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2024年診療報酬改定情報をお伝えいたします。
今回のテーマは特定疾患療養管理料、生活習慣病管理料についてです。

特定疾患療養管理料が算定できなくなる!?

2024年の診療報酬改定で、高血圧症、脂質異常症(遺伝性疾患を除く)、糖尿病の3疾患において、特定疾患療養管理料の対象疾患から除外されることが決定しました。
また合わせて、処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算についても同様に対象疾患から除外されることとなります。

基本的な考え方としては、【生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進する観点から、生活習慣病管理料について要件及び評価を見直すとともに、特定疾患療養管理料について対象患者を見直す】とされています。

この動きは過去の診療報酬改定からつながる「かかりつけ医機能を持つ医療機関の適正な評価」の流れの一貫であると見受けられます。
特定疾患療養管理料は「かかりつけ医機能」を評価する算定項目の一つですが、対象である疾患病名があれば、原則として施設基準等はなく、どのような医療機関でも算定することが可能でした。
つまり内科以外の科目であっても「病名」さえつければ算定ができることから、実態として適切な生活習慣の管理が行われていないケースが多く見受けられることが課題となっていたことが、今回の改定の背景にあると思われます。
また実際には診療をせず、「受付で薬だけを貰って帰る」という受診行動が未だに横行していることも、是正の背景にあるのではないでしょうか。

これからの対応方法を【3つ】ご紹介

さてこの改定にあたっての内科クリニックとしての対応は、以下の3パターンが考えられます。

【パターン①】生活習慣病管理料Ⅱの算定に移行する

特定疾患療養管理料から高血圧症、脂質異常症、糖尿病の3つが除外されたことに伴い、新たに「生活習慣病管理料Ⅱ」という算定項目が新設されました。
これは従来の「生活習慣病管理料」(これは新たに「生活習慣病管理料Ⅰ」という算定項目に変わります)と異なり検査等の費用は内包せず、いわゆる出来高の算定方式となり従来の特定疾患療養管理料と似た算定ができる項目となります。

ただし本来の目的である「生活習慣病に対する質の高い疾病管理を推進」することを満たせるよう、以下の要件を満たす必要があります。

(一部抜粋)

・患者の同意を得て治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、生活習慣に関する総合的な治療管理を行うこと
・生活習慣病管理を行うにつき必要な体制が整備されていること
・患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること
・治療計画に基づく総合的な治療管理は、歯科医師、薬剤師、看護師、管理栄養士等の多職種と連携することが望ましいこと
・糖尿病患者に対して歯科受診を推奨すること

この中で最もポイントとなるのは「治療計画の策定」です。ここは大きなハードルと感じられる先生も多いかと思いますが、
・2022年の診療報酬改定時に、「総合的な治療管理は、看護師、薬剤師、管理栄養士等の多職種と連携して実施しても差し支えない」という一文が追加されていることから、医師の負担は軽減されている
・2024年の改定時には「生活習慣病管理料における療養計画書を簡素化する」ことが明文化されている
・令和7年から運用開始される予定の電子カルテ情報共有サービスを活用することで「血液検査項目の掲載が不要」となり、患者サマリーに必要項目を入力すれば「療養計画書の作成及び交付をしている」ものとみなされる
となっていることから、今までも適切に生活習慣病を診療されてきた先生方にとっては、それほど多くの負担増とはならないことが想定されます。
ただし簡素化されるとはいえ療養計画書の作成は必要となるため、今のうちから看護師、管理栄養士等への適切なタスクシフトの準備を進めることが重要となるでしょう。

【パターン②】主病名を、特定疾患療養管理料が算定できる疾患とする

特に循環器内科のクリニック等で生活習慣病を診療している場合、高血圧症など、単一ではなく心不全や不整脈といった他の疾患を合併しているケースは珍しくないと思います。
こうした場合、これらの病名で特定疾患療養管理料を算定することで、従来の診療フローと大きく変わることなく同様の点数を算定することが可能です。

参考までに、特定疾患療養管理料が算定できる疾患を下記に掲載いたします。

<2024年より特定疾患療養管理料管理料の対象となる疾患一覧>
結核
悪性新生物
甲状腺障害
処置後甲状腺機能低下症
スフィンゴリピド代謝障害及びその他 の脂質蓄積障害
ムコ脂質症
リポ蛋白代謝障害及びその他の脂(質)血症(家族性高コレステロール血症等の遺伝性疾患に限る。)
リポジストロフィー
ローノア・ ベンソード腺脂肪腫症
虚血性心疾患
不整脈
心不全
脳血管疾患
一過性脳虚血発作及び関連症候群
単純性慢性気管支炎及び粘液膿性慢性気管支炎
詳細不明の慢性気管支炎
その他の慢性閉塞性肺疾患
肺気腫
喘息
喘息発作重積状態
気管支拡張症
胃潰瘍
十二指腸潰瘍
胃炎及び十二指腸炎
肝疾患(経過が慢性なものに限る)
慢性ウイルス肝炎
アルコール性慢性膵炎
その他の慢性膵炎
思春期早発症
性染色体異常

【パターン③】生活習慣病管理料Ⅰの算定に移行する

最後のパターンは、従来の「生活習慣病管理料」(2024年の改定で生活習慣病管理料Ⅰへと変更)への算定に移行することです。
この算定項目は、
・療養計画書の作成のハードルが高かったこと
・少なくとも1月に1回以上の総合的な治療管理が求められていたこと(≒必ず毎月の受診が必要となる)
・検査等の費用が包括されていたこと(=検査等がなくても患者負担が大きく、納得感が得られづらかった)
こと等から算定される機会が非常に少なった項目ですが、2024年の改定により、
・療養計画書が簡素化
・1月に1回以上の治療管理を行う要件を廃止
されることで、比較的算定のハードルは下がることと思われます。特に療養計画書の策定については生活習慣病管理料Ⅱでも必要ですので、いずれにせよ対応しなければなりません。
また患者負担については、毎月の受診が強制されなくなったことからある程度緩和されると考えられるため、従来よりも算定がしやすくなったことは間違いないでしょう。

【慢性腎臓病透析予防指導管理料】も算定できる?

その他にも、慢性腎臓病を併発しているような場合には今回の診療報酬改定により新設された「慢性腎臓病透析予防指導管理料」の算定も検討できるかも知れません。
慢性腎臓病透析予防診療チームを設置すること、また専任の医師、看護師又は保健師、管理栄養士にはそれぞれ2~5年の慢性腎臓病の予防指導に従事した経験を有すること、腎臓病教室を定期的に実施すること、などハードルは高いですが、その分きめ細かな対応ができ、診療報酬としても高い水準を期待できるでしょう。
慢性腎臓病にも専門性をもって診療できる、という先生の場合、前向きに検討されても良いかも知れません。

自院ではどのように対応していくべきか?

さて2024年の診療報酬改定により高血圧症、脂質異常症、糖尿病の3疾患が特定疾患療養管理料の算定対象から除外されるにあたり、内科クリニックが取るべき3つのパターンについてご紹介いたしました。

本コラムを執筆している時点では2024年からの点数が決定されていないため明確な結論を出せませんが、おそらく患者さんの病態、治療方針に応じて上記のパターン①~パターン③を組み合わせていくことが、現実的な対応になっていくでしょう。
自院の設備、来院患者層、診療スタイル等によっても取るべき対策は変わってくるかと思います。どのように対応していくべきか悩まれている先生は、ぜひ一度当社の「無料経営相談」をご活用ください。専門のコンサルタントが貴院の状況に即した提案をいたします。

  

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この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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