医療法人あい友会
今回は関東を中心に7拠点、総患者数3,500名の在宅クリニックを経営されている医療法人あい友会 理事長 野末睦(のずえ むつみ)先生にお話を伺ってまいりました。あい友会様の一番の特徴であるAIUモデルを中心に、在宅クリニックの拠点展開において大切にされていることをお伺いいたしました。
沿革
2014年 10月 あい太⽥クリニック 開設
2015年 9月 医療法⼈あい友会設⽴
2019年 11月 あいホームケアステーション 開設(訪問介護事業・群⾺県太⽥市)
2020年 10月 あい庄内クリニック 開設(⼭形県東⽥川郡三川町)
2021年 7月 あい駒形クリニック 開設(群⾺県前橋市)
2021年 11月 あい太田訪問看護ステーション 開設(群馬県太田市)
2023年 7月 あい逗子クリニック 開設(神奈川県逗子市)
2023年 11月 あい熊谷クリニック 開設(埼玉県熊谷市)
2024年 1月 あい長野クリニック 開設(長野県長野市)
2024年 3月 あいつくばクリニック 開設(茨城県つくば市)
船井総研:
まず、あい友会がここまでの規模に拡大された背景についてお聞かせください。 現在、3,500名の患者様を抱え、7つの拠点を展開されていますが、当初からこのような規模を目指されていたのでしょうか?
野末理事長:
いいえ、実はそうではありません。私は、「ここにこういうニーズがあって、これをやるときっとやりがいがあって、しかも楽しいだろうな」という考えから始まり、そのうち自然にのめり込んでいくタイプなのです。そのような考えのもと、人の縁や故郷への思いから、拠点を増やしていきました。ですから、「なぜこんなに増えたの?」と聞かれると、自然に増えたというのが正直な答えです。
船井総研:
拠点が増えるにつれて、運営上の工夫や苦労はありましたか?
野末理事長:
はい、各拠点の院長先生との連携には苦労しました。院長先生方は、臨床経験が豊富な方もいれば、リーダーシップに長けている方もいたりと、バックグラウンドが様々です。そのため、理念、ミッション、コアバリューを言語化し、全スタッフに浸透させることを徹底しています。また、人事制度も見直し、役割等級制度、報酬制度、評価制度を近々導入する予定です。これにより、属人的な経営から脱却し、組織としての目標を共有できるようになると考えています。
船井総研:
あい友会独自の「AIUモデル」について詳しく教えてください。
野末理事長:
AIUモデルは、常勤医師5名で患者750名を担当するモデルです。在宅医療の現場では、院長先生一人で対応しているケースが多いのですが、これでは医師の負担が大きすぎますし、患者さんへの対応も十分にできない可能性があります。そこで、複数の医師で交代制を取り、24時間365日対応できる体制を整えました。また、5名の医師がいれば、それぞれの専門性を活かし、グループ全体の診療の質を向上させることができます。さらに、医師の退職などのリスクにも対応しやすく、法人としての持続可能性を高めることができます。
船井総研:
DX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組みについても教えてください。
野末理事長:
はい、当法人では開業当初からDXを重視しています。医師、職員全員にスマートフォンを貸与した上で、GoogleやMicrosoftのアカウントを配布し、電子カルテの導入はもちろんのこと、チャットワークでの情報共有など、積極的にデジタルツールを活用しています。また、グループ内にICTチームを設け、デジタルツールのセッティングや、ヘルプデスクとして日々活躍しています。また、AIの活用にも取り組んでいます。特に、生成AIを診療の効率化や労働生産性の向上に役立てたいと考えています。具体的には、患者さんとの面談やカルテの要約、音声入力などをAIでサポートできるようにしたいと考えています。ただし、外部との連携においては、医療業界のDXの遅れが課題だと感じています。例えば、未だにFAXを使っている医療機関や、紙ベースでのやり取りが多い行政機関などとの連携は、スムーズに進まないのが現状です。
船井総研:
今後の展望についてお聞かせください。
野末理事長:
他事業展開という観点からお話しますと、クリニック以外の介護などの分野への進出は、今のところ考えていません。まずは、医師を中心としたクリニックでの質の向上と労働生産性の向上に注力したいと考えています。具体的には、在宅患者に多い疾患に対するケアチームの活動をさらに強化し、患者さんへの説明や多職種連携のテクニックを体系化していきたいです。拠点展開については、経営状況を見ながら慎重に進めていきますが、3年後には13カ所を目指したいと考えています。また最近では老人ホームなどの介護施設入居者さんへの診療報酬も下がってきている傾向にあり、施設診療の撤退をしているクリニックも増えてきております。しかし、日本の人口構成を考慮すると、施設での在宅医療は不可欠であるかと考えております。あい友会としては、施設での在宅医療の質を維持しつつ、労働生産性を上げる方法を模索していきます。
医療法人あい友会 HP https://aiyu-kai.or.jp/
医療法人あい友会 YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/channel/UCCO6ieVOgYv3kj01oiaeN2w
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