札幌スパインクリニック
今回、整形外科クリニックの中でも「脊椎疾患」に専門特化して治療を行う札幌スパインクリニックの院長である渡邊吾一先生にお話を伺った。札幌スパインクリニックは腰、くびなどの「スパイン(背骨)」を専門に診断から手術、リハビリまでオールインワンで治療を行う整形外科クリニックである。渡邊院長自らが手術を行っているが、脊椎・胸椎・頸椎の総手術実績は869件にのぼり、飛行機や電車でのアクセスが良い立地もあり、全国各地より患者が訪れている。
◆脊椎疾患専門の“スペシャリスト”へ至るプロセス
渡邊先生はプロを目指していた程、バスケットボールが好きで、スポーツドクターを志していた。整形外科医のキャリアを積み、幅広い疾患を学んで行く中で、スポーツ選手は、スポーツ分野の”スペシャリスト”の医師が担当し治療にあたる現状から、何か専門的な武器が必要になってくるのではないかと考えるようになった。
そのような想いの中で、医局時代に、背骨が曲がったために食事が上手く行うことのできない患者さんを目の当たりにした時に、「人間である以上、脊椎疾患はなくならない。だから脊椎を極めて、世の中の役に立ちたい」と考えるようになり、脊椎疾患の“スペシャリスト”として進んでいくことを決意する。
“スペシャリスト”の道を選択した渡邊先生は、スキルを磨くために臨床留学した、アメリカのクリニックで構築された手術のシステムが、札幌スパインクリニックの原点となる。
当時、日本では複数名の医師が執刀にあたることが多かったが、アメリカでは整形外科医1名で全責任を持って手術をし、パートナーとして看護師が1~2人つくだけで手術を行った。整形外科医にとって、クリニックは診療を行うための事務所のようなもので、手術は病院に看護師を同行して行うシステムで、渡邊先生が留学した当時の日本では、ほとんど普及していないシステムであった。
留学期間の2ヶ月半で70例に渡る症例を経験され、手術は病院、診療はクリニックというシステムを引っ提げて、脊椎疾患の“スペシャリスト”として、渡邊先生が目指すことを実現させるクリニックの開設に至った。
◆専門クリニック特有のメリット
脊椎疾患の専門としてのポジションを確立した渡邊先生は、学会やセミナーにご登壇されるため、渡邊先生に声をかける整形外科医は多く、クリニックや手術の見学も行っている。こうして構築した人脈・ネットワークにより、就職希望や紹介をする医師・コメディカルのスタッフは多い。しかし、専門特化したクリニックだからといって、専門的なスキルだけを重要視しているわけではない。
例えば、看護師の教育においても、オペ室経験が豊富な看護師としての経験がある方、外来経験が豊富な方が両方担当し、スタッフ個々が持つ能力を補完しあってチーム力を高めている。
専門特化し、対応する疾患や術式が多岐に渡るわけではないため、外来診療や手術のパターンはマニュアル化しており、経験の少ないスタッフでも業務が習得しやすくなっている。そのため、対応可能な業務の範囲も広げやすく、スタッフの誰かが抜けても対応できる体制が整っている。システム化・マニュアル化を進めていくすることにより、効率化と教育の両立が可能となっている。
また、他の専門特化のメリットとしては、必要となる物品や器材が限られるため、余計な在庫を抱えなくて良いことが挙げられる。
◆治すことが整形外科の使命
札幌スパインクリニックの理念の一つに、「自らに要望される医療を考え抜くこと」がある。これは、患者さんが何を求めているのか考えることで、はじめて必要とされる質の高い治療ができるという渡邊院長の想いに由来している。
激変していく情勢の中で、整形外科クリニックのあり方について、
「治せばいい。治りたくて患者さんは来る訳だから。それだけです。
痛いのがとれる、歩けなかったのが歩けるようになる。
それを提供し続けるだけです。」
と、渡邊先生は力強く語る。
今後、渡邊先生は、クリニックで取り組む診療システムを普及していくための人材育成にも積極的に取り組んでいく予定である。「自身が整形外科医として手が動くのは、あと数年、だから教育システムを次世代に引継ぎ、そうしたサイクルを継続していきたい」と、渡邊先生は、脊椎疾患のスペシャリストとして先頭を走り続けながら、質の高い脊椎疾患の治療を普及していくために、後進の育成にも注力し続けていく。
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