呼吸器内科において、気管支喘息の患者様がアレルギー性鼻炎を合併しているケースは非常に多く、「One airway, one disease」の観点からも、鼻炎のコントロールは喘息治療において非常に重要です。
近年、根本的な体質改善が期待できるとして「舌下免疫療法(SLIT:シダキュア、ミティキュア等)」のニーズが高まっています。しかし、先生のクリニックでは適切に「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料」を算定できていますか?
「患者様の希望に合わせて薬を処方しているが、再診料(外来診療料)しか取れていない」
もしそのような状況であれば、日々の診療で行っている指導や管理に対する正当な評価(収益)を、まるごと取りこぼしてしまっている状態と言えます。
「処方だけ」だと失ってしまう初月280点のインパクト
舌下免疫療法は数年にわたる継続的な治療が必要ですが、治療期間中、要件を満たした指導と管理を行うことで「アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料」を算定できます。
点数は「初月:280点(管理料1)」「2ヶ月目以降:25点(管理料2)」となっています。
ただ処方箋を出すだけの運用では、この初月280点、および数年にわたる継続管理に対する正当な評価を取りこぼすことになります。日々の診療の中で、本来評価されるべき指導・管理をしっかりと算定に結びつけることが、クリニックの安定した基盤づくりに直結します。
離脱した患者様が戻ってきたら?「初月280点」の再算定ルール
舌下免疫療法でよくあるのが、「数ヶ月通院が途絶え、次の花粉シーズンにまた来院した」という自己中断のケースです。
この場合、「そもそも管理料が取れると知らなかった(処方箋しか出していなかった)」という先生はもちろん、「以前算定していたけれど、期間が空いたからもう初月の高い点数は取れないだろう」と思い込んでいる先生も多いのではないでしょうか?
実は、製薬会社の添付文書や適正使用ガイドラインにおいて、長期間の休薬後は安全性を考慮して再び「初期用量」から治療をやり直すことが推奨されています。
そのため、医学的な「新たな治療開始」として、レセプトの摘要欄に「自己中断により〇ヶ月空いたため、安全性を考慮し初期用量から再導入」としっかり記載することで、再び「初月(280点)」としてリセットして管理料の算定を開始できる可能性があります。
(※ただし、審査機関の都道府県ごとのローカルルールによっては見解が分かれる場合もあるため、地域の実情に合わせた丁寧なレセプト対策が求められます。)
季節に応じた治療戦略:春の「急性期治療」からオフシーズンの「SLIT導入」へ
スギ花粉の飛散時期(1月〜5月頃)はアナフィラキシー等のリスクがあるため、原則としてシダキュアの新規導入はできません。そこで、成功しているクリニックは以下のような「季節ごとの算定フロー」を組んでいます。
春(ピーク時):即効性のある治療と検査
重症の患者様にはゾレア(抗IgE抗体製剤)等を用いて即効性のある治療を提供します。
花粉症オフシーズン(6月以降):根本治療への移行と管理料算定
ピーク時に集患した患者に向け「来年に向けて、今の時期から根本治療(舌下免疫療法)を始めましょう」と呼びかけ、春の検査結果をもとにSLITへ移行します。
【主な算定項目】
- アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料1(初月280点)
- アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料2(2ヶ月目以降25点)
これが、繁忙期の混乱を避けつつ、年間を通じてクリニックの収益を安定させる計画的なオペレーションです。

院長の手を止めない「タスクシフト」で算定の壁を突破する
初月280点の管理料を確実に算定し、かつ患者数を増やしていくための最大の鍵は、「院長がすべてを抱え込まない仕組み(タスクシフト)」にあります。
初回導入時の長い説明や、投与後30分間の院内待機時のアナフィラキシー観察など、すべてを院長が担っていては外来が回りません。事前説明は動画やタブレットを活用し、同意書の取得や副作用の確認はスタッフへタスクシフトする。これにより、外来のスピードを落とさずに単価を上げることが可能です。
本コラムでは、あえて「具体的なカルテ記載の要件や、待合室を圧迫しない30分待機の動線づくりのコツ」は記載していません。クリニックごとにスタッフの習熟度や間取りが異なるため、ネット上の情報をそのまま真似しても機能しないからです。
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