医療法人社団ハピコワ会 理事長
ハピコワクリニック五反田
田町三田駅前内科・呼吸器内科・アレルギー科
統括院長 岸本 久美子 先生

東京都品川区五反田駅からほど近い場所にある「ハピコワクリニック五反田」と、東京都港区田町駅・三田駅すぐに位置する「田町三田駅前内科」。いずれも呼吸器内科を中心に、アレルギー科、内科と幅広く地域に根ざした医療を提供しているクリニックです。
今回は、統括院長の岸本久美子先生に、開業の背景やクリニックの強み、患者さんを待たせないためのオペレーションの工夫、そして今後の展望についてお話を伺いました。
住み慣れた「五反田」で、地域と患者さんに寄り添う医療を
――岸本先生のご経歴と、五反田で開業されたきっかけ
私は東邦大学医学部大橋病院で初期研修を行い、その後同病院の呼吸器内科に入局しました。その後、妊娠・出産を経て2018年3月に退職し、同年5月にハピコワクリニック五反田を開業しました。現在は法人化しており、五反田・田町の2院体制で運営しています。
開業を決断した大きな理由は、大学病院での働き方と子育ての両立に限界を感じたからです。それならば、「自分の裁量でコントロールできる環境を作り、患者さんのために本当に良いと思う医療を提供したい」「地域に貢献したい」と考え、自らクリニックを立ち上げる決意をしました。
五反田の地を開業場所に選んだのは、五反田に元々ご縁があり、地域への愛着があったことが一番の理由です。
また、マーケティング的な視点で見ても、当時の五反田は「五反田バレー」と呼ばれ始め、IT系やベンチャー企業が集まる街へと変化している時期でした。再開発の影響でファミリー層も多く、自身も子供を育てながら仕事をしている身として、この地域に貢献したいという思いがありました。
また、山手線沿線の駅でありながら「呼吸器の専門医」が不在のエリアだったんです。ここでなら、自分の専門性を活かして地域の方々の役に立てると確信しました。
「患者さんファースト」を貫く診療スタイル
――ハピコワクリニックの強みや、診療におけるコンセプト
呼吸器の医師が必ず診療する、あるいはサポートに入れる体制を整えているのはもちろんですが、一番の違いは「患者さんのための医療」に真摯に向き合っている点です。
経営的な売上を優先することはせず、医師やスタッフにノルマを課すこともありません。そのため、スタッフからも「患者さんのためにはこの治療がいいのではないか」といった提案が活発に上がってきます。
私たちの理念は「医療を通じて人・社会を幸せにする」ことです。患者さんが元気に活躍してくれることが私たちにとって一番嬉しいので、金銭面も含めて本当に必要な検査だけを行い、患者さんごとにカスタマイズした対応を心がけています。

無駄を省き、患者さんの時間を大切にするオペレーション
――患者さんの待ち時間を軽減するための工夫
患者さんにとってメリットにならない時間は無駄だと考えているので、無駄だと思った業務は翌日の院内会議ですぐに議題に上げ、「これはやめよう」と即断即決で省くようにしています。
スタッフ間ではインカムを活用し、看護師に迅速に指示を出して動いてもらえる体制を作っています。初診で検査がない方は30分、検査がある方でも1時間でお返しするという目標時間を設定し、遅れそうな時は声かけや配慮を徹底しています。
また、呼吸器疾患で重要な「吸入指導」については、看護師に任せていますが、目安の時間を設けて説明が長くなりすぎないように管理しています。
また、ネブライザーなどの機器の使い方は、院内でナースが説明した上で、ご自宅でも確認できるようにQRコードで動画をお渡しする工夫をしています。これにより、正しい手技で治療を継続していただけるようにサポートしています。
理念の浸透と、スタッフが輝く組織づくり
――スタッフがいきいきと働ける取り組み
法人の理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を定め、価値観の違うスタッフが集まる中で、判断に迷ったときの拠り所にしています。数ヶ月に1回、外部講師を招いた研修を行ったり、院内の「理念係」が定期的に働きかけたりして、理念の浸透を図っています。
組織づくりにおいては、スタッフの心理的安全性を大切にしながらも、経営者として妥協しない「エンゲージメント経営」を目指しています。例えば評価については、自己評価と他者評価をすり合わせ、ギャップを調整してフィードバックを行い、給与に反映させています。また、指導の際は、感情的にならず、ポジティブな点をきちんと言語化して伝えるように意識しています。

潜在的なペインにアプローチし、「喘息といえばハピコワ」へ
――呼吸器内科業界の今後の見立てと、クリニックの目標
人口減少に伴い、呼吸器内科もただ待っているだけでは厳しい時代になります。今後は、患者さんがまだ自覚していない潜在的な「ペイン(悩みや痛み)」に働きかけることが重要だと考えています。例えば、喘息は7人に1人と言われていますが、企業やスポーツ選手の中にも「隠れ喘息」でパフォーマンスが落ちている方々がいます。そういった潜在層を掘り起こし、適切な治療に繋げていきたいです。
最終的な目標は、「喘息といえばハピコワ」と思い浮かべてもらえるようになることです。診療圏という枠組みに縛られず、遠方で困っている患者さんに対しても、日々の些細な悩みや不安を解決できるような正しい情報をお届けできる仕組みを作っていきたいと考えています。
――本日は貴重なお話をありがとうございました。



