こんにちは。船井総合研究所の今勝彦と申します。
私は、作業療法士として8年間現場で働いていました。
今までに経験のない、大変なご時世ではございますが、
整形外科クリニックでは、
セラピストを増員し、現在でもリハビリの充実化と拡大を行っている
医院も多くございます。
その中で、整形外科クリニックにおいて
「作業療法士を採用するか迷っている」
「理学療法士と作業療法士の違いがよくわからない」
とお聞きすることがあります。
そこで、そのような思いをお持ちの先生方に、
作業療法士の魅力をいくつかご紹介できればと思います。
整形外科クリニックのセラピストというと、一般的には理学療法士の方が多いイメージがあるかもしれません。
そこで、作業療法士はどのような特徴があるのか、
整形外科クリニックにおける訪問リハビリではどのような活躍ができるのか、
本日はいくつかある中から2つの魅力をお伝えいたします。
一つ目は、ハンドセラピィです。
いわゆる上肢、手指といった手のリハビリが得意な作業療法士がいます。
もちろん、ハンドセラピィが得意な理学療法士もいらっしゃいますが、
相対的には作業療法士が多い印象です。
日本ハンドセラピィ学会という団体に所属する作業療法士がいたり、
日本作業療法士協会が定める専門作業療法士の中に「手外科」という分野があったり、
手のリハビリが得意であるという作業療法士が活躍をしている整形外科もあります。
生活での手を使った作業活動をする場面で、
細かく多くの複雑な動きが求められる「手」のリハビリが充実することで、
より患者様のリハビリへの満足度が増えることが期待されます。
二つ目は、自宅での生活の活動を想定したリハビリが得意ということです。
もちろん整形外科クリニックにおいて、理学療法士でも、
患者様の生活を想定したリハビリを行い、それが得意な方も多くいらっしゃいますが、
作業療法士はその場面まで直接的に、より深く介入していくことが魅力であると思います。
例えば、手をケガをした時に、主婦の方は炊事が難しくなる場合があります。
その際、手の機能的な訓練もしますが、
包丁を握るときにはどのような動きが必要になるのか、
実際にしっかりと握れるまでには、道具などで代償的に炊事を行った方がよいのかなど、
実際の日常生活場面の「作業」を想定して、模擬練習やアドバイスを行うことが得意です。
また、炊事はその人にとって、どのような価値や意味があることなのかも深く考えて、介入していきます。
この視点がリハビリのニーズに応える点で重要なポイントになります。
これらは、自宅でのリハビリを想定した、整形外科の「訪問リハビリ」でも重要な視点だと思います。
自宅での生活のリハビリは、身体機能を維持する、向上するという目的だけではなく、
生活がしやすくなる、QOLを上げていくというような側面での具体性がより必要となるため、
心理的なアプローチや環境設定、動作方法などの提案をしていくことが多くなってきます。
作業療法士は名前の通り、「作業」=人が生活する上での活動全般、が充実してできるよう、
視点をおいて、リハビリをしますので、整形外科における訪問リハビリでも活躍できると考えております。
よって、整形外科のチームの中に、作業療法士が加わることで、
アプローチする方法や選択肢がさらに増え、患者様の生活によりいっそう深く介入できるという
魅力があるのではないかと考えています。
ここで、整形外科の訪問リハビリに携わる一人目の作業療法士を雇用する場合は、
訪問リハビリを経験していることがプラスに働くと思われます。
訪問リハビリは地域社会のニーズを満たせるすばらしいことですが、
書類業務なども多く、外来のリハビリとはまた違う視点が必要になるため、
円滑に立ち上げ・運営をしていくためにも、
ある程度訪問リハビリを経験していたほうが進めやすいのではないかと考えております。
もちろん、訪問リハビリを立ち上げたいという強い思い・情熱をお持ちであれば、問題ないと思います。
上記のように、作業療法士にも、特有の魅力はたくさんあります。
一方で、当たり前のことではありますが、作業療法士1人1人の魅力や長所はそれぞれです。
理学療法と作業療法の違いに関しましても、様々な考え方がありますし、
個々で比較するとさらに細かい違いがございますので、
採用の際には面接でしっかりと、その人個人の特徴を捉え、
整形外科クリニックの理念・ビジョンにマッチしているかを見定めていくことが大切になります。
最後まで、読んでいただき、誠にありがとうございました。
また、次回をお楽しみに。
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この記事を書いたコンサルタント
今 勝彦
札幌医科大学を卒業後、作業療法士として、急性期~回復期脳神経外科病で勤務。
現場での臨床や指導経験に加え、大学院での研究、学会発表等幅広い経験を持つ。
船井総研入社後は、臨床経験をもとにした業績向上、医療の質向上のために、運動器リハビリの立ち上げ、集患対策、マネジメントなど様々なコンサルティングを実施している。