A.令和8年度診療報酬改定における内科の要点は「経営の省人化」と「診療の質向上」です。
高騰する人件費に対し、ベースアップ評価料に加え医療DXによる脱・属人化が急務となります。
一方、生活習慣病管理料では併用項目が拡大し、よりきめ細かな患者管理と厳格な療養指導の実践が求められます。
令和8年度診療報酬改定で内科医院が迫られる「省人化」と「管理向上」への対応
令和8年度(2026年度)診療報酬改定は、内科クリニックに対し、かつてないほど明確な「二極化」の対応を求めています。それは徹底した「省人化・効率化」と、診療現場における「生活習慣病管理の向上・高密度化」です。 単なる点数の増減に一喜一憂するのではなく、この2つの潮流を正しく読み解き、医院の構造改革に着手できるかどうかが、医院経営のカギとなります。
1.人事・賃上げ対策
まず人事面では、医療従事者の賃上げを支援する「ベースアップ評価料」の拡充が図られました。しかし、経営者は「これで賃上げ原資が確保できた」と安易に考えるべきではありません。 物価上昇と採用難による人件費の高騰は、診療報酬の補填スピードを遥かに上回っています。制度による加算はあくまで一時的な支援に過ぎず、既存の「人を増やして対応する」という労働集約型のモデルは限界を迎えています。
令和8年度改定が真に示唆しているのは、「医療DXによる徹底的な省人化」への投資です。 具体的には、「受付・会計の無人化」や「電話対応のAI化」のような「脱・属人化」へのシフトが必要です。
「ベースアップ評価料」を算定しつつも、経営の本質としては「そもそも人の数に依存しない診療体制」を目指すこと。DXによって固定費(人件費)の上昇を回避することが必要です。
2. 生活習慣病管理
生活習慣病管理料(II)について、今回の改定では併用算定できる検査項目や指導管理料の範囲が拡大されました。
これを「請求しやすくなった」という緩和措置としてのみ捉えるのは危険です。
国が意図しているのは、糖尿病や高血圧といった単一疾患の管理だけでなく、合併症予防を含めた「よりきめ細かな生活習慣病管理」の実施です。
併用算定が可能になったということは、裏を返せば「複合的なリスクを持つ患者には、相応の検査と指導を行うべきである」という標準治療のハードルが上がったことを意味します。
漫然と同じ薬を処方するだけの診療は評価されず、アウトカムを評価する体制や、多職種との連携を交えた管理プロセスが問われるようになる可能性があります。
3.まとめ
一見複雑に見える令和8年度改定ですが、本改訂を乗り切るための戦略はシンプルです。
DXやAI活用によって受付や事務作業などの「人に頼らなくていい業務」を徹底的に圧縮し、浮いた人手と時間を、生活習慣病管理のような「人でなければできないきめ細かな診療」に投入することです。
「省人化・DX化」と「管理の向上」。この2つを両輪として回すことがこれからのクリニック経営の明暗を分けます。


