【呼吸器内科の医療経営】地域の期待に応え続けるために!「かかりつけ×専門」を叶える持続可能な集患の考え方

  • 内科(生活習慣病)
公開日
更新日
執筆者山田 海斗
コラムテーマ集患・マーケティング
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はじめに:地域医療と呼吸器専門診療の両立に向けた院長先生の想い

日々、地域の医療現場で患者様と真摯に向き合われている院長先生方の中には、「地域のかかりつけ医として身近な風邪や発熱の患者様を丁寧にお迎えしたい」という想いと、「呼吸器専門医として、喘息やCOPDなどの専門的な検査や吸入指導に十分な時間を確保したい」という想いの間で、日々模索されている方も多くいらっしゃいます。

外来が大変賑わう中で、待合室の混雑や診療時間を考慮しながら対応を進めることは、決して容易ではありません。先生方が高い志を持ち、患者様のために日々尽力されているからこそ、「もっと一人ひとりの専門治療に向き合いたい」という葛藤が生じるのはごく自然なことです。

集患の取り組みにおいても、「外部から患者様をお呼びすること」だけに注目するのではなく、「自院の診療体制とバランスを取りながら、どのようなアプローチで集患の仕組みを整えるか」という視点が大切になります。

本コラムでは、船井総合研究所が医療機関の皆様をサポートする中で培った知見をもとに、呼吸器内科における「持続可能な集患の考え方」と実践のポイントをご紹介いたします。

1. 呼吸器内科が集めるべき患者様とWeb集患の基本構造

効果的な集患アプローチを組み立てるにあたり、まずは自院が目指す診療スタイルに合わせて患者様の層を整理し、Web上での導線を整えることが第一歩となります。

呼吸器内科が目指す2つのアプローチ

呼吸器専門特化経営においては、異なるニーズを持つ2つの患者様層に対し、それぞれ最適な役割を持たせて受診をサポートすることが推奨されます。

  • 呼吸器疾患の患者様(専門治療層):気管支喘息、咳喘息、COPD、肺MAC(非結核性抗酸菌症)など。継続的な治療を通じて生活の質(QOL)を高めることが重要であり、クリニックの持続的な経営基盤を支える存在となります。
  • 発熱・一般感染症の患者様(プライマリ層):風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症など。「かかりつけ機能」として広く地域の受け皿となりつつ、丁寧な問診やスクリーニングを通じて、ご本人も気づいていない「隠れた呼吸器疾患」を見つけ出すきっかけとなります。

Web集患の基本構造

Webを通じた集患施策は、「ホームページの閲覧数向上 × ホームページからの受診決定率(ご予約・ご来院)向上」の組み合わせで成り立っています。

  • 閲覧数を広げるアプローチ:患者様の検索の意図に応じたSEO対策、地域の利便性を伝えるMEO(Googleマップ対策)、必要とする方に情報を届けるリスティング広告やポータルサイトの活用。
  • 受診へ繋げるアプローチ:疾患別ページ(長引く咳や喘息などの専門案内)の充実や、WEB予約・事前WEB問診といった受診手続きのスムーズさを整えること。

2. 段階的に進める「集患の3ステップ」

集患の施策をスムーズに院内へ定着させるためには、現場の状況に合わせて段階的に進めていくことが効果的です。

ステップ①:地域のニーズと自院の立ち位置を把握する

まずは自院の診療圏調査(居住人口や昼間人口などの地域データ)を行い、厚生労働省の『患者調査の概況』などの統計データと照らし合わせることで、地域内にいらっしゃる“想定患者様数”を算出します。

市場のポテンシャルと現在の自院の状況を客観的に見比べることで、「現状の立ち位置」と「今後の伸びしろ」を把握し、無理のない目標を設定することができます。

ステップ②:患者様が「通いやすい」と感じる環境づくりを進める

競合医院の状況を踏まえつつ、自院ならではの強みを明確にしていきます。

ここで大切になるのが、単に「サービスや設備を加える」こと以上に、患者様が受診の際に感じている「小さな不安やストレス(通いづらさ)」を和らげてあげる工夫です。

  • 滞在時間のスムーズ化:診察だけでなく、事前問診、検査、お会計までの流れ全体を見直し、院内での待ち時間・滞在時間を短縮する取り組みを行います。
  • 受診の流れの可視化:「事前にどのような検査や案内があるのか」を受診前にお伝えすることで、患者様が安心して診療を受けられるよう配慮します。
  • 接遇・ご案内の向上:スタッフ全体で温かい対応を心がけ、患者様が安心して何でも相談できる関係性を育みます。

