vol.54 「あと10年であなたは何をしますか?」
2015年7月27日配信
みなさん、こんにちは。
今、船井総研へは病院からのコンサルティング依頼が急増している。
厚生労働省のデータによると、
平成25年の医療費は39.3兆円。
うち病院の医療費は20.9兆円(入院15.4兆円、入院外5.5兆円)。
診療所の医療費は8.46兆円(入院0.36兆円、入院外8.1兆円)。
となっている。
このデータを見ると、
医療費削減でインパクトを出しやすいのは病院(医療費の53%)。
しかも、入院(医療費の39%)であることがお分かりいただけるだろう。
そのため、昨今の診療報酬改定のメインテーマは、
手厚い医療を必要としない患者は在宅や介護施設での治療に切り替えさせ、
病院の病床を削減するというものだ。
7月21日の日本経済新聞には、
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H75_V10C15A6EE8000/
10年後の2025年には病床を16~20万床削減するという記事が掲載されていたが、
今、病院は、
2次医療圏において、
患者の医療ニーズを把握し、
患者のターゲット、医療の強みをどこに集中させ、
地域でどんな役割を担っていくのか?
その方向性を決め、
大きく舵を切らなければ生き残れないという状況に追い込まれている。
そのため、弊社にコンサルティングの依頼が増えているわけだが、
先日、私のクライアントの先生から、
「病院の次は診療所に大きなメスが入りますか?」
という質問を受けた。
それに対する私の答えは、
NO!だ。
もちろん、診療所において、
今後も診療報酬マイナス改定の波は避けられないと思うが、
厚生労働省は、診療所に病院ほどの大鉈を振るわなくても、
大丈夫だと思っているのではないかと、私は思っている。
それはなぜか?
こちらを見て欲しい▼
http://www.zen-ikyo.or.jp/img/JMC_News_137.pdf
7月1日に発行されたJMCニュース137号の9ページ。
東京大学高齢社会総合研究機構の
「診療所外来利用者数の将来推計について」
このグラフを見ると、その理由がお分かりいただけるのではないだろうか?
昨今の診療所の状況というのは、
診療所の医師数が右肩上がりで上昇傾向。
そのため、診療所医師1人1日当りの利用者数の減少が始まっており、
診療所外来利用者数は、
あと10年後の2025年をピークに、減少していくことがお分かりいただけるだろう。
これは一言で言えば、放っておいても診療所の自然淘汰が始まるということである。
そのため、厚生労働省は診療所には大鉈を振るわないのではないか?
と、私は思っている。
さて、
いよいよ2025年には、
診療所がライフサイクルで成熟期に入る。
今後の方向性として、
1つの方向性は専門化。
○○の治療なら○○医院というような専門性が発揮できないクリニックには患者が集まらなくなるだろう。
また、新しい方向性を模索するなら、
今後、医療はマーケットの大きくなる在宅医療分野に進出するか?
自費診療の導入をするか?
はたまた、介護事業に進出するか?
いづれの方向性に進むにしても、
成熟期に入ってからあわてるのでは遅すぎる。
本メルマガの読者には、そんな愚かなことはやって欲しくない。
2025年まであと10年。
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