「あえて内科は診ない」戦略と日帰り手術で実現した、泌尿器科クリニックの新たな専門特化モデル
そえだ腎・泌尿器科クリニック 院長 副田 雄也様

名古屋駅近郊というクリニック激戦区にありながら、開業からわずか2年強で1日平均70〜80名の患者が訪れる「そえだ腎・泌尿器科クリニック」。「専門性の高い医療を、気軽にクリニックで」という理念を掲げ、急速な成長を遂げた背景には、泌尿器科単科への徹底したこだわりと、日帰り手術を軸とした戦略的なブランディング、そして緻密な経営判断がありました。今回は副田院長に、独自の経営戦略と今後の展望についてお話を伺いました。
1. 開業の原点:「専門的な医療こそ、もっと気軽であるべき」という挑戦

「勤務医時代、大病院の外来は平日の午前中に限られることが多く、現役世代の方々が仕事を休まざるを得ない状況に強い課題を感じていました」
副田先生が開業を決意した原点は、勤務医時代に感じた「医療へのアクセス」に対する問題意識でした。泌尿器科疾患は適切な投薬管理でコントロール可能なケースも多く、働きながら治療を継続したいというニーズは確実に存在します。
「専門的な医療こそ、もっと気軽であるべき」という信念から、仕事や家庭生活に影響を与えずに通院できる環境を提供するため、アクセスの良い名古屋駅近くでの開業を決断されました。
2. 「何でも診る」を捨てる。専門特化が築いた地域連携

開業時、集患への不安から内科や皮膚科を併設するクリニックも多い中、副田先生は「泌尿器科一本で突き抜ける」戦略を選択しました。
「他科を標榜することで、本来の強みである専門性が薄れることは避けたかったのです。また、泌尿器科医として真に向き合うべき患者様への時間が削られるリスクも考慮しました」
この「あえて標榜科を絞り込む」戦略は、想定以上の相乗効果を生み出しました。近隣クリニックに対し「泌尿器科の専門特化」を明言したことで、競合ではなく「頼れるパートナー」としての信頼関係が生まれ、高血圧患者の排尿管理やPSA高値の精査、小児科からの夜尿症患者など、近隣クリニックからの紹介が増加し、安定した集患ルートの確立につながっています。
また最近では、同業者である医師自らが患者として通院をしている事実からも、「頼れるパートナー」として信頼されていることが分かります。
3. 武器としての「日帰り手術(ウロリフト)」とブランディング
同院の躍進を支える大きな柱が、前立腺肥大症に対する低侵襲治療「ウロリフト(経尿道的前立腺吊上術)」の日帰り手術です。副田先生は中部北陸地方でいち早くライセンスを取得し、現在は国内でも数少ない「ウロリフト指導医(2024年現在で国内に4名)」として後進の育成にもあたっています。
さらに、日帰り手術を安全に行うために「麻酔科標榜医」の資格も戦略的に取得されていました。
「クリニックで日帰り手術を行う以上、安全性と確実性が何よりも重要です。ウロリフトは、侵襲性が低く、短時間で終了するため、忙しい現役世代の患者様や高齢の患者様への負担が少ない点が当院のコンセプトに合致しました。また、導入にあたっての体制構築もしやすく、長期的に安定して最先端治療を提供し続けられると判断しました」。
現在では、適切な医療体制を堅持するため手術件数を制限していることもあり、常に1〜2ヶ月待ちという状況が続いています。
「手術まで一貫して責任を持つ専門医」というブランディング効果は絶大で、投薬治療のみの患者も含めた集患の底上げにつながっていますし、さらに大学病院や中核病院の医師からも逆紹介を受けるほど、地域医療における確固たるブランドとなっています。
4. 予想外の患者層と、「また来たい」と感じさせる診療の高質化
開業後のギャップとして挙げられたのが、患者層の若さです。かつてのような「泌尿器科=恥ずかしい」という意識は薄れ、ネットで専門医を探して来院する若い女性やビジネスマンが増加しています。
急増する患者に対応するため、慢性疾患の受診間隔を適切にコントロールしつつ、エコー検査などを効果的に組み込むことで、診療の質を落とさず効率化を図っています。
また、副田先生が重視しているのが「再初診」の患者様です。
「一度受診された方は、診察の流れを理解してくださっており、こちらも過去のカルテ情報があるため、非常にスムーズで精度の高い診察が可能です。そうした基盤があるからこそ、同じ悩みでも新たな症状でも、再び『またここに相談しよう』と思って足を運んでいただけるよう、日頃から診療の質の担保と、待ち時間をできる限り短くする効率化に徹底してこだわっています。こうした再受診への期待に応え続ける信頼関係の構築こそが、クリニック経営の理想的な形だと考えています」
5. 次なる一手:再生医療(PRP)と教育への情熱
今後の展開として、副田先生は「尿失禁に対する再生医療(PRP療法)」の導入を進めています。 「薬物療法では効果が不十分だが、人工括約筋のような大掛かりな手術までは踏み切れない」という層に対し、自分の多血小板血漿を用いるPRP療法を自費診療として提供する。将来的な保険適用も見据え、今のうちから実績を作り「トップランナー」としての地位を確立する狙いがあります。
また、ウロリフトの指導医として他院の医師への教育や見学受け入れも積極的に行っており、今後は「手術特化型クリニック」の分院展開や、リニア開通を見据えた広域からの集患も視野に入れています。
編集後記
「医師として学術的な研鑽をおろそかにせず、常に新しい治療を提案し続けたい」と語る副田先生。 社会性(患者の利便性)、教育性(技術指導)、収益性(専門特化と自費診療)の3つを高いレベルで両立させるその経営スタイルは、次世代の専門特化型クリニックにおける一つのモデルケースと言えるでしょう。
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文責:船井総合研究所
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