「Googleマップの評価が下がり、新患への影響が気になっている」
「悪い口コミに返信したいが、どこまで説明してよいかわからない」
皮膚科の口コミ対応では、こうした悩みが生じます。診療に力を尽くしていても、待ち時間や受付でのやり取り等で低評価口コミを書かれ、その対応に頭を悩ませている院長先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
受診先を探す患者様にとって、口コミは院内の雰囲気や対応を知る手がかりです。ホームページで診療内容を確認した後、Googleマップの評価や投稿内容を見て、予約するかどうかを判断する方もいます。
ただし、医療機関が口コミを扱う際には、医療広告規制、景品表示法のステマ規制、個人情報の保護に加え、Googleの投稿ルールにも配慮が必要です。
この記事では、皮膚科の院長先生や集患担当の方に向けて、口コミ対策で押さえたいルール、投稿の案内方法、低評価への返信例、院内改善への活かし方を解説します。
1.皮膚科の集患に口コミが関わる理由
口コミは、診療内容だけではわからない情報を補う
「地域名+皮膚科」で検索すると、複数のクリニックが候補に挙がります。診療時間やアクセスを確認したうえで、患者様が知りたいのは「話を聞いてもらえそうか」「子どもを連れて行きやすいか」「どのくらい待つのか」といった、実際の通いやすさです。
口コミには、こうした受診時の印象が書かれています。星の数に加えて、投稿内容やクリニックからの返信も、受診先を比較する材料になります。
保険診療の皮膚科では、待ち時間や説明のわかりやすさ、美容皮膚科では、カウンセリングの対応や費用の説明などが気になる方もいます。自院に寄せられた口コミを読むと、患者様がどのような点を重視しているかが見えてきます。
口コミ対策はMEO対策にも関係する
MEO対策とは、Googleマップなどの地図検索で、自院を見つけてもらいやすくするための取り組みです。
Googleは、地域の検索結果を主に「関連性」「距離」「知名度」に基づいて表示し、口コミの数や評価も順位に関わると説明しています。ただし、検索順位には複数の要素が関係するため、口コミへの返信だけで上位表示を約束することはできません。
口コミへの対応とあわせて、診療時間、休診日、所在地、予約先などの基本情報も確認しましょう。検索で見つけてもらえても、情報が古かったり予約方法がわかりにくかったりすると、受診につながりにくくなります。
2.皮膚科の口コミ対策で押さえたい法規制とGoogleのルール
医療広告規制|治療の体験談を自院の広告に転載しない
医療広告規制では、患者様の主観や伝聞に基づく、治療内容・効果に関する体験談の広告が禁止されています。
たとえば、「この治療でシミがきれいに消えた」という口コミを、自院のホームページやSNSに「患者様の声」として転載することは避けなければなりません。患者様が自発的に投稿した口コミでも、医療機関が広告に利用する際には規制の対象になります。
また、厚生労働省の「医療広告等ガイドラインに関するQ&A」では、クリニック側から「治療を受けてよかった、という口コミを書いてください」と頼むと、その投稿は患者様を集めるための広告として扱われると説明されています。
患者様が自分の意思で感想を書くことと、医院が宣伝のために好意的な感想を頼むことは、区別して考える必要があります。
ステマ規制|医院が関与した宣伝を、第三者の感想に見せない
2023年10月から、広告であることを消費者が判別しにくい表示が、景品表示法の規制対象となりました。
口コミでは、医院が投稿内容の決定に関与したかどうかが判断のポイントです。たとえば、高評価や推奨コメントを条件に投稿を依頼し、その関与を隠して患者様の自主的な感想に見せると、ステマ規制に抵触するおそれがあります。
スタッフや業者に患者様を装った口コミを投稿させる運用は避けてください。外部業者に口コミ対策を依頼する場合も、実際にどのような方法で投稿を集めるのか確認が必要です。
Googleのルール|特典付きの投稿依頼や高評価の選別は禁止
Googleは、口コミの投稿と引き換えに割引や無料サービスなどを提供する行為を禁止しています。これは、投稿内容を指定しない場合も同じです。
その場での投稿の強要、特定の内容を入れるよう求めること、スタッフへの口コミ獲得件数のノルマ設定も、Googleのルールに反します。
投稿を案内する場合は、院内掲示などを通じて広く知らせ、書くかどうか、どのような感想を書くかを患者様に委ねてください。
3.口コミの改善につながる、皮膚科の院内対応
待ち時間は、長さに加えて「見通し」を伝える
待ち時間への不満を減らすには、診療の効率化とともに、患者様への案内を見直すことも大切です。
順番待ちの状況がわからないままでは、患者様は外出してよいか、次の予定に間に合うかを判断できません。次のような対応を検討しましょう。
- 順番待ちの状況をWebや院内モニターで確認できるようにする
