わたなべ泌尿器科クリニック様

渡邊 晃秀

本取材では2020年の新型コロナウィルスの蔓延を目前に控えたタイミングで、自由が丘駅から徒歩3分の好立地にて「自由が丘わたなべ泌尿器科クリニック」を開業された渡邊 晃秀先生にお話を伺ってまいりました。開業直後から、コロナ禍に突入し向かい風の状態で経営がスタートされたはずでしたが、現在となっては新患の予約や飛び込みで診療のほとんどを安定して占めていらっしゃる状態とのこと。

開業1年半で、地域に根ざしたクリニックとしてブランドを確立させた渡邊先生の徹底した診療スタイルに注目です!

入口

待合室
☑白を基調とした院内は、落ち着いた雰囲気と清潔感があふれています。

◆クリニックの簡単な沿革を教えてください

泌尿器科を選んだのは、本当に大した理由ではありませんでした。私は外科的な処置ばかりをやり続けたいという意思がそこまで強くなく、それよりも内科的な処置から外科処置まで自分で一気通貫して対応ができるという点に関して魅力を感じていたのは間違い無いと思います。

加えて泌尿器科は担当する臓器が多いんですよね。ひとつの臓器ばかりを診ていくのは私の性格から考えると飽きてしまうだろうなと思いました。泌尿器科の領域の臓器は、本当に手広くカバーしているため、色々な視点から鑑別診断をしていくという診察スタイルは面白いと感じています。

開業当初はコロナ禍にすぐ突入してしまったこともありますが、簡単には患者さんが増えずに大変な思いをしました。しかし、地道に私のコンセプトを貫くように診察を続けているうちに、今となっては、街の「保健室」のような存在になっています。

どう考えても泌尿器科疾患じゃないような症状の方も、フラっと気楽に来てくださいますし、ただちょっと寄っただけというような方もいらっしゃいます笑。どんな目的の方々であっても大切な患者様ですから、来ていただいたのであれば適切な診療科をご紹介する振り分け外来のような役目も果たしています。

1年半という短い期間ですが、皆様からは気軽に足を運んでいただけるような立ち位置になることができたのかなとは思えています。もちろん、まだまだ至らない点も多いですが、私がこの地域で果たすべき役目を果たすだけです。

診察室
☑診察室の中も待合室同様、白基調の落ち着いたデザイン

◆クリニックのコンセプト・強みはズバリなんですか?

クリニックのコンセプトとしては、とにかく丁寧な診察、これに尽きます。患者さんは自分の不調の正体や原因を知りたくて、それが分からないから必要以上に恐怖を感じてしまうこともあるわけです。つまり、そこに対する回答をピンポイントにそして情報過多なくらい詳細に伝えることでしっかりと納得してくださいます。さらに、患者さんは自分だけがこうなのかもしれないという不安を多かれ少なかれお持ちです。同じようにお悩みの方もいらっしゃることや、他の方がどうやって治療と付き合っているのか等の話は、患者さんを安心させることができる大きなポイントだと思っています。

また患者さんとの接し方の面で言えば、特に「人によって態度を変えたりしない」ということを意識しています。お子さんであれご高齢の方であれ、若い方であれ皆さんに一様の態度や言葉遣いをするようにしています。これは私の主観ですが、人によって態度を変える必要がないと思うからです。砕けたニュアンスにするためにあえて敬語を崩す必要はないでしょう、敬語や丁寧語でも十分にその雰囲気を伝えることはできます。

上記のような基本的な事を積み上げて、日々診療を行っています。

診察室

◆過活動膀胱のボツリヌス療法に対応されていらっしゃいますが、反響はどうですか?

そこまでの治療が必要な方がそんなにたくさんいらっしゃるわけではなく、内服薬で症状が治ってしまうことが大半です。しかし、お薬でも治らなかった場合は、この治療の選択肢もあるためより確実な治療という点において差別化が図れています。

特に大きなリスクもあるわけでもないので、クリニックで実施する難易度も高いわけでは無いと思います。泌尿器科医院には他科で症状が治らなかったという方が意を決してたどり着くことも多いですから、多彩な治療方法を持っておくことは重要になるかと思います。

◆開業してから大変だったことはなんですか?

やはり立ち上げた当初が大変でした。私の場合は、落下傘開業で0からのスタートでしたから余計大変でした。特に、メインターゲットであると想定していたご高齢の方へのアプローチが課題でした。

実際に取り組んだ対策としては、折込みチラシ5万部程度を近隣に2回に渡り配布しました。これは如実に効果を実感しました。また、近隣の郵便局封筒に案内を印字して10万部程度を置かせていただきましたが、そこまでの集患効果は無かったように思います。開業時からリスティング広告を出稿していたことで認知度は確実に広まり、リアクションの早い若者たちが順調に増えることで開業5か月ごろには収支の±が0になりました。このような細々した施策が、今思えば結実したのかなと考えています。もちろん、まだまだ試してみたい広告媒体はいくつかありますが、自分が受診する側だったら受診を考えるか冷静に考えるべきでしょう。
最近のこととして、開業時から電柱広告を数本出していましたが、道標にならないような駅からの導線を外れている数本は減らしました。笑

◆院内の人員体制やマネジメントは開業当初は苦労されるとよく聞きますが、いかがでしたか?
事務2人(常勤1人/パート1人)、看護師1人の体制でスタートしました。泌尿器科医院という特殊な環境のせいか、未経験のパート事務員が開業1か月で辞めてしまい、非常に苦労しました。すぐに人員補充も考えましたが、常勤事務員との関係性も微妙にネックになっており、受診患者数が少ないうちはこのままでいこうと決意しました。しかし、業務量が増えるとだんだんスタッフたちの不満は募り、人員補充しても指導することが負担になり、早めに手を打っていく必要があると痛感したことを思い出します。

現状は実務経験者を中心とした少数精鋭のスタッフ雇用の形態を取るしかないため、いかに忙しい中でモチベーションを高く保たせるかが重要だと思っております。当院では学習補助の手当を用意することで、興味を持ったことが学習できるような環境作りを目指し、学会参加や書籍購入などを意識づけるよう尽力しています。院内での勉強会も内容をそのまま実臨床に生かせるため効果的であると考えますし、月に1回はランチ会を実施して意見を交換し、各々の認識の統一も図っております。常に感染に留意しなければならないご時世ではありますが、距離感を保ちつつ仕切りなどを使いながら、コミュニケーションの量を担保するようにしています。

◆クリニックを作るにあたってこだわった点はありますか?

