売上アップ×待ち時間削減×残業時間削減の切り札!整形外科クリニックの『クラーク導入』について徹底解説!

2021年05月18日 (火)

科目:
整形外科
コラムテーマ:
診療効率化

平素より大変お世話になっております。
船井総合研究所の伊佐と申します。

早速ですが、以下のようなお悩みを持たれていませんでしょうか!
☑ 待ち時間が長くなっており、診療の効率を上げたい
☑ 診療の終了時間が遅くなり、スタッフが疲弊している
☑ 電子カルテを導入したが、診療効率化がなかなか進まない
☑ クラーク(シュライバー)の導入を検討しているが、人件費がかかって逆効果ではないか?
☑ クラーク(シュライバー)の導入は売上にどう影響するのかわからない(知りたい)
☑ クラーク(シュライバー)を導入したものの、うまく診療効率化が進まない
※ クラーク(シュライバー):電子カルテ入力の補助を行うスタッフのこと

今回は、整形外科クリニックにおいて、
売上アップ×待ち時間削減×残業時間削減の切り札となる
「クラーク(シュライバー)の導入」について解説させていただきます。

今回は、
◆電子カルテ入力に費やす時間
◆クラーク(シュライバー)導入のメリット
◆クラーク(シュライバー)導入で想定される売上
◆クラーク(シュライバー)導入後のポイント
について、具体的に説明をさせていただき、診療効率化が実現するクラーク(シュライバー)の導入についてご紹介します。

上記のお悩みで一つでも当てはまった先生方はぜひ最後までお読みください。

 

電子カルテ入力に費やす時間は?

まず初めに、先生は1人の患者さんにどれくらいの時間、電子カルテ入力に時間を費やしているかご存知でしょうか?

実は、「医師が電子カルテ入力に費やす時間」はいくつかの先行研究にて報告されています。

|日本で行われた質問紙による調査|
1日あたり平均53.1分を電子カルテの入力に費やす。
(瀬戸ら, 医師が電子カルテ操作に費やす業務時間に関する調査, 医療情報学, 2012; 32(2): 59-63)

|米国で行われた研究|
実際に医師の行動を客観的に計測した場合、
1日の総診察時間の内、37.0%が電子カルテ入力またはデスクワークに費やす。
(Sinsky C, et al, Allocation of Physician Time in Ambulatory Practice: A Time and Motion Study in 4 Specialties, Ann Intern Med, 2016;165(11): 753-760)

また、エビデンスベースではなく、実際の整形外科クリニックの場合はどうなのか?
と気になる先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弊社がお付き合いさせていただいている整形外科クリニックで実際に医師の電子カルテ操作の時間を計測したところ、診療時間のうちの22.2%(1時間24分/日)の時間を費やしていました。

 

エビデンスの報告結果や整形外科クリニックの計測結果をまとめると、
研究によって結果に違いはあるものの、1日の診察時間において、「およそ1時間」は電子カルテの入力に時間を費やしています。

 

クラーク(シュライバー)導入のメリットは?

弊社が考えるクラーク(シュライバー)導入のメリットは次の3点です。

 

①電子カルテ入力時間の短縮
一番のメリットは、電子カルテ入力時間の短縮です。

目安としましては、前述した「1時間」の中から「何分」短縮できるかになります。

仮に30分の短縮が実現した場合の効率化&売上のシミュレーションは、
「◆クラーク(シュライバー)導入で想定される売上」にて後述しておりますので、
そちらでぜひご覧ください。

 

②カルテ入力による医師の負担は思ったより大きい
ここまでは数値による話が中心でしたが、次は定性的な話になります。

弊社のクライアントのクリニックでクラーク(シュライバー)を導入された先生方からは、
「クラーク(シュライバー)を入れてから診察で疲れにくくなった」や
「一度、クラーク(シュライバー)をつけると、もう補助なしでは診察できる気がしない」
というお声があり、カルテ入力の負担は想像以上に大きいことがわかります。

単純なパソコンに向かっての入力作業に加えて、目の前の患者さんとカルテ作成の両方に
気を配りながら診察を進める点も大きな負担につながっていることが考えられます。

 

③クラーク(シュライバー)導入が患者満足度に良い影響を及ぼす!
クラーク(シュライバー)の導入が患者満足度に良い影響を及ぼす要因は2つ考えられます。

まず、1つ目が「医師との対話」です。

厚生労働省が発表した平成29年受療行動調査から、患者は「医師との対話」に高い期待を抱いており、来院されるきっかけの大きな要素です。

そんな中で、
「先生がパソコンばかり見ていて、話を聞いてくれているのかわからない」
「電子カルテの入力をしている時に話を続けていいのか迷う」といった患者視点の意見で
整形外科クリニックに対する患者満足度が下がることが懸念されます。

クラーク(シュライバー)を導入することで、先生は患者さんの方を見て、診察を進めることができます。

そして、2つ目が「待ち時間の減少」です。

「1時間」の短縮が実現すれば、患者の待ち時間を減らすことができます。

冒頭でお伝えした通り、Withコロナにおいて、患者さんは
「診察の待ち時間が少ない整形外科クリニック」を選びます。

待ち時間を少なくすることができることにより患者満足度に良い影響を及ぼすことができます。

 

