一般社団法人 Kukuru

一般社団法人 Kukuru
代表理事 鈴木 恵 氏

今回は沖縄県那覇市にある「一般社団法人Kukuru」の 代表理事 鈴木 恵様 にお話しを伺ってまいりました。鈴木様は2019年に小児在宅医療を中心としたKukuruきっずクリニックを開設されました。取材依頼にも快くお引き受けいただき取材時にはクリニックの設備等をご案内いただき笑顔で質問にお答えいただきました。クリニックには子供たちが不安やストレスを抱えないよう動物キャラクターが随所にあり、ドアやエレベーターの開閉時に現れるなど遊び心がたくさんありました。看護師の鈴木様が法人を立ち上げ現在に至る理由、自身の経験などを踏まえお話しいただきました。短い時間でもお人柄を感じることができ、事業への想いと職員の方を大事にされていることを知ることができた鈴木様の取材内容をご紹介いたします。

法人外観写真

●沿革について
・2010年1月18日一般社団法人設立
・2011年沖縄県喀痰吸引等研修委託開始
・2015年7月小児専門訪問介護事業開始
・2015年11月小児専門訪問看護事業開始
・2019年9月Kukuru+開設
・2019年10月Kukuruきっずクリニック医療型短期入所医療型日中一時支援事業開始

●法人の特徴をお教えください
障がいや先天性疾患を持つ子ども、主に人工呼吸器等の医療を必要とする重い障がいのある子ども専門の小児科です。医療型短期入所や訪問看護・居宅介護といったサービスを組み合わせて、障がいのあるお子さんとそのご家族を総合的にサポートしています。医療的ケアが必要な子どもと家族の沖縄小児在宅地域連携ハブ拠点として大きく4つの事業に取り組んでいます。

①バリアフリー旅行支援事業
・旅行コーディネート(移動手段・宿泊地・観光・医療相談など)
・介護士・看護師配置による同行介護
・旅行先での入浴介助
・医療機器の貸し出し

②おうちで暮らす支援
・Kukuruきっずクリニック
・医療型短期入所、日中一時支援
・Kukuru訪問看護ステーションリンリン
・Kukuru訪問介護ムームー

③みんなで集う場所
・くくるキッチン(シェアキッチン)
・多目的ホール
・おひさまテラス
・じゃぶじゃぶプール

④おきなわ医療的ケア研修センター
・喀痰吸引等研修
・指導者養成研修 等

2階ショートのトイレ扉写真

●法人を立ち上げた経緯について
私自身の経験が軸になっています。障がい児を抱える親でもあり看護師という経歴があります。子育てをしている時に一番理解してもらえなかったのが医療従事者である同業者でした。もとは東京で重症心身障害児の訪問看護事業に携わっていました。この時にも私を含め当事者の親は一握りいましたが、考え方の違いに違和感を感じていました。ただ振り返れば、私自身まだ子供がいない時代に病棟で働いている時は大変だなと思いながらも小児患者の親御さんに全然寄り添えていなかったと思います。当事者になると大変さを感じる度合いが全然違います。だから今いる現場の人たちに在宅医療の親の気持ちをわかってほしいというのも難しいと感じています。ただその乖離をどれだけ狭められるかというのが課題だとも感じています。また障がいを抱える子ども、親御さんを取り巻く環境や社会を少しでも変えることができればとも思っています。小児科で出てくる話として「親の考え方」が取り上げられます。悪いことが起きたりすると「親のせい」になることがあります。それは親御さんのせいではなく社会がそうしたのではと思っています。医療従事者は何百人いる中の一人ですが、親は一人で子供のためであればなんでもしてあげたいと思うものです。ケアが濃密になったり、上達して創意工夫をすることを認めず「お母さん、やりすぎですよ」となります。そういう風に親御さんに指導した親御さんに指導したのは医療従事者側で社会のほうなのに親が悪いというのはどうなんだろうと感じています。そういう経験から親御さんが「こういうことをやりたい」と思っているのならどうしてそう思うのかを確認し、そのことに対してどういう支援をすることで親御さんが変われるのかを考えて研修などを行っています。

エレベーター写真

●在宅医療や訪問看護において、どのような支援が必要だと感じていますか
在宅医療や訪問看護において、家族が中心となって支援を受けることが非常に重要です。親や家族が安心して医療を受けられる環境を整え、この関係性を大切にすることが求められます。私たち医療従事者は、単に医療的なケアを行うだけでなく、家族が抱える心の負担を理解し、気持ちに寄り添うことが必要です。また、地域社会と連携し、支援の幅を広げることも重要です。訪問看護を通じて、医療的なケアが行われるだけでなく、家族の心の支えになるよう努めています。個々の家族のニーズに応じた柔軟な支援を提供することで、子どもたちにとってもより良い環境を作ることができると思っています。

屋上プール写真

●スタッフの方の働き方はどのようにされていますか
職場は非常に自由なスタイルを大切にしています。強制することなく、自分がしたいことを自発的に考えて行動してほしいと思っています。現在は変形労働制を取り入れ、1ヶ月に決められた時間の中で勤務してもらう体制をとっているので、スタッフは自分の働き方を自分で調整できるようになっています。シフトの基本的な枠組みは設定しますが、個々の生活スタイルに合わせた柔軟な対応を心掛けています。子育て中のスタッフや介護が必要な親がいるなど、さまざまな状況にいる人がいるため、相互理解が大切ですね。子どもが急に熱を出した時など、みんなで助け合う風土を作っています。また、マニュアルもほぼ存在しません。それが逆に、スタッフが自分で工夫しながら働く環境を作り出していると思っています。もちろん、普通の職場と違って、決まりがないと働けない方には合わないかもしれませんが、自由を求める方には非常に働きやすいと評価されています。看護師、セラピストの方は沖縄県外から移住して勤務していただくことも多いので、そういった方が今後も応募などしていただけると大変心強いですね。クリニックもあり、今でこそ看護と介護は任せていますが、すべてを管理するのは大変なので事務長のような方も来ていただけると嬉しいですね。

1階リハビリ室写真

●沖縄での医療に対する課題についてどう感じていますか
沖縄には多くの医療的課題が存在しています。特に、医療的ケアが必要な子どもたちに対して十分な支援が行き届いているとは言えません。在宅医療は難しい一方で、訪問看護やサポート体制も不十分な現状があります。このため、私たちの活動は地域のニーズに応じた支援をより一層拡充することが求められています。医療者同士が連携し、地域全体で子どもたちを支える環境を目指していかなければなりません。ただ沖縄の地域性として、ゆいまーる精神や助け合いの文化があり、地域社会全体で子どもたちを支える意識が根付いています。この文化があるからこそ、共有された価値観や生活条件を理解し合える中での支援が可能となっています。

1階法人入口写真

●今後の展望についてお聞かせください
沖縄県の北部での活動を予定しています。特に過疎地域は訪問看護がほとんどなく、利用者宅まで市街地から車で40分ほどかかります。新たに過疎地在住の看護師が入職するので、北部の過疎地域をカバーできるようにしていきたいです。病気になって都市部の病院に来て最期を迎えるより、生まれた土地で最期を迎えられる町づくりを旅行支援も兼ねて考えています。バリアフリーのビーチ、海の家、障害のある子が使える公園などできればいいなと考えています。今後も医療的ケアの充実を図り、子どもたちとその家族が地域で安心して生活できる社会の実現に向けて取り組んでいきます。

【一般社団法人 Kukuru 】
https://kukuruokinawa.com/

 

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