【診療報酬改定解説】(新設)慢性腎臓病透析予防指導管理料の解説
目次
2024年診療報酬改定の解説情報をお送りさせていただきます。
※本記事は1/31に交付された短冊情報までを基に作成しています。
新設された「慢性腎臓病透析予防指導管理料」とは?
2024年診療報酬改定で新たに新設された「慢性腎臓病透析予防指導管理料」について解説します。
(新) 慢性腎臓病透析予防指導管理料
1 初回の指導管理を行った日から起算して●●年以内の期
間に行った場合 ●●点
2 初回の指導管理を行った日から起算して●●年を超えた
期間に行った場合 ●●点
※本記事は1/31に交付された短冊情報までを基に作成しているため、現時点では点数が公表されていません
基本的な考え方としては、「慢性腎臓病に対する重症化予防を推進する観点から、慢性腎臓病患者に対して多職種連携による透析予防の管理を行う」こととされています。
社会保障費、中でも透析医療費の増大を抑制するため、予防に力を入れていく以降の現れでしょう。
新設された項目ではありますが算定にはハードルが高く、要件を確認していきたいと思います。
慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定要件は?
慢性腎臓病透析予防指導管理料を算定する主な要件について抜粋し記載いたします。
①以下から構成される慢性腎臓病透析予防診療チームが設置されていること
ア 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の医師
イ 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の看護師又は保健師
ウ 慢性腎臓病指導の経験を有する専任の管理栄養士
※医師は5年以上、看護師は3年以上、保健師は2年以上、管理栄養士は3年以上の、「慢性腎臓病の予防指導に従事した経験」を有する者であること
②慢性腎臓病透析予防診療チームに所属する者のいずれかは、適切な研修を修了した者であることが望ましい
③医師、看護師、保健師のうち、少なくとも1名以上は常勤である
④薬剤師、理学療法士が配置されていることが望ましい
⑤腎臓病教室を定期的に実施すること等により、腎臓病について患者及びその家族に対して説明が行われていること(※糖尿病教室の実施により代えることも可)
中でもハードルが高いのは①でしょう。特に医師においても『専任(※)』であることが求められるため、本項目を算定するには十分な人員体制を整えることが必要です。
※厚生労働省からの通達によると、「専任」とは『5割以上』当該業務に従事している者をいう、とされています
医師が院長1名体制の場合、現実的には腎臓病を専門的に診療されているクリニックでなければ現実的に算定することは難しいかも知れません。
慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定対象は?
慢性腎臓病透析予防指導管理料の算定対象となる患者は、
・入院中以外の慢性腎臓病の患者
※糖尿病患者、現に透析療法を行っている患者を除く
・透析を要する状態となることを予防するために重点的な指導管理を要する患者
とされています。
また「●●年」という期間が定められていることから、比較的長期間の指導管理を想定されているものと思われます。
今までは慢性腎臓病の診療に対する評価項目が少なかったことから医療機関にとっては経営と積極的な治療管理への介入のバランスが難しかったものの、本項目によって新たな診療モデルの可能性が出てきました。
慢性腎臓病透析予防指導管理料は「生活習慣病管理料Ⅱ」との併算定も可能(糖尿病を除く)なため、腎臓病を専門的に診療されていきたい先生におかれましては、本項目を軸とした医院経営スタイルをご検討されてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたコンサルタント
川本 浩史
大手製薬・医療機器メーカーのMRを経て船井総合研究所に入社。
船井総合研究所に入社後は心療内科・内科診療所を中心にコンサルティング業務にあたっている。
前職では大学病院での消化器手術から療養病棟の輸液・栄養管理に至るまでそれぞれの臨床現場に入り込み、医療従事者と共に『より良い医療の提供』を実現するために邁進してきた。
臨床に近い現場で医師と対話を重ねてきた前職の経験を活かし、机上の空論とならず臨床現場に即したエビデンスのある実行策を提案している。