外来から高度な日帰り手術まで排尿の悩みに寄り添う、いわむらクリニック泌尿器科・内科の「決意」

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執筆者内科・医療支援部
コラムテーマ取材レポート
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青森県弘前市で2024年11月に開院した「いわむらクリニック泌尿器科・内科」。開院から約1年9ヶ月が経過した現在、すでに1日平均60〜70名の患者さんが来院し、地域での確固たる信頼を築きつつあります。

排尿機能学会専門医の資格も持つ院長の岩村先生は、勤務医時代に抱いた「大きな病院では多忙さから見過ごされがちな排尿の悩みに、真摯に向き合いたい」という熱い想いを原点に開業を決意しました。

クリニックという身近な場所でこの理想を叶えるため、患者さんが言葉にしづらい本音を丁寧に引き出す問診を実施し、地域に先駆けて「日帰り手術」という新たな選択肢を提供してきました。しかし、激変する社会の中でこうした質の高い医療を地域に届け続けるためには、クリニック自体が絶えず進化していかなければなりません。「現状維持だと潰れる」という岩村先生のお考えをいかにスタッフ全員で共通認識にしてきたのか。この地で「ずっと長く信頼され続ける」ために描く、同院ならではの決意の全貌に迫ります。

取材協力:
いわむらクリニック泌尿器科・内科
岩村 大径 氏

1. 大病院で見過ごされがちな「排尿障害」を救う――自身の理想的な医療を追求するための決断

岩村先生が泌尿器科医としてのキャリアをスタートさせたのは約15年前のことでした。当時最先端のロボット支援手術(ダヴィンチ)がちょうど国内に導入される変革期であり、先端医療への強い好奇心を刺激されたことがきっかけです。

勤務医としてキャリアを積み、あらゆる専門手術を自ら完結できる確かな技術を身につけたのち、前任の病院で部長に就任。そこで自身の理想とする医療を追求した結果、売上を4倍に増やすという劇的な実績を上げ、これが「自分の理想とする医療を地域に直接届けたい」という開業への確かな自信となりました。

開業を決意した最大の原動力は、自身の専門である「排尿障害」に対する強い情熱と問題意識です。

「大病院の外来は、がんの治療や大規模な手術の管理で極めて多忙です。そのため、排尿障害の患者さんに対して『お薬を出して様子を見ましょう』と漫然と対応せざるを得ない現状がありました。しかし、じっくり耳を傾けて適切に診察すれば、排尿の悩みを緩和することができる。大病院の忙しさの中で見過ごされてしまうその現状にモヤモヤしていました。」

患者さんにとって最も身近な存在であるクリニックという場所でこそ、一人ひとりの悩みに真摯に向き合い、適切な医療を提供したい。その信念を貫くため、生まれ育った弘前の地で開業するという決断をしました。

2. 「お変わりないですか」は禁句――患者さんの本音を引き出す工夫

診察室での実際の対話において、岩村先生は極めて重要なこだわりを持っています。それは、診察の第一声で「その後、お変わりないですか?」という問いかけをしないことです。

「がん治療においては『変わりがないこと』は最善ですが、排尿障害においては、お悩みを口にしづらい患者さんがいます。だからこそ、私は診察時に必ず、『困っている症状はありませんか?』と主体的に問いかけ、内に秘めた言い出しづらい『困りごと』を引き出すコミュニケーションを徹底しています」

また、患者さんの主観的な言葉に頼るだけでなく、客観的なデータに基づいて病態を把握する検査体制も重視しています。

同院では、排尿の勢いや量をリアルタイムに測定して視覚化する「尿流測定検査」や、超音波で膀胱内の残り尿の量を調べる「残尿測定」を診療プロセスに標準化して取り入れています。「眼科や耳鼻咽喉科が検査を必ず行うように、泌尿器科でも適切な客観的データは不可欠である」という信念のもと、丁寧な問診と精度の高い検査を組み合わせることで、患者さん一人ひとりが納得できる質の高い診療を実現しています。

3. 「無理強いはしない」が決定率8割――患者さんを主役に据えた、地域初の治療選択肢

岩村先生のクリニックが地域で圧倒的に選ばれ、差別化されている最大の武器が、前立腺肥大症に対する経尿道的水蒸気治療(Rezum:レジューム)、難治性過活動膀胱に対するボトックス膀胱壁内注入療法、という「日帰り手術」です。

