泌尿器科クリニック経営の現状と将来性

2026年02月17日 (火)

科目:
泌尿器科
コラムテーマ:
経営計画/経営管理

皆様、こんにちは。株式会社船井総合研究所の平山です。 

 

泌尿器科クリニックの経営において、今、大きな二極化が進んでいます。 一方では「高齢患者のルーチン診療に追われ、疲弊する現場」。もう一方では「保険診療を効率化しつつ、EDAGAなどの自由診療を戦略的に取り入れ、圧倒的な高収益を実現する現場」。この差は一体どこで生まれるのでしょうか。 

 

泌尿器科は、地域医療のインフラとしての「安定性」と、メンズヘルスという「成長性」の二面性を持つ、非常にポテンシャルの高い診療科です。しかし、多くのクリニックが「恥ずかしさ」という患者様の心理的ハードルや、デジタルマーケティングの遅れによって、その潜在需要を取りこぼしています。 

 

本記事では、WEB予約やMEO対策といった「最短距離の集患術」から、収益性を最大化させる「診療動線設計」まで、明日から経営に活かせる実践的なノウハウを凝縮してお伝えします。 

高齢化社会における泌尿器科ニーズの拡大 

厚生労働省の「患者調査」によると、泌尿器系の疾患を持つ受療率は高齢化に伴い顕著な増加傾向にあります。前立腺肥大症や過活動膀胱といった疾患は、加齢とともに有病率が高まるため、超高齢社会の日本において泌尿器科は極めて安定したニーズが見込まれる診療科といえます。今後も受療率は高い水準で推移することが予測されており、地域医療のインフラとしての役割はますます重要になっています。 

自由診療(EDAGA・美容)とのシナジー効果 

安定した保険診療を基盤としつつ、ED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)といった自由診療を組み合わせることで、収益の多角化が可能です。これらの自由診療は、保険診療で通院している患者層と重なる部分も多く、既存の信頼関係を活かした提案がしやすいという特徴があります。また、メンズヘルス外来として展開することで、新たな層の集客を促進する相乗効果も期待できます。 

競合他院との差別化が急務である理由 

ニーズが安定している一方で、近隣の総合病院や競合クリニックとの差別化が不十分であれば、価格競争や立地の利便性だけで比較されるリスクがあります。「どのクリニックも同じ」と思われないためには、自院の強みを明確にし、それを適切に発信していく経営戦略がこれまで以上に求められています。 

成功する泌尿器科クリニックの「集患・マーケティング」戦略 

「通いやすさ」を演出するWEB予約とプライバシー配慮 

泌尿器科を受診する患者様にとって、最大の心理的ハードルは「恥ずかしさ」です。これを払拭するためには、24時間対応のWEB予約システムの導入はもちろん、院内でのプライバシー配慮が欠かせません。例えば、番号呼び出しシステムの導入により名前を呼ばない配慮をするなど、「ここなら安心して通える」という安心感をデジタルの利便性と併せて提供することが重要です。 

MEO対策(Googleマップ)での地域一番店化 

地域密着型の経営において、Googleマップの検索結果で上位に表示されるMEO対策は必須です。「泌尿器科 地名」や「泌尿器科 おすすめ」で検索された際、良好な口コミと共に自院が表示されることで、新規患者の獲得率は劇的に向上します。患者様からの信頼の証である口コミを丁寧に集め、真摯に返信を行うことが、地域一番店への近道となります。 

潜在顧客へアプローチする「症状別」コンテンツマーケティング 

「尿が漏れる」「夜中に何度も目が覚める」といった具体的な症状で検索する潜在患者様に対し、専門的な知見から解説するコンテンツを提供しましょう。お悩みに寄り添った記事や動画は、ドクターの専門性を伝えるだけでなく、「この先生に相談したい」という信頼感の醸成に繋がります。 

女性や若年層を取り込むための「女性外来」や「夜間診療」の検討 

泌尿器科は男性高齢者のものというイメージを払拭し、ターゲットを広げることも戦略の一つです。例えば、特定の曜日に「女性専用外来」を設けたり、仕事帰りに通える「夜間診療」を実施したりすることで、これまで取りこぼしていた女性層や現役世代の集客が可能になります。 

収益性を最大化させる「診療モデル」の構築 

保険診療(前立腺肥大症・頻尿等)の回転率を上げる動線設計 

医業収益を最大化するには、「診療単価×患者数」のバランスを最適化する必要があります。特に保険診療においては、患者様の満足度を維持しながらも、効率的な検査・診察の流れを作る動線設計が重要です。無駄な待ち時間を減らすことは、結果として患者様の満足度向上と再診率のアップに直結します。回転率向上の具体的なノウハウを知りたい先生は「泌尿器科の待ち時間を短縮させる、診療効率化を実現するDX戦略」コラムを参考にしてください。 

