医療法人社団雄仁会様
今回の取材は現在、「メディカルケア虎ノ門」「メディカルケア大手町」の心療内科・精神科クリニック2医院の理事長を務めるかたわら、(一社)東京リワーク研究所所長も務める五十嵐良雄氏に、先進的なリワークの取り組みについてお話をお伺いしました。
リワークとは気分障害、精神疾患などを理由に休職しているビジネスパーソンに対して行われる職場復帰を目的としたリハビリテーションの総称です。特に医療機関で行われるリワークは精神科デイケアなどの診療報酬の範囲内で行うため、保険適応となっており、一部負担で利用することができます。再休職をしない職場復帰を目指しているため、実際に会社で行う作業などのオフィスワークがプログラムに組み込まれており、再発予防に向けて自身の疾患の理解や対処方法を学ぶことができます。利用者には主に認知行動療法などの心理療法を用いたプログラム構造となっており、集団療法でもあり、コミュニケーションの取り方も学んでいただき、復職へと導きます。
◆「リワークを取り巻く環境はどのように変わりましたか?」
2003年に虎ノ門で開業してから、軽い症状のうつ病患者が復職しても、また離職してしまうケースを多く目の当たりにしてきました。その理由としては、主治医が治ったと思うレベルと会社で普通に働けるレベルの間にギャップがあり、まだ会社で働けるレベルに達していなかった患者を復職させたところ、再び症状が悪化し、再休職してしまうケースをたくさん経験しました。そして、このようなギャップをどうにかして埋められないかと考え、2005年に当院でリワークプログラムを始めました。
新型コロナウイルスの騒ぎになる前には、双極性障害が発達障害傾向の背景を持つ利用者が多かったのですが、現在は生活が一変し、ビジネスパーソンのテレワークによる在宅勤務が増え、その影響でうつが出現する患者もいます。このような時代の変化と共に精神疾患も多様化し、今までうつ病になりづらかったような人も患者として増えています。そして、このようなニュータイプの患者の復職支援にもリワークが非常に重要だと考えています。
◆「メディカルケア虎ノ門のリワークの強みは何ですか?」
当法人は、2003年に虎ノ門、2018年に大手町にクリニックを開設し、現在ではリワークプログラムはメディカルケア虎ノ門で行っています。基本的なプログラムは他のリワークを提供している施設と特段変わりはありませんが、強いて違いをあげるとすれば、利用者に休職理由と復職後の対策に関する「自己分析」をかなり突っ込んでしていただいていることと、発達障害対象の専門プログラムを行っていることです。「自己分析」を始めにしっかり行うことで、診断が確実になり治療効果にも大きな差を出すことができます。
◆「実際にリワークを受けられた利用者はどのように改善されていくのでしょうか?」
産業医大の外来のデータをコントロールとして、年齢や性別などの条件を組み合わせ、リワークプログラムの利用者と非利用者と比較してみると、非利用者は復職してから平均122日就労を継続しているのに対し、利用者は復職からの就労継続が平均で686日間であったことが分かりました。平均して6倍近くもの日数を就労できているというこの事実は非常にリワークの重要性や効果を物語っているのではないでしょうか。
◆「今後の展望を教えていただけますか?」
新型コロナウイルスによって生活が一変、精神疾患が多様化していることから、今後、さらにリワークの必要性・重要性が高まってくると考えています。ですから、我々は協会の活動を通じて質の高いリワーク施設を増やすこと。そして、多くのビジネスパーソンがより良い状態で職場復帰が果たせる環境を協会の仲間と共に整えていきたいと考えています。
◆著書の紹介
・うつのリワークプログラム 五十嵐 良雄 (著) 日経BP(出版)
・「はたらく」を支える! 職場×発達障害 五十嵐 良雄 (著) 南山堂(出版)
・発達障害の人が長く働き続けるためにできること 五十嵐 良雄 (監修) 講談社(出版) ・うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本 五十嵐 良雄 (監修) 講談社(出版)
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