- 院外で待つ場合の戻り方や呼び出し方法を案内する
- 予約時間が来院時刻の目安なのか、診察開始時刻なのかを明記する
- 遅れが大きくなった際は、受付から状況を伝える
所要時間を正確に見積もれない場合は、無理に「あと10分です」と約束せず、現在の混雑状況や確認できる範囲を伝えます。
診察後に「何をすればよいか」が伝わっているかを確認する
診療側では説明したつもりでも、患者様が十分に理解できていないことがあります。
特に、薬の使い方、治療を続ける期間、次回受診の目安が曖昧だと、「薬を出されただけ」という印象につながりかねません。
よくある疾患について説明シートを用意し、医師の指示に沿ってスタッフが補足できるようにしておくと、説明を揃えやすくなります。説明の最後に「ご自宅での使い方について、わかりにくいところはありませんか」と確認する時間も設けましょう。
美容皮膚科では、施術前に支払総額を共有する
美容皮膚科の料金説明では、施術料金に含まれるものと、別途かかる費用を明確にします。
初診料、麻酔代、薬代、施術後のケア用品などが必要な場合は、契約・施術の前に総額を提示してください。複数回の施術を提案する場合は、1回あたりの料金と、提案する回数での合計額を分けて示すと伝わりやすくなります。
カウンセリング時の見積もりと会計時の金額に差が出る場合は、追加する前に説明し、患者様の了承を得る運用にしましょう。
受付対応は、対応できない場合の伝え方まで揃える
受付対応の見直しでは、挨拶や言葉づかいに加え、患者様の希望に添えない場面も確認します。
たとえば、当日の予約が埋まっている場合、受付時間を過ぎている場合、希望する施術を当日受けられない場合などです。「できません」と伝えるだけでは、患者様に理由が伝わりません。
院内の方針に沿って、理由、確認先、案内できる選択肢を整理しておきましょう。症状の緊急性に関わる相談は、受付だけで判断せず、医師や看護師に確認する流れを決めておきます。
4.患者様に口コミ投稿を案内する方法
投稿ページを見つけやすくする
口コミを書こうと思っても、投稿ページが見つからず、そのままになってしまうことがあります。受付や会計付近にQRコードを掲示するなど、希望する方がアクセスしやすい環境を整えましょう。
案内文は、次のように簡潔にします。
「よろしければ、当院についての率直なご感想をお寄せください。」
「星5をお願いします」「治療の効果を書いてください」といった依頼は避けます。また、投稿した画面をスタッフに見せてもらう運用も、患者様への圧力になりやすいため控えましょう。
院内掲示の工夫(ポスターや卓上POPの活用)
院内掲示では、待ち時間などに患者様が落ち着いて見られる場所へ設置することが効果的です。下記の設置場所がおすすめです。
- 待合室のテーブル・雑誌ラック横:待ち時間中に自然と目に入りやすい位置です。
- 中待合室の壁面・卓上:小型POPやミニポスターの設置に適しています。
- お手洗いや洗面スペース:鏡の横などにカード型POPを設置するのが有効です。
掲示の際は派手な装飾を避け、清潔感のあるデザインを意識しましょう。「QRコードから簡単にアクセスできます」と添えると、手軽に投稿できることが伝わりやすくなります。
アンケート回答後に口コミ投稿を案内する
院内アンケートやWebアンケートにご協力いただいた後、感謝のメッセージとともに口コミ投稿のご案内を添える方法も有効です。アンケートでいただいた貴重なご意見は院内改善に活かしつつ、投稿ページへのリンクやQRコードを提示することで、スムーズに感想をお寄せいただけます。
5.皮膚科の悪い口コミへの返信方法と例文
返信前に、内容と対応方針を確認する
低評価の口コミが寄せられたら、すぐに返信せず、まずは院内で当時の状況を確認しましょう。待ち時間や説明、受付対応への指摘であれば、改善できる点を話し合い、医院としての対応をまとめてから返信します。返信には、患者様の受診歴や診療内容などの個人情報を書かないよう注意してください。
脅迫や個人情報の書き込みがある場合は、投稿画面のスクリーンショットやURLを保存し、Googleへ報告します。
返信をスタッフに任せる場合も、投稿前に院長や責任者が内容を確認する流れを決めておくと、担当者が一人で判断せずに対応できます。
受診歴や診療内容を公開しない
病状や処方内容に加え、医療機関を受診した事実も、要配慮個人情報に該当します。口コミへの返信では、医師の守秘義務と個人情報の保護を踏まえ、個別の受診歴や診療経過を明かさない運用が必要です。
たとえば、次のような返信は避けます。
- 「先月、ニキビの治療で受診された際に説明しています」
- 「処方した薬を指示どおり使っていなかったためです」
- 「予約時間に遅れて来院されたので、お待ちいただきました」
患者様が投稿内で診療内容に触れていても、それを医療機関が詳しく説明してよいという同意とは扱わないでください。必要な確認は、本人確認ができる個別の窓口で行います。
返信は、意見への受け止めと具体的な対応を簡潔に伝える