自費診療(ED・メンズヘルス)導入のメリットと注意点 

自費診療はクリニックの利益率を高める有効な手段ですが、ED治療薬などの処方においては、近隣の薬局や他院との価格競争に巻き込まれやすい側面もあります。単なる薬の販売に留まらず、専門医によるカウンセリングやフォローアップを付加価値として提供し、「安全・安心」を軸にしたブランディングが不可欠です。近日中に泌尿器科クリニックの自費診療に関するコラム記事を作成予定ですので、詳細を知りたい先生はそちらをご覧くださいませ。 

診療単価アップに貢献する検査機器の選定基準 

高性能な超音波診断装置や尿流測定装置などの導入は、診断の精度を高めるだけでなく、適切な検査実施による診療単価の向上に寄与します。ただし、高額な機器の導入には投資対効果(ROI)の見極めが必要です。自院の想定患者数と疾患構成に合わせ、最も効率的に稼働する機器選定を行いましょう。高額費用の医療機器を購入する際は、テストマーケティングも重要です。web問診で既存患者様にアンケートをするなどリスクヘッジをしたうえで展開することをおすすめします。 

泌尿器科特有の「開業・運営」のポイント 

プライバシーを最優先した内装レイアウト 

泌尿器科の設計において、トイレの配置と中待合の動線は最も重要な要素です。尿検査がスムーズに行えるよう、トイレから検査室への検体提出口の設置はもちろん、他の患者様と視線が合いにくいレイアウトにするなど、物理的な側面からもプライバシーを守る工夫が必要です。 

専門スタッフ(看護師・検査技師)の採用 

質の高い医療サービスを提供するには、泌尿器科の特殊性を理解したスタッフの確保が欠かせません。カテーテル管理や検査補助を行う看護師はもちろんですが、診療単価を上げるためには臨床検査技師の採用が鍵を握ります。 

スタッフ定着率の向上 

スタッフが1名離職した際の損失コストは、数百万円にのぼるというデータもあります。実際、紹介会社への手数料や、欠員による予約枠の制限、さらには新人の教育コストなどを考慮すれば、その数字も決して大げさではありません。 定着率向上のポイントは、「給与(報酬)」「労働時間」「人間関係」のいずれにおいても欠点を作らないことです。まずはこの3要素を高い水準で整えた上で、キャリアビジョンの提示や評価制度の構築へと着手することをおすすめします。 

医療連携(病診連携)の構築による紹介患者の確保 

高度な検査や手術が必要な症例において、地域の基幹病院とスムーズに連携できる体制は、クリニックの信頼性を高めます。逆紹介(病院からクリニックへの通院継続)を積極的に受容することで、重症度の高い患者様の管理を任されるようになり、地域医療における権威性を確立できます。 

失敗しないための経営リスク管理 

集患の偏り(特定疾患への依存)を回避する 

特定の疾患や特定の自費診療だけに集患を依存するのは、経営上のリスクとなります。診療報酬改定や競合の参入といった外部環境の変化に強い組織を作るため、幅広い疾患に対応できる体制を整え、収益の柱を複数持っておくことが持続可能な経営には不可欠です。 

デジタル誹謗中傷・口コミ対策の重要性 

インターネット上の口コミは、集患に大きな影響を与えます。万が一、Googleビジネスプロフィール等で不適切なレビューが書き込まれた場合は、放置せず適切に対応(削除依頼や丁寧な返信)を行う必要があります。また、医療広告ガイドラインを遵守し、法的なリスクを回避するコンプライアンス意識も欠かせません。 

まとめ:持続可能な泌尿器科経営に向けて 

泌尿器科クリニックの経営成功には、安定したニーズに甘んじることなく、患者様の心理に寄り添った「通いやすさ」の追求と、保険・自費を組み合わせた「高収益モデル」の構築が欠かせません。本記事で解説した集患戦略や運営のポイントを一つずつ実践することで、地域に根差し、患者様から選ばれ続けるクリニックへと成長できるはずです。 

 

本記事の内容に基づき、貴院の現状に合わせた具体的な「集患シミュレーション」や「内装動線のアドバイス」を承ることも可能です。さらに詳しい経営支援をご希望の方は、ぜひ一度「無料経営相談」にお申し込みください。 

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この記事を書いたコンサルタント

平山 侑之介

プロフィール詳細

船井総研に新卒で入社後、内科・内視鏡クリニックの専門コンサルタントとして従事してきた。開業半年で800件、開業3年で月間1500件の内視鏡クリニックのお手伝いを始め、人口3万人満たないエリアの内視鏡クリニックで月間内視鏡300件以上を達成させるなど、エリアや開業年数に問わず業績アップ支援を行ってきた。社内では入社後最速でマネジメント職に上申するなどの功績を残しており、社内外で活躍の幅を広げている。
コンサルタントとしての強みは、幅の広さである。内視鏡クリニックだけでなく糖尿病内科・循環器内科などの医院様もコンサルティングしているため、内科領域で幅広い提案が可能。さらに、マネジメント職の経験を活かしたマネジメント支援(採用や育成)でも実績を残している。

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