こだわった点としては、やはりトイレですね。自由が丘という土地柄、美容系のクリニックにも負けないスタイリッシュなトイレにしてやろうという意気込み作りこんだので、とても満足した仕上がりになりました。
看板も大変でしたね。これは私のこだわりも強くありましたが、オーナーの感覚に合致するようにサイズやデザインを完成してから作り替えたりもしたので、結果的に費用はとても嵩みましたがオーナーは知らん顔。笑
一番のこだわりはテナントの条件ですね。妻の実家の近くであること、子供たちの将来の教育やマイホームも考えつつ、城南地域で探しておりました。偶々ですが知人の知人から今のテナントの事を聞き、確か大晦日でしたがすぐに現地を見に行きました。自由が丘駅から徒歩3分、1階のテナントで約30坪、以前はオーナーが内科医院をされていた跡地でした。一目惚れしてしまい、すぐに申し込みましたが私の前にすでに4名の申込みがあり面談予定とのことで半ば諦めかけました。しかし、ここで強運が発揮されましたね。オーナーのルーツが同じ東北であったこと、オーナーの珍しい苗字が祖母の旧姓と一致、持参した洋菓子がオーナーの大好物であったこと、後方一気から差し切り勝ちを収めました!
人との繋がりの大切さを切実に感じつつ、数々の数奇な御縁に感謝感謝でした。

トイレ

◆開業前のお悩みや不安だったことはありませんでしたか?

開業資金の融資審査を通すのがとても大変でした。節税対策と保険目的として不動産投資をしていたことがネックとなり、相当シビアな評価で何行も断られました。初期投資を抑えて開始するのも考えましたが、高く飛ぶためにはいったん大きくかがむ必要がありますから、検査設備等は予定通りに準備を進めました。ここでも強運が発動し、なぜか一行だけ通常金利で融資可能の通知を頂き現在に至っております。どうやら面接時の印象を高評価頂けたようでした。
皆様も共通認識だと推察しますが、開業前に最も不安なのはレセプト関係ですね。
勤務医の時には外来診療でコストを取る事の重要性を全く理解できておらず、保険点数の高い手術ばかりに目がいっていました。実際に開業すると手術はほぼありませんから、いかに取りこぼすことなくコストを算定し、血液検査や超音波検査などの手間を惜しまずにやらねばならないか、単価を上げる努力の必要性がよく分かりました。単純に患者数が増えるだけでは望み通りの売り上げには直結しない訳です。
診療時間前後の準備や数多の雑務、人事関係、来客の対応、医師会とのつながり、勤務医時代には経験しなかったストレスも多いですが、頑張った分だけ成果につながるのでやりがいは非常にあります。夜勤が無く、目の上のたんこぶの上司もいない、家族との時間も自分次第で確保できるので、人間らしい生活ができている様にも思えます。
本音を申しますととても大変なのは事実ですが、勤務医時代とは比較にならないくらい楽しく充実した日々を過ごさせて頂いております。

◆最近困ったことはありますか?

これは直近も直近の話ですが、オープニングスタッフだった職員と揉めました。当初から細かく上げると様々な問題が散見されていましたが、その都度に能力や人格を尊重しつつ指摘を繰り返して成長を待つ方針としました。私ひとりが我慢すればいい話であればそれは受け入れる所存でしたが、他の職員にハラスメントを行うようになり最終的には退職勧奨という形をとりました。本人にはハラスメントを行っているという認識は無く、自分は何ひとつ間違っていないと主張を繰り返し、話し合いは平行線のまま一気にお話がこじれてしまいました。不当解雇だという訴えから弁護士に相談した上で労働審判にまで発展してしまったのです。あちらが請求する解決金の金額はどんどん増えていき、働いてもいない期間の分まで請求してきました。結局は裁判所の提案通り、解雇日から解決までの給与6か月分を慰謝料という形式で支払いました。裁判に移行することで更なる金銭と時間の浪費をしてしまうのが惜しかったので受け入れた格好ではあります。解決金の名目によっては経費にならない事や課税対象にもなり得ること、失業者がどんな手当を受給しつつ次の職探しをするか等、今まで考えもしなかった世の中の仕組みを知るいい機会ではありました。多少高くはつきましたが、これも良い経験だと思っています。おかげ様で今後は余程のことでなければ慌てない自信がつきました。

◆今後の先生の展望はどうお考えでしょうか?

今後の私のぼんやりした展望としては、安定してきた本院のノウハウを活かして、分院を広げてもいいかなと考えています。どこのエリアに出したいかというのも実は決まってますよ笑。泌尿器科は東京という首都圏でもまだまだ競合が激化しているわけではなく、しっかりとHPを作って丁寧に診療を行えば、患者さんは選んでくださいます。

とはいえ、現状に甘んじることなくさらなるクリニックの発展に向けて精進していくつもりです。まずはさらに人員を増加させ、より多くの患者さんを受け容れることができる体制に整えていきます。

渡邊先生ありがとうございました!!

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