「以前勤務していた施設で導入した際、多くの患者さんから手術を受けたいというお声をいただき、強い手応えを得ていました。この先進的な治療を、より受診しやすいクリニックという身近な環境で提供できれば、さらに多くの悩める患者さんを救うことができるはずだという確信がありました」

この言葉の裏には、岩村先生が開業前の病院勤務時代に最前線で培った多数の臨床経験と、現場で体感した確かなニーズへの気づきがあります。そうした入念な臨床準備と確かなニーズの把握があったからこそ、当時弘前の地で、自信を持って先行導入へと踏み切ることができたのです。

現在、同院の排尿に関する日帰り手術件数は月5〜6件(年間50〜60件)にのぼり、地域の中核病院をも上回る高い実績を上げています。

これほどの手術実績を支えているのは、患者さんのQOL(生活の質)を最優先にする「無理強いをしない」アプローチです。

排尿障害は命に関わる疾患ではなく、日常生活の快適さに関わる「QOL疾患」です。そのため、たとえ検査で手術適応に該当する患者さんであっても、ご本人が日々の症状にそこまで困っていなければ、無理に手術を勧めることは多くありません。まずは薬の処方を勧めて、経過を丁寧に見守ります。

薬による経過を見ながら、「もしもっと改善を目指したい、もっと楽になりたいと思われるのであれば、こうした日帰り手術の選択肢もありますよ」と、あくまで選択肢の一つとして提示し、患者さん自身が日々の症状をどのように受け止めているか、その「症状に対する捉え方の変化」に応じて、手術の決断を待ちます。この患者さんの実感と意思に徹底して寄り添う姿勢により、最終的に約8割という高い治療決定率を記録しています。

さらに、お薬や手術以外の新たな治療の選択肢として、椅子に座ったまま、MRIと同じ原理の磁器エネルギーで強力に骨盤底筋を刺激し、尿失禁(尿もれ)を改善する最新機器「フェミゾンDR」を導入しました。

「これは保険診療や薬物療法だけでは解決しきれない尿失禁に対して、患者さんに選択肢を提供するためのひとつの手段です。」

この言葉からは、一人ひとりの排尿の悩みに寄り添う医師としての想いと、開業時の熱意が現れています。

4. 新しいことに挑戦し続ける姿勢と、変化を恐れないフラットな組織づくり――開院以来「退職者ゼロ」を維持するチームの在り方

泌尿器科ならではの、排尿・残尿測定といった手間のかかる多段階の検査プロセスを回しながら、1日60〜70名もの多くの外来患者さんを、診療の質を一切落とさずに診ることは容易ではありません。この課題をクリアしているのが、看護師3名、事務2名、検査スタッフ1名の計6名のチーム力です。

また、開院から約1年9ヶ月が経過する現在まで、退職したスタッフは一人もいません。この強固な組織づくりは、採用段階における明確なポリシーから始まっています。岩村先生は求人票の募集文に「新しいことに積極的に取り組み、スタッフ同士仲良くする人」と掲げ、自身の経営理念に共感した優秀な人材だけを厳選して採用しました。

「これからの時代、現状維持のまま変わらないでいると組織は潰れてしまいます。この共通認識を日頃からスタッフ全員と共有しています」

この認識が全員に深く共有されているため、新しい治療やシステムを導入する際にも反発や不満の声は一切出ず、前向きな組織風土が根づいています。

5. 「排尿の悩みならあそこ」と言われる安心のブランドへ――

理想とするクリニックの姿について、先生は次のように語ります。「排尿障害に関しては、あそこのクリニックに行けば安心できる。手術を希望する人も、そうでない人も、あそこに行けば大丈夫と思ってもらえる存在になりたい。そのために、医療情報を常にアップデートし、患者様に新しい治療の選択肢を提供し続ける努力を少しずつでも重ねていく姿勢を大切にしています」

さらに今後の医療環境について、次のように見解を示しています。「2010〜2011年頃のロボット手術導入期に入局した世代が、現在キャリア15年ほどを迎えており、今後はこうした医師たちによる開業が予想されます。競合が激化するこれからの環境下では、自分の『武器』を明確に確立しておくことが不可欠です。」排尿の悩みに苦しむすべての人々に「安心」を届けるため、岩村先生とスタッフたちの挑戦はこれからも続いていきます。

執筆者 : 内科・医療支援部

全国の医療機関における成功事例を武器に、業績向上と強固な組織づくりを支援するコンサルタント集団です。集患対策・自費診療の活性化から、専門職の採用・定着まで、現場の課題を即座に解決。院長先生に寄り添い、地域一番の実績づくりを徹底サポートします。