クラーク(シュライバー)導入で想定される売上

実際にクラーク(シュライバー)を導入するとなった際に、「人件費がかかる」ことを懸念される先生方も多くいらっしゃいます。

そこで、クラーク(シュライバー)を導入した際に想定される売上の変化をシミュレーションします。

仮に下記のような整形外科クリニックがあったとします。

|A整形外科クリニック|
【導入前】
 1日の診察人数:70人(10人/時間)
 1人当たりの診察時間:6分
 ⇓ 「患者一人当たり30秒の削減が実現」
【導入後】
 1日の診察人数:77人(11人/時間)
 1人当たりの診察時間:5分30秒

導入前後の売上の差をシミュレーションした場合、
「7名×4,418円×22日=680,372円/月」となり、
理論上は、「人件費 < 導入前後の売上の差」となります。

1日当たりの診察人数の増加分|7名
整形外科クリニックの1日の診療単価|4,418円
(参考:厚生労働省保険局調査課「令和元年度 医科診療所の主たる診療科別の医療費等の状況」)
診療日数/月|22日

つまり、1人当たりの診察時間を30秒削減することで、
「1時間当たりの診察人数が増える
   ⇒1日当たりの診察人数が増える
     ⇒1日当たりの売上が上がる」となります。

このシミュレーションでは、1日あたりの総削減時間は「38分30秒」ですので、前述した「1時間」の削減を目指せば、さらに効率化&売上アップが図れます。

ただ、注意点としては、クラーク(シュライバー)は導入を開始してから本格的に効果が出始めるまでは一定の期間が必要です。

しかし、長い目で見た時に、クラーク(シュライバー)制度が定着すると、
2年目以降はシミュレーションに近い数値を計算することができます。

効率化&売上アップ&患者満足度アップを目指していきたいという先生方は、
ぜひ早い段階から導入をご検討いただければと思います。

なお、実際にシミュレーションをしてみたい!という先生は、
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クラーク(シュライバー)導入後のポイント

では、整形外科クリニックにおいて、クラーク(シュライバー)を導入した際の具体的なポイントを説明します。

 

①どのスタッフがクラーク(シュライバー)を行うか?
クラーク(シュライバー)に向いているのは、
▸パソコン入力がある程度できる人(タイピングが早い)
▸基礎的なレセプト知識がある
優先的に教育を始めていくことが望ましいです。

そして、最終的には全医療事務スタッフがクラーク(シュライバー)をできる状態が理想です。

特に、整形外科クリニックによくある出来事として、今のクラーク(シュライバー)を担うスタッフがいなくなると、診察が回らなくなるという問題が起こります。

上記の問題を踏まえると、
やはり全医療事務スタッフがクラーク(シュライバー)をできる体制を整えることが望ましいです。

また、診療効率化を進める上で重要なポイントはクラーク(シュライバー)の2名体制です。

2つの診察室を併用することで、
診察中にもう一方の診察室で診察終了後ならびに診察開始前にクラーク(シュライバー)が電子カルテを記載することでより効率的になります。

そのため、まずは最低2人を優先的に教育することが望ましいです。

 

②電子カルテのセットの作りこみを行う
医師が電子カルテ入力を行う際にも当てはまることですが、疾患ごとのカルテセットの作りこみが重要です。

例えば、膝の痛みや腰の痛みなどの患者数が多い疾患を中心に、
処方などのセットの作りこみを行う事で、より効率的にカルテ作成を行う事ができます。

また、属人的な記入になることがなく、どのスタッフが電子カルテを記入しても、ある程度、再現性の高い文章を書くことができるというメリットもあります。

 

③医師とクラーク(シュライバー)の役割分担の明確化
まずは電子カルテの入力で生じる役割をピックアップしてみます。

  • 該当患者のカルテを開く
  • 問診内容を入力する
  • 病名付けをする
  • 処方を入力する
  • 点数付けをする

これらの役割の中でどの部分を医師が行って、どの部分をクラーク(シュライバー)が行うかをあらかじめ決めておく必要があります。

次に、クラーク(シュライバー)の習熟度に合わせて役割分担をしていきます。

習熟度が高くなるにつれて、役割の範囲を広げていくことが望ましいです。

そして、その教育内容をもとに、同時にマニュアルを作っていくことをお勧めします。

一度マニュアルを作ることで、新しいスタッフが入職した際にもクラーク(シュライバー)業務の再現性が高まります。

 

④実際の業務を通して教育を行う
クラーク(シュライバー)スタッフの教育には、座学ではなく、実際に業務を通した教育が欠かせません。

電子カルテを入力する際の医療用語や処方薬は実際の診療場面でしか学べないことがたくさんあります。

クラーク(シュライバー)はスタッフが業務に慣れるまでに最低でも3か月程度はかかることが多いです。

繁忙期に機能することを目指して、5月~7月ごろに導入を開始することが望ましいです。

 

ここまでクラーク(シュライバー)のメリットや導入のポイントについて解説してきました。

クラーク(シュライバー)は整形外科クリニックが診療効率、売上、患者満足度を向上させるためには欠かすことができない施策です。

一朝一夕で導入することが難しい施策でもありますので、
しっかりと導入準備をしたうえで実施していただければと思います。

 

最後に

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この記事を書いたコンサルタント

伊佐 常紀

プロフィール詳細

神戸大学大学院にて、博士号(保健学)を取得。複数の査読付き英語原著論文を執筆。理学療法士として整形外科クリニック、看多機に5年間勤務。研究活動、臨床経験と幅広い経験を活かして、地域の中で生涯を健康に過ごせる社会を実現するため、一つひとつの法人が抱える課題に寄り添い、院長やスタッフの皆様が目指す医院作りをサポートしている。

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