【呼吸器内科の算定戦略】患者の「安定度」で使い分ける管理料と、確実な「喘息」併算の極意

  • 内科(生活習慣病)
公開日
更新日
執筆者朝倉 匡基
コラムテーマ保険診療(検査・治療)
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「気管支喘息の患者様には、今まで通り『特定疾患療養管理料』を算定しておけばいい」

もし先生がそうお考えなら、毎月のレセプトで大きな収益を取りこぼしているかもしれません。

実は、高血圧や脂質異常症などの「生活習慣病」を合併している喘息患者様の場合、ベースの算定を「生活習慣病管理料」へ移行し、さらに「喘息治療管理料」をダブルで併算定(上乗せ)するのが、呼吸器内科が取るべき算定戦略の一つです。

本記事では、患者様の「安定度(来院頻度)」によってベースの管理料を使い分け、レセプト単価を底上げする手法を公開します。

「26年診療報酬改定」が追い風に。喘息との併算定が正式に可能へ

前提として、今回の26年診療報酬改定において、呼吸器内科にとって非常に大きなプラスの改定がありました。それは、生活習慣病管理料(Ⅰ・Ⅱ)の併算定可能な項目に「喘息治療管理料」が明記されたことです。

これにより、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病と気管支喘息を合併している患者様に対し、正しいルールに基づけば、堂々と2つの管理料を併算定できるようになりました。

ベースの管理料は「月2回」か「月1回」かで使い分ける

まずは、患者様の状態に合わせて以下のルールでベースを固めます。

  • 安定していない(月2回来院)患者様
    状態が不安定で月2回の指導が必要な場合は、無理に移行せず「特定疾患療養管理料(225点×2回=450点)」でしっかりと管理を行います。
  • 安定している(月1回来院)患者様
    状態が安定して月1回の来院となったタイミングで、「生活習慣病管理料Ⅱ(333点)」へ移行します。

※検査費用が包括(マルメ)されてしまう「Ⅰ」ではなく、検査料を出来高で算定できる「Ⅱ」を選ぶのが、検査の多い呼吸器内科において収益を落とさない鉄則です。

点数比較:「特定疾患」から「生活習慣病Ⅱ+喘息併算」への移行インパクト

では、状態が安定し「月1回来院」となった患者様に対して、従来の算定を続けた場合と、改定後のルールに則って移行・併算定を行った場合でどれほどの点数差が生じるのか、具体的に比較してみましょう。

※喘息治療管理料1は「2ヵ月目以降(25点)」の継続通院ベースで計算しています(初月は75点)。

【従来】特定疾患療養管理料のみを算定:225点
【移行】生活習慣病管理料(Ⅱ)のみを算定:333点
【併算定】生活習慣病(Ⅱ) + 喘息治療管理料1:358点(初月は408点)

単価アップ効果: +133点(患者1人あたり月額 +1,330円の収益増)

該当する患者様が月に100人いれば、年間で約160万円以上の利益差が生まれます。

定期通院患者に対する「喘息治療管理料1」の確実な併算定

上記の【併算定】を実現するためには、呼吸器内科の最大の武器である「喘息治療管理料」の確実な算定が不可欠です。

ただし、「喘息治療管理料1」を算定するにはピークフローメーター等による管理が必要となり、患者様にも一定の負担を強いることになります。

そのため、すべての患者様に無理に導入するのではなく、「1年以上の継続治療ができている」「定期通院がしっかりできている」モチベーションの高い患者様にターゲットを絞って付加していくのが、現場のオペレーションを崩さずに正当な評価を得るコツです。

重症患者様には「喘息治療管理料2」を算定

さらに、吸入ステロイド薬等を使用している重度の喘息患者様に対しては、そもそもピークフローの有無に関わらず「喘息治療管理料2」をしっかり算定していくルートに乗せます。

このように、患者様の「安定度」「通院期間」「重症度」に合わせて算定項目を適切に組み合わせることで、クリニックの単価は確実に底上げされます。

査定されない「併算定」と「業務効率化」の仕組みづくり

単価を上げるための併算定には、「正しいカルテ記載のルール」と「スタッフへのタスクシフト(療養計画書作成の効率化など)」の両輪が不可欠です。

本コラムでは、あえて「具体的なカルテ記載のコツや計画書のショートカット術」は記載していません。自院のレセコン設定や現在の診療フローと照らし合わせながら、先生ご自身で正解を探すのは非現実的であると感じております。

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執筆者 : 朝倉 匡基

船井総合研究所に入社以来、医療業界のコンサルティングに従事してきた。 主に内科クリニックのコンサルティングを実施し、全国で20件の内科クリニックの即時業績アップ、スタッフマネジメントなどの経営課題解決に貢献してきた。 生活習慣病クリニックのコンサルティングを通じて、国民の健康に貢献することに情熱を捧げており、生活習慣病を患う方を少しでも減らすことに使命感を持っている。