医療法人久仁会 宇都宮病院
高齢化進む和歌山市で地域コミュニティを支援する
高齢化率が29.7%である和歌山県和歌山市で地域包括ケアシステムを構築されている「医療法人久仁会 宇都宮病院」。
地域包括ケア病床33床・医療療養病床47床計80床の機能強化型在宅療養支援病院である。 2015年10月、病院敷地内に地域の健康とコミュニティを支援する「なるコミ」を開設。子供から高齢者まで集う地域コミュニティとなっている。
現理事長宇都宮宗久先生が先代から病院を継承した際、決して経営状態が良い状態ではなかった。減床し、療養型病床に転換、一時は「特別入院基本料」となるほど人員が不足する中も、地域医療に力を入れ続け、経営危機を乗り越えた。
現在、宇都宮病院では様々な患者様サービスを行なっている。通院が困難な患者様には外来、入院共に送迎を行っている。また、ファストパス制度を推進し、ケアマネージャーや介護従事者が付き添い受診する際は、待ち時間0で後日支払いの対応を行い好評である。
年末には、近くのお寺でその1年亡くなった 患者様の慰霊祭を行ない、ご家族とのコミュニケーションを取っている。なるコミで開催する医療・福祉関係者の勉強会を始め、地域の開業医の先生や訪問看護ステーションと連携し、訪問診療を行ない、在宅での看取り行っている。接遇面にも力を入れており、心と心のふれあいを大切に、地域に密着した人間性豊かなチーム医療と看護を実践しており、健康で幸せな地域を目指している。
新たな健幸長寿への価値向上
医療法人久仁会で特筆すべきは、病院敷地内にある「なるコミ」。 元は看護師寮だったが、入居者もなく老朽化が進んでいたことから、取り壊すことに。後に何を作ろうかと考えたときに、地域のコミュニティスペースを作ろうと思ったとのこと。月~土までの外来診察日には、外来食堂として薬膳ランチ。その他の時間帯は、認知症カフェ、ヨガ、体操、ピアノ、麻雀、子ども食堂等々、毎日イベントを行なってる。
特に地域住民の方に人気なのが、薬膳ランチと、体操教室だ。毎回、満員の状態で希望者が殺到しているという。 色々なイベントを行なっている「なるコミ」だが、昭和ディスコ、ウクレレ教室、陶芸教室とその企画イベント数は、50以上。
1ヶ月の「なるコミ」利用者数は1600名/月を超える。
理事の宇都宮 越子 氏は、経営企画を担当する。なるコミをNPO法人化し、地域の住 民と豊かに暮らせるコミュニティを創造している。Knot working(地域の緩やかな結び目 づくり)をテーマに、地域の活性化を目指している。
「なるコミ」という地域コミュニティスペースを作ったことにより、病院にとって変化があったのかをお聞きした。
まずは、職員を募集することが無くなった、離職率が低くなったとのこと。一般的に病院は慢性的な人員不足のため、人材確保の部分でも寄与する部分は大きい。また、なるコミ開設に伴い、メディアに掲載が増え、広告宣伝費がかからなくなり、知名度向上、ブランディングが図られた。
それに伴い、外来数、健康診断受診数共に年々増加している。地域に積極的に出ていくことにより、病院周辺地区の活性化にもつながってる。地域住民との距離感が近くなることにより、当院を知っていただき、信頼度の向上につながった。
なるコミ内には、「医療介護福祉相談室」を設置。 ケアマネージャ-、看護師、社会保険労務士、社会福祉士、精神保健福祉士が常駐しており、地域住民、ケアマネージャー等 に関係機関の相談事に常に応じられる体制を作っている。こちらの病院は、ダブルライセンス、トリプルライセンス所持者が多く、一人のライセンスホルダーに頼るリスクヘッジを取っている。理事の宇都宮 越子 氏も看護師、ケアマネージャーに加え、和歌山薬膳アドバイザー、MBA(経営学修士)を所持されており、多面的な視野の元、地域コミュニティの構築に力を注がれている。
宇都宮病院は2020年度に創立50周年を迎え、近いうちに建物の建て替えを予定している。なるコミは、「足湯 カフェ」「薬膳配食サービス」「薬膳総菜販売」「子ども食堂等フードバンク事業」等を行なう計画もある。地域住民のコミュニティだけでなく、地域医療、介護のコミュニティにもなっている「なるコミ」は全国各地の病院から見学者が訪れているという。長時間お時間を割いて取材対応してくださった、宇都宮理事長、宇都宮越子理事に感謝申し上げます。
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