も重要となります。
まとめ:変化をチャンスに変えるために
2026年度の診療報酬改定は、生活習慣病診療を中心とする内科クリニックにとって、避けては通れない大きな転換点です。しかし本コラムで解説した通り、これは危機ではありません。旧来の経営モデルから脱却し、より質の高い医療で患者から選ばれ、収益を伸ばす絶好の機会なのです。
「提示された3つの戦略の重要性は理解できた。しかし、これを自院だけで、何から着手すれば良いのか…」
もし院長先生が今、そうお考えであれば、ぜひ一度、我々にご相談ください。
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