A.2026年診療報酬改定は物件費の高騰・賃上げへの対応によって、本体は3.09%のプラス改定です。一方で、整形外科クリニックの業績に関わる骨塩定量検査の算定要件の見直し、リハビリ関連書類や働き方の見直しにより業績が下がる医院様があるため、正しい戦略立案と方針を練り直す必要があります。
2026年診療報酬改定は整形外科クリニックの経営に少し逆風が吹く診療報酬改定となるかもしれません。
これまでと同じ戦略では業績が下がる可能性が高いので、気になる方は最後までお付き合いください。
2026年改定における物価高騰・賃上げへの対応
まずは、『物件費の高騰を踏まえた対応』により、「初診料・再診料アップ」が見込まれており、「外来・在宅物価対応料」という加算項目が新設されております。
また、『賃上げに向けた評価の見直し』は、「外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)」に加え、「継続的に賃上げを実施している保険医療機関の加算」が新設されます。
2024年の診療報酬改定より、職員の賃上げに取り組んってきた医院を優遇する改定項目です。
日本の経済状況や社会の時流に乗ることの重要性が2026年診療報酬改定からのメッセージとして受け取れます。
一方で、上記の物価高・賃上げへの対応分だけでは、近年の物価上昇率(直近3年間の年平均約3~4%の上昇)や最低賃金の上昇率(直近3年間の年平均約5.3%の上昇)には及んでおりません。
加えて、本コラムの冒頭の通り、2026年診療報酬改定により整形外科クリニックの業績は少し下がる見込みが高いのが今回の診療報酬改定の特徴です(物価高・賃上げへの対応分を除く)。
骨塩定量検査の算定要件見直しと減収リスクへの対策
まず、骨塩定量検査の算定要件の見直しにより、基本的に年に1回の算定になります(6つの条件下において4月に1回算定可)。
骨粗鬆症の早期発見と発見漏れを防ぐために、検査フォローに注力していた医院様にとっては減収になります。
ここで重要になるのは目的の再認識です。
「骨塩定量検査」はあくまで手段です。
- 「骨粗鬆症の早期発見と早期治療」のための「啓盟活動の活性化(WEB上での発信、地域住民向け教室の開催など)」
- 初診患者を含む骨塩定量検査を受けるべき対象者への誘導方法の確立とスタッフ教育
などといった取り組みの精度を上げるきっかけにしてもらえたらと思います。
医療の方向性は変わらず、「介護負担を減らすための骨粗鬆症の早期発見と早期治療」への貢献です!
運動器リハビリテーション関連の改定項目と経営戦略
次に、運動器リハビリテーション関連の個別改定項目も公表されています。
①リハビリテーション総合実施計画料の初回算定時と2回目算定時の分化
- 具体的な点数は公表されておりませんが、書類業務の簡素化といった方針を読み解くと、2回目算定時のマイナス改定の可能性が高く、減収が予想されます。
②目標設定等支援・管理料の廃止と減算の廃止
- 管理業務が減り、現場からは「ラクになった!」とポジティブな意見も出ていますが、250点×件数の減収となります。
③疾患別リハビリテーション以外の業務管理の追加(書類業務なども単位で管理)
- 週当たり108単位の上限単位数に、書類業務等を実施した時間も単位数に含めることになります。
①・②の改定による減収見込みをどう予測し、対策できるかが、2026年の経営の分岐点になります。
具体的には、総合実施計画料の1回目算定の割合を増やすための、運動器リハビリ処方患者数を上げることです。
そのため、
- 医院全体の処方数を上げるための集患力アップと連動した運動器リハビリ処方数アップ
- 1単位比率の向上
- 状態が安定した患者の通院頻度のコントロール
などの取り組みが必要になり、効果的な数値管理方法の確立と扱える人材の育成が必須となります。
理学療法士・作業療法士の処遇改善はより一層課題となり、整形外科のサービスや収益の柱となるスタッフの幸せの実現が難しくなります。
2026年診療報酬改定は、整形外科クリニックに追い風ばかりではありませんが、ぜひ、経営を見直すきっかけとしていただき、院長・スタッフ・患者さんが幸せで健康であり続ける経営の実現を一緒に見つけていきましょう!