返信には、次の3つを盛り込みます。
- ご意見を寄せていただいたことへのお礼
- ご指摘の内容や確認できた状況に応じたお詫び
- 院内で確認・改善することの説明
まずは、ご意見へのお礼を伝え、患者様が感じた不満や不安を受け止めます。事実関係を確認できていない場合は、投稿に書かれた経緯を断定せず、指摘を受けて院内で確認することを伝えましょう。
医院側の不備が確認できた場合は、個人情報や診療内容を明かさない範囲で、その不備についてお詫びします。たとえば、案内が不足していた場合は「ご案内が行き届かず、申し訳ございません」と伝えると、何に対する謝罪かが明確になります。
改善策には、実際に取り組んでいることや、実施を決めたことを記載してください。対応が決まっていない段階では、「案内方法を院内で確認します」など、これから行うことを具体的に伝えましょう。
待ち時間に関する口コミへの返信例
「ご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。長い待ち時間でご負担をおかけし、申し訳ございません。待ち時間を短縮できるよう、受付から診察までの流れを見直してまいります。また、混雑時には待ち状況をお伝えするなど、ご案内の改善にも努めてまいります。」
実際に運用を変更した場合は、「順番待ちの確認方法を受付に掲示しました」など、具体的に伝えてもよいでしょう。
受付対応に関する口コミへの返信例
「ご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。受付での対応により、ご不快な思いをおかけし、申し訳ございません。いただいたご意見をスタッフ間で共有し、言葉づかいやご案内の方法を見直してまいります。」
6.悪質な口コミは削除を依頼できる?
Googleのポリシーに違反する投稿は報告する
Googleでは、ポリシーに違反する口コミについて、報告して削除を求めることができます。スパム、なりすまし、脅迫、無断での個人情報の掲載などが該当し得ます。
ただし、「星1だから」「医院の認識と違うから」という理由だけで削除されるわけではありません。Googleも、事業者と投稿者の意見の対立を裁定するものではないと説明しています。
報告する際は、投稿内容を保存し、どのルールに違反すると考えるのかを整理してください。
7.口コミを院内改善と集患に活かす方法
月に一度、同じ指摘が繰り返されていないかを確認する
口コミを確認する際は、星の平均点とともに、書かれている内容も整理します。
- 待ち時間・予約
- 医師の説明
- 受付やスタッフの対応
- 料金・会計
- 院内環境・設備
たとえば、待ち時間に関する投稿が続いているなら、実際の待ち時間と案内方法の両方を確認します。「説明がわからなかった」という意見が重なるなら、説明資料や診察後の補足を見直すきっかけになります。
口コミは投稿した方の意見であり、患者様全体の評価と同じではありません。院内アンケートや受付で寄せられる声、実際の待ち時間などと照らし合わせて判断しましょう。
好意的な口コミは、評価された行動をスタッフと共有する
「受付で声をかけてもらえて安心した」「説明がわかりやすかった」といった意見があれば、何が評価されたのかを院内で共有します。
担当者の工夫を振り返り、ほかのスタッフも取り入れられる形にすると、対応の質を揃えやすくなります。
ホームページで自院の取り組みを紹介する場合は、口コミの転載ではなく、「診察後に説明資料をお渡ししています」など、実際に行っている内容を事実に基づいて記載しましょう。
集患への影響は、新患数や予約状況とあわせて見る
口コミの評価と新患数が同時に下がっていても、原因を口コミだけに絞らず、ほかの変化も確認します。
診療日数、季節による受診動向、予約の取りやすさ、近隣の開院状況なども、新患数に関わります。Googleビジネスプロフィールの閲覧やWebサイトへのアクセス、予約数、新患数をあわせて見ることで、どこを改善すべきか検討しやすくなります。
まとめ:皮膚科の口コミ対策は、患者様の声を院内の改善につなげることから
口コミ対策を始める際は、まず最近の投稿を読み、同じ指摘が続いている項目を一つ選んでみてください。待ち時間の案内、診察後の説明、料金の提示方法など、日々の運営で見直せることが見つかるはずです。
投稿の案内は、評価や内容を誘導せず、患者様の意思を尊重して行います。返信では個人情報を守り、医院として確認することや改善することを簡潔に伝えましょう。
院内での対応を整えながら、Googleビジネスプロフィールや予約までの案内も見直すことで、初めて受診する患者様が自院を選びやすくなります。
「口コミで指摘される原因を整理したい」「受付対応やカウンセリングを改善したい」「MEO対策を含めて集患を見直したい」とお考えの院長先生は、船井総合研究所の無料経営相談をご利用ください。貴院の診療体制や集患状況を伺い、優先して取り組む施策をご提案します。


