【呼吸器内科クリニック向け】経営安定化のポイント

2019年09月23日 (月)

科目:
内科
コラムテーマ:
内科

■呼吸器内科クリニックを取り巻く外部環境

内科系のクリニック経営を考えた時、一昔前までは人口が多いエリアに開業し、そこにクリニックが存在することを広報することで一定の患者が来院をしてくれたため、安定した経営を行うことができました。

しかし日本の人口が平成20年にピークを迎えて平成22年以降は減少を続けている一方で、平成23年に7,336件であった呼吸器内科を標榜している診療所数は平成29年に7,813件となっており、近年も増加傾向が続いているのが現状です(厚生労働省『医療施設調査』)。

このように全国的に見ると、足元の診療圏内の人口が減少している中で競合医院が増加し続けているという状況であり、呼吸器内科を取り巻く環境は従来と比べて大きく変化してきていることがお分かりいただけるかと思います。

集患いわゆるライフサイクルで言うところの「成長期」から「成熟期」に移行しつつある呼吸器内科領域では、今後足元診療圏内の人口減少に伴って患者さんが集まらずに経営が厳しくなるクリニックと、外部環境に大きく左右されずに安定して患者さんを獲得できるクリニックとに分かれていくことが想定されます。

 

 

■患者さんが、自院を「選んでくれる」ということ

このようにクリニック間での競争が激化していく中、長期的に患者さんを安定的に獲得していくためには、従来よりも「比較検討の結果、他院よりも自院を選んでもらうこと」が重要になります。患者さんがかかるべき医療機関を選定する際に最も重視するポイントは「立地」ということになりますが、患者さんにとっての悩みが深ければ深いほど、その通える「立地」の選択権は広がり、その中から最も「専門的に」診てもらえそうな医療機関を選ぶことになります。

これをクリニックの立場からみると、「専門的な治療」が提供できていればいるほど、通っていただける患者さんの診療圏は広がり、足元の人口減少の影響を受けづらくなるということが言えます。

 

逆に言うと、患者さんにとって「専門性」を認識してもらえなければ、あえて遠方の方が先生のクリニックを選んで来院してくれることはありません。

口コミによる拡散なども大切ではありますが、これからの時代はそういった受動的な対策だけでなく、クリニック側からの能動的な「専門性」の情報発信が非常に大きな差別化要因になります。

 

■専門性の情報発信は「ホームページ」が効果的

それでは患者さんに先生の「専門性」を受け取ってもらうためには、どのような対策をすればよいでしょうか。結論を言うと、それはホームページ情報の充実です。

2017年の総務省のデータによりますと、今やインターネットの利用者数は60代でも約74%、70代でも約半数となっています。同じく2008年時には60代で約半数、70代では約28%でした。これは患者さんの行動をベースに考えると、受診すべきクリニックを探すときにはインターネットを用いて探す機会が非常に多くなっていることを示唆しています。

多くの呼吸器内科クリニックのホームページでは「診療内容」というページがあり、その中で対応できる疾患名が一覧で記載されているケースをよく見かけます。しかしこれでは患者さんからすると、どの程度それらの疾患を専門的に診てくれるのかが明確に分かりません。

対してしっかりと情報発信ができているクリニックでは、疾患毎に独立した単独のページが存在し、病気の説明や検査・治療方法、療養時の注意点などが網羅して記載されています。「専門的なクリニック」を探している患者さんにとって、どちらが選択されやすいかは明確でしょう。

 

 

呼吸器内科領域での疾患別の患者数をみると、下記の通りとなっています。

疾患名

推定患者数(単位:千人/月間)

喘息

127.6

急性気管支炎

100.8

慢性気管支炎

15.8

慢性閉塞性肺疾患

13.3

肺炎

8.2

肺気腫

6.3

気管支拡張症

1.6

気胸

0.7

※厚生労働省 平成26年患者調査より作成

 

例えば喘息は呼吸器内科領域の中でも最も患者数が多いですが、小児の罹患率が高く小児科とも競合をする疾患です。先生が小児の喘息も診ることができるのであれば、ここで「喘息を呼吸器内科で治療すべき理由」「呼吸器内科だからこそ提供できる治療」などについてホームページで情報発信することで、子供の最適な受診先を探している親に対してアプローチができ、自院を選択して来院してもらうきっかけの一つとなります。

 

また日本人の死亡原因の9位である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の潜在患者数は530万人と推定され(NICE study)ていますが、実際に外来通院している患者数は上記の通り1万3千人ほどと、大多数が未受診、未治療の状態であることが分かります。

これも労作時呼吸困難や慢性の咳など、潜在的な患者さんが困っているだろう症状についてホームページで情報発信することで、治療にたどり着いていない層への受診啓蒙が期待できます。

 

このような情報発信は、従来までの看板広告や地域広報誌の広告などでは難しいでしょう。しかし物理的なスペースに限りがなく、非常に柔軟性の高い「ホームページ」という媒体では、先生が伝えたい情報、患者さんが知りたい情報を、網羅的に掲載することが可能なのです。

 

 

■ホームページを用いた情報発信の発展形

ここまでは、「呼吸器内科」という強みを持つクリニックでは最低限取り組んでいただきたい内容です。しかし弊社のクライアント先では、更に特定の専門性を持たれた先生が集患を強化する場合、上記の内容に加えた手法を用います。

例えば『睡眠時無呼吸症候群』の治療を強化している弊社のクライアント先では、クリニックのホームページとは別に睡眠時無呼吸症候群に特化したホームページを作成しています。多くのぺージ数を用いることにより、疾患についての解説や合併症のリスクだけでなく、いびきや起床時の頭痛といった患者が感じる症状や悩みなどを網羅して情報発信することができます。患者さんご自身が睡眠時無呼吸症候群であることに気付いていない層への啓蒙に一段と役立つ、「特に専門領域である」ことを明確に伝えることができ、ホームページを見られた方の来院率が向上するなどのメリットがあります。

 

イメージ画像またホームページ自体に広告をかける、「リスティング広告」という手段を使うこともあります。検索連動型広告とも呼ばれ、インターネットの使用ユーザーが「どのようなキーワードで検索した時に」「どのような広告を掲載するか」をあらかじめ設定することができる広告です。つまり従来広告と異なり、明確に疾患名や症状などで検索をする「狙いたい患者像」に対して直接的にターゲットを定められる広告のため、非常に費用対効果の高い施策となります。ホームページの内容をしっかり充実させていただいた後、ぜひこちらもお試しいただければと思います。

 

■これからも持続的に成長する呼吸器内科クリニックであるために

これまでご説明した通り、人口動態など外部環境の変化、またインターネットの急激な普及により、呼吸器内科クリニックを取り巻く環境は大きく変わってきています。今までは開業した地域の足元診療圏の人々に対してクリニックの存在を広報できていれば患者さんは集まりましたが、多くの人が簡単に情報を取捨選択できるようになった今、広い地域の患者さんからも選ばれるクリニックとなるためには、広報手段も戦略的に変えていく必要が出てきています。

またこういった情報発信は地域社会への適切な医療の提供という意味でも重要な取り組みにもなります。インターネット関連の情報には疎い、良く分からない、という先生も多くいらっしゃるかとは思いますが、クリニックの発展のため、そして地域の患者さんのため、ぜひ積極的な情報収集を行い、一日も早い取り組みをしていただければ幸いです。

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この記事を書いたコンサルタント

川本 浩史

プロフィール詳細

大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。

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