ステップ③:季節の波に合わせた集患計画を立てる

院内のタスクシフトやサポート体制の準備状況を見極めながら、広告の運用やホームページの更新スケジュールを計画します。外来の混雑状況に応じたメリハリのある運用がポイントです。

  • 閑散期(4月〜9月):積極的な情報発信の時期
    • 現場の状況:感染症の流行が落ち着き、診療体制に比較的余裕がある時期です。
    • 取り組み:Web広告や情報発信に注力します。「長引く咳」などでお悩みの新規の患者様へ広くアプローチを行い、早期の専門治療へと繋げることで、年間を通じた診療の質と経営の安定化を目指します。
  • 繁忙期(10月〜3月):院内スクリーニングを中心とする時期
    • 現場の状況:季節性の喘息や感染症が重なり、外来が非常に混雑しやすい時期です。
    • 取り組み:外部に向けた広告は控えめに調整し、来院された発熱・一般患者様への「内部スクリーニング」に注力します。問診や事前のやり取りを通じて、呼吸器疾患の可能性を丁寧に見つけ出します。

3. チームで支える「呼吸器専門特化経営」の4つの軸

集患を成果へと繋げ、院長先生の負担を和らげるためには、以下の「4つの軸」を意識した仕組みづくりが役立ちます。

【集患】Webマーケティングを活用し、
診療体制に合わせて新患様をお迎えする

【効率を上げる】タスクシフトやマニュアル化を通じて、
医師が専門診療に集中できる時間を作る

【比率を上げる】丁寧な問診やスクリーニングにより、
一般症状の中から専門疾患を見つけ出す

【継続率を上げる】患者様への丁寧なご案内と予約管理により、
安心して治療を続けていただく

  1. 集患:Webマーケティング(SEO/MEO/広告など)をバランスよく活用し、状況に応じて新患様をお迎えする。
  2. 効率を上げる:院長先生お一人がすべてを担う形から、スタッフへのタスクシフトやマニュアル化を進め、医師がより多くの専門患者様に向き合える「空き容量(キャパシティ)」を作り出す。
  3. 比率を上げる:事前問診や客観的な検査データ(呼気NO検査など)を活用し、発熱や風邪の患者様の中から潜在的な呼吸器疾患を適切に見つけ出し、専門治療のご提案へと繋げる。
  4. 継続率を上げる:見つかった専門疾患の患者様に対して、吸入指導などの丁寧な患者教育や予約管理を行い、継続して受診していただける環境を整える。

まとめ:患者様と医療従事者の双方にとって心地よい経営を目指して

呼吸器内科クリニックにおける集患とは、単なる外部向けのアピールにとどまりません。

  • 地域のニーズに応える「現状把握」
  • 通いやすさを高める「受診時の負担軽減」
  • 季節に応じた「メリハリのある運用」
  • チーム全体で診療を支える「タスクシフトとスクリーニング」

これらを総合的に整え、マーケティングと院内オペレーションを調和させることが、患者様にとってもクリニックにとっても理想的な集患のあり方です。

「親しみやすい地域のかかりつけ機能」と「質の高い呼吸器専門診療」の両立は、チームでの仕組みづくりによって十分に達成可能です。先生方の目指す診療スタイルと地域の期待に寄り添いながら、持続可能なクリニック運営を進めていきましょう。

執筆者 : 山田 海斗

大学を卒業後、船井総合研究所に新卒として入社。入社後は、医療業界のコンサルティングに従事し、主に呼吸器内科と消化器内科クリニックを専門としている。院長先生に心から『あなたがいてよかった』と思っていただくことを第一に、『即時業績アップ』という短期的な成果と、クリニックを核とした『地方創生』という長期的なビジョンの両方を、先生に深く寄り添い、伴走することで実現している。