【2026年(令和8年度)診療報酬改定解説】新設「充実管理加算」とは?生活習慣病管理に求められる“実績評価”への対応

  • 内科(生活習慣病)
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更新日
執筆者久保田 駿
コラムテーマ診療報酬改定
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令和8年度診療報酬改定に係る告示・通知、および厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定説明資料」が公開されました。今回の改定において、内科クリニックの経営に大きな影響を与える変更点のひとつが、生活習慣病管理料における「外来データ提出加算」の廃止と、それに代わる『充実管理加算』の新設です。

国はデータ提出の「体制」に対する一律の評価から、提出されたデータに基づく「管理の質(アウトカム)」の評価へと制度を大きく転換させました。本コラムでは、最新の公開資料をもとに、新加算のポイントとクリニックが取るべき具体的な対策について解説します。

充実管理加算の概要:一律50点から「相対評価」による3段階評価へ

令和8年度より、生活習慣病管理料(Ⅰ)および(Ⅱ)を算定する患者に対するデータ提出の評価は、対象となる疾患(脂質異常症、高血圧症、糖尿病)ごとに、管理の実績に応じて以下の3段階に細分化されます。

  • 充実管理加算1(30点):十分な実績を有する(届出医療機関全体の上位20%)
  • 充実管理加算2(20点):相当の実績を有する(届出医療機関全体の上位50%)
  • 充実管理加算3(10点):データ提出体制が整備されている

従来の「外来データ提出加算」は体制整備により一律50点が算定できましたが、今後は最高区分でも30点となります。さらに、自院の評価が他の医療機関との「相対評価」によって決まる点が大きな特徴であり、実績が伴わなければ10点となるため、これまでと比較して減算となる可能性があります。

求められる「実績」の指標と、データ提出実務の簡素化

上位の加算を取得するために評価される「実績」について、各疾患ごとに以下の指標が示されています。

  • 【全疾患共通】継続受診を行う患者の割合
  • 【脂質異常症】脂質異常症に係る検査、または特定健診を受診した患者の割合
  • 【糖尿病】HbA1cに係る検査、または特定健診を受診した患者の割合
  • 【糖尿病】眼科医療機関連携強化加算、または歯科医療機関連携強化加算(それぞれ60点)を算定した患者の割合

特に糖尿病においては、自院での適切な管理に加えて、眼科や歯科を標榜する他の医療機関との積極的な連携が実績の指標として明記されました。

一方で、データ提出に係る現場の業務負担については改善が見られます。身長・体重、HbA1c、血圧分類といった、これまで手入力が必要であった詳細な項目(約26項目)が多数削除されることとなりました。これにより、データ作成にかかる事務的な手間は軽減される見込みです。

クリニックが取り組むべき今後の対策

こうした制度の変更に対し、クリニックが安定した経営を維持するために取り組むべきアクションは以下の通りです。

①経過措置の確認と、猶予期間を活用した「実績づくり」への着手

今回の改定には経過措置が設けられており、令和8年(2026年)3月31日時点で既存の「外来データ提出加算」に係る届出を行っている医療機関は、令和9年(2027年)3月31日までの1年間、暫定的に最高区分の「充実管理加算1」の実績要件を満たしているとみなされます。現在、外来データ提出加算を取得済みのクリニックは、この1年間の猶予期間のうちに真の「実績」を作らなければ、翌年には点数が下落するリスクがあります。

未取得のクリニックは、入力項目が簡素化された点も踏まえ、早期にデータ提出体制を構築し、まずはベースとなる加算の届出を目指すことが現実的な第一歩となります。

②継続受診と他科(眼科・歯科)連携の仕組みづくり

経過措置終了後も上位の加算区分を獲得・維持するためには、実際の診療において質の高い管理実績を示す必要があります。患者様と一緒に治療目標を共有し、定期的な検査と継続受診を促すプロセスを院内で仕組み化することが重要です。あわせて、糖尿病の患者様に対する眼科・歯科への紹介(連携)フローを整備することは、患者様の重症化予防に寄与すると同時に、加算取得に向けた実績づくりにも直結します。

まとめ

これからのクリニック経営においては、「データを提出する」段階から、「データによって質の高い診療実績を証明する」段階へと適応していく必要があります。国の医療政策の方向性を正しく捉え、早期に準備を進めることが重要です。

「自院のシステムでデータ提出にどう対応すべきか」「算定要件を満たすための具体的な院内運用はどうすればよいか」など、診療報酬改定に関するお悩みや今後の医院経営に向けたご相談につきましては、船井総合研究所の「無料経営相談」をご活用ください。専門コンサルタントが、各クリニックの実情に合わせた客観的かつ実践的なアドバイスを実施しております。

執筆者 : 久保田 駿

新卒で船井総合研究所に入社後、医療業界においてクリニックを専門としてコンサルティングに従事。 内科・眼科・耳鼻咽喉科と複数科目に渡って幅広くコンサルティングを実施。 院長・スタッフ・患者様の三方良しを目指した実行サポートを得意とし、地域の患者様に選ばれるクリニックづくりのために、マーケティングによる業績UPと無理のない診療体制の構築の両面からクリニックの発展に尽力していく。