内視鏡クリニックの適正な人件費率は何%?高収益医院のモデル数値と下げ方

  • 内科(内視鏡)
公開日
更新日
執筆者杉野 仁咲
コラムテーマ経営戦略・ビジネスモデル
SHARE

<この記事のまとめ>

  • ☑高収益な内視鏡クリニックのスタッフ人件費率の目安は20%以内
  • ☑増員するかどうかは「一人当たり売上」で判断
  • ☑人件費率を下げるには「診療効率化」と「マネジメント」の両軸
  • ☑診療効率化のポイントは「削る・整理する・早くする」の3つの視点

 

多くの院長先生から、「人件費が重く利益が残らない」「スタッフから『忙しくて手が回らないから人を増やしてほしい』と言われて困っている」というご相談をいただきます。

しかし、現場の「忙しい」という感覚的な声に押されて安易に増員するのは、非常に危険です。一方で、根拠のないコストカットも、現場の疲弊と離職の連鎖を招くだけに終わります。目指すべきは、数字の裏付けを持った計画的な人件費のコントロールが必要となります

人件費率を適正化するアプローチは、大きく次の2つに分かれます。

  • ①診療効率化:業務そのものを減らし、少ない人数でも回るオペレーションをつくる
  • ②マネジメント:採用・評価・定着の仕組みを整え、スタッフが力を発揮し続けられる組織をつくる

どちらも欠かせませんが、今回は「診療効率化」に焦点を当てて、全国の内視鏡クリニックの実情から見えてきた基準値と、具体的な改善方法をお伝えします。

1. 内視鏡クリニックの適正人件費率は「スタッフ人件費20%以内」

高収益な内視鏡クリニックが目標とするスタッフ人件費率は20%以内です。

まずは直近の決算書や試算表を開き、自院のスタッフ人件費率が20%以内に収まっているかを確認してください。20%を超えている場合は、次章以降の「隠れコスト」と「診療効率化」の観点から見直す余地があります。

2. 人件費は給与だけではない|見落としがちな「採用・教育の隠れコスト」

人件費の話になると、給与明細や基本給ばかりに目が向きがちです。しかし給与は「氷山の一角」にすぎず、水面下には経営を圧迫する見えないコストがあります。

スタッフが離職し、新たに採用・育成する場合、新人が一人前になるまでには数ヶ月かかります。その間、新人はまだ戦力になりきれず、教育を担当するベテランスタッフも指導に時間を取られ、本来の業務に集中できません。

つまり、「医院全体の生産性が一時的に大きく落ちる期間」そのものが、大きな損失になっているのです。人件費率を下げるうえでは、給与を削ることよりも、離職を防ぐことと育成期間を短くすることが重要です。

【専門コンサルタントへ相談する】

3. 人件費率を下げる診療効率化は「削る・整理する・早くする」の3つ

① 削る|AI・DX化と不要な業務の廃止

人が手を動かさなくても回る仕組みを整え、無駄な作業をなくします。

  • 慣習的な業務の廃止:紙書類への押印、患者呼び出し、電話での予約変更受付など、開院当初から続いている業務を一つずつ見直し、やめられるものはやめます。

② 整理する|来院時間の平準化と役割分担

  • 来院時間の平準化:午前中のピークだけを見て「人が足りない」と判断していませんか。午後や検査枠の合間に空き時間があるなら、必要なのは増員ではなく患者の来院時間の平準化です。予約システムで時間あたりの負荷を均一にすることが先決です。
  • 説明業務の仕組み化と分業:下剤の事前説明、検査予約、同意書の案内などは、動画やわかりやすい資料を使えば、スタッフが付きっきりで対応しなくても済みます。そのうえで、有資格者は資格が必要な業務に集中できるよう役割を分けます。

③ 早くする|教育の標準化と評価

  • マニュアルの動画化・AIチャットボット化:業務マニュアルを電子化・チャットボット化し、OJTに頼る割合を下げます。新人が自分で復習できる環境を整えれば、独り立ちまで6ヶ月かかっていた期間を3ヶ月に短縮でき、ベテランの残業も大きく減らせます。

4. 増員の判断基準は「一人当たり売上」

現場から増員を求められたとき、本当に採用すべきかを客観的に判断する指標が「一人当たり売上」です。

一人当たり売上 = 医業収入(売上高)÷ 換算従業員数

※換算従業員数は、人件費水準に合わせて「無資格スタッフ=1」「看護師などの有資格者=2」「医師=8」として計算します。

高収益な内視鏡クリニックには、一人当たり売上の明確な基準値があります。自院の数値がこの基準値を下回っている場合、原因は人手不足ではない可能性が高いです。検査と検査の間のダウンタイム(医師やスコープが稼働していない時間)が長い、院内の動線に無駄が多い、といったオペレーション上の問題が考えられます。

弊社が全国の内視鏡クリニックの実情から算出した「一人当たり売上の基準値」は、無料の個別相談でお伝えしています。自院の数値を計算してみて、「この数字は高いのか低いのか」「増員してよいのか」を判断したい先生は、お気軽にご相談ください。

【専門コンサルタントへ相談する】

まずは自院の数字を把握することから

  • スタッフ人件費率の目安は20%以内
  • 増員判断の指標は一人当たり売上
  • 人件費率の適正化には診療効率化とマネジメントの両方が必要
  • 診療効率化は「削る・整理する・早くする」の3つで進める

スタッフの「忙しい」という声だけで人を増やすと、固定費が膨らみ、元に戻すのが難しくなります。まずは自院のスタッフ人件費率と一人当たり売上を算出し、他院の成功事例と比較してみてください。現状のボトルネックを客観的に把握することが、高収益クリニックへの確実な第一歩です。

人件費・診療効率化のお悩みは、内視鏡クリニック専門のコンサルタントへ

「人件費率が高いが、どこから手をつければよいか分からない」「スタッフの増員要望にどう応えるべきか迷っている」といったお悩みがございましたら、ぜひ弊社にご相談ください。

現在、無料の経営相談も承っております。「何から手をつければいいか分からない」「自院の弱点がどこか、まずは知りたい」という場合は、ぜひお気軽にお声がけください。スタッフが働きやすく、しっかり利益が残るクリニックづくりへの道筋を、共に描いていきましょう。

執筆者 : 杉野 仁咲

医療系大学を卒業後、新卒で船井総合研究所に入社。 大学では看護学を専門とし、看護師資格を取得。 入社後は医療業界のコンサルティングに従事しており、その中でも内視鏡クリニックに対するコンサルティングを専門としている。 クリニック経営者の理念やビジョンを深く理解し、実現に向けて、webマーケティング、効率化、マネジメントを中心に様々なテーマでのコンサルティングに取り組